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桜ヶ丘高校生徒会役員  作者: 嫁葉羽華流
冬の章 ~ユキ ト オモヒデ~
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九十五日目、Bad Day to X′mas Eve

どこかの場所。

どこかで交わされる会話。

それは、


「では……頼んだぞ……」

「けけけっ……いいんだなぁ? ほんとによぉ」

「ああ……男は知らん。女は知らん。ただ、桜色の髪の女だけは生かして持ってこい。どうなってもかまわんからな」

「けけけっ……けけけけけけけけけっ!!」


たった一つの。

たった一つの生徒会を本気でつぶそうとしている企業と、

その生徒会に恨みを持っている人物との会話。


「まってろよぉ……萩昌介ぇ……!」


「ぶぇっくしょい!!」

「うわっ汚ッ! ちょ、会長! くしゃみくらいは手で押さえててくださいよ!」

「わぁってる……わあってるんだが……ふぁ……ふぁ……」


そして、この一撃でとんでもないことになった。


「ぶぁーーーーーーーーーくしょい!!!」


ばささー(会長の机の上にある書類が舞い上がる音)

どささー(会長の机の上にあったいろんなおもちゃが落ちる音)

どかかっ(会長の机の上にあった刃物やら刺突物が床に落ちた書類に落ちる音)


『…………。…………。…………はぁ……』


一同。溜息。


「……三十八度五分……」

「はぅ~……完璧に風邪ですねぇ~……」


所変わってこちらは保健室。ただいま会長は清水せんせに見てもらってます。なにせ会長、顔は赤いわ妙にがくがくぶるぶるしているわでとにかくまー、普通じゃなかったんですよ。はい。


「これくらいは風邪の内には入らな……ふぁ……ふぁ……ふぁ……」

「はい。マスク」

「ぶぇくしょいぁ!!」


今度は清水せんせが寸前でマスクをつけたので被害は最小にまで押さえられた。いやー。よかったよかった。


「にしても……こんな時期に風邪だなんて……会長もついてませんね……」


ずるるーと鼻水をすすったあとに涙目で「どういう事だ?」と聞いてきた。まったく、この人は……。


「もうそろそろクリスマスじゃないですか」



「たはーっ……たはーっ……」

「あ、ハルさん。会長はどうなったんですか?」

「三十八度五分の熱を出して風邪。今保健室の方で麻酔使って寝てる」

『麻酔?』


なぜそこで麻酔が……と思った方はいらっしゃることだろう。これについてはちゃんとした理由がある。

会長はそろそろクリスマスが近づいてきていると知ったとき、絶望の絶叫を上げ、「今すぐに仕事をしなければっ!!」を意気込んだ(なぜ行事ごとにはこの人は熱心なんだろう)。そして風邪を引いたまま出て行こうとしたのだが清水せんせに止められてベッドで寝かされたのだが、なおも行こうと暴れてしまった。このままでは埒があかないので一旦全身麻酔を使って強制的に眠りについてもらったのだ。


「なるほど……」

「会長がそんなことに……」

「それを止めるのに私はいらぬ体力を使ってしまった……ということです」

「大変でしたねぇ。軍曹さん」

「ま、桜ヶ丘高校大クリスマスパーティーは、会長無しでも滞りなく行うけどね」


ンな事を話しながらも。





クリスマス会……つまりは十二月二十四日。


「生徒の皆さん、今回はめいいっぱいたのしんでくださいね。では……メリークリスマース!!」

『メリークリスマース!!』


と、いうわけでクリスマスパーティーが始まった。もちろん私たち生徒会役員も参加してます。

そんな羽毛田校長(本名、羽毛田はげた泰典やすのり)の挨拶のあと、みんなでやっぱりわいわいがやがや。


「いやぁ~!! ほんっとに楽しい!!」

「そんなに楽しいか?」

「そりゃあもう!! ……あれ?」


背中の方になにやら堅くて冷たい感触が。

……なんか日常的に使われてた方が使ってたようなものが今背中にありませんか?


「動くな。そして騒ぐな。そうすればいい」

「……そうしなかった場合はどうなるんでしょうか?」

「下手に動けばここに仕掛けてある爆弾を爆破させる」


うわ、エグッ。何ですかこの愉快犯モドキは。

と、普段ならば毒づいていた所なんですが……今背中には何故かこの堅くて冷たい感触が……。

くそう……。


「あのー……ちょっといいですか? 愉快犯さん?」

「なんだ」

「他の役員さんは大丈夫……」

「ほかの役員も次第に拘束している」


ですよねー。私だけってオチじゃないですよねー。


そうやって私は一人の教師によって連れ出されてトラックに乗せられた。あ、目隠しされてます。



「あれ? 桜田さんを見ないなぁ……」


そろそろ本人が本格的に力を入れていたプレゼント交換だというのに……。

「クリスマスパーティーといったらプレゼント交換でしょう!!」と本人力説してたのに……。

いったいどこに……?

そう言えば他の人物も見あたらないような……。紫苑もトイレに行ったっきり来ないし……。

そう思って探しに行こうとしたときだった。

体育館のドアが急に開かれた。外の冷気がこちらに入ってくる。


「どぉーもー。犯罪者どぇーっす」


そのあとに、銃声。

悲鳴。

怒号。

それらが不協和音となって響き渡って、僕の肌を揺らした。


「全員伏せろぉ!! みょーな動きをした奴は片っ端から撃ち抜くからなぁ? 頭ぁよぉ」


この犯人、相当ろれつが回らないみたいだ。

と思いつつ僕は伏せながら外とケータイで連絡を取ろうとした。が、通じない。妨害電波か何かが出ているのだろうか。


「あのさぁー。ちょーっとさー。プロジェクターっつーの? こっち用意してるんだけどさぁー。繋いでくんない? こっちにも技術のセンセいるんだろぉ?」


キレたら何をするか分からない。とにかく出てきた技術の先生がプロジェクターを彼らが持ってきていたパソコンに繋いだ。


プロジェクターによって大スクリーンに映し出されたのは、僕がよく見知った顔に猿ぐつわと目隠しをされ、手足を縛られている――――桜田さん、桧木さん、乍乃さん、そして……紫苑だった。


「えーっとさぁ? とにかくぅ。俺ら、人質を取ったちょーキョウアクなゴクアクテロリスト集団――――『黄色いハンケチ』っつーんだわ。ま、今後ともどうぞよろしく。あ、これ名刺な」


そう言って律儀に名刺を取り出して校長に渡していたリーダー格の男に僕は……見覚えがあったような気がした。

はい。今回からは長編に入ります。しかも皆さん気になるあの人の過去まで書いちゃうかも? しれません。

とにかく期待しててください!!

え? 気が早い? 季節外れ? 

……んなもん重々承知です。ええ。

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