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桜ヶ丘高校生徒会役員  作者: 嫁葉羽華流
春の章 ~はじまりはいつもここから~
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十日目、Cry Memory's for桜田ハル

今回はちょっと暗めの話です…テンションの低さうざってぇ…

「うう…」


…なんてこった…よりにもよってあの人達にほとんど秘密をばらしたようなモンじゃない…。

読者の皆さん、今回はちょっとだけ、私の独白を聞いてください…。


前回(大暴露!? 桜田ハルの秘密《後編》参照)、怒りにまかせて鋼流拳法を使っちゃったじゃないですか…。

後一歩、会長があのマッサージをしてくれなかったら、


マジで、あそこにいた人たち、全員死んでましたよ。


ええ。血の海ですよ。

真っ赤ですよ。

クリムゾンがどっぱどっぱとあふれていますよ。

しかもその源流は、

生徒会みんなの体から。

そんな光景、見たくない…。ただでさえ、あのことがあったんだから…。


「ハルさん…? 生徒会室に行きますよ?」

(お、久々に作者、出番ですね)抄華がハルのベットに行き、体を優しくゆすった。

しかし、なにも反応がない。

抄華は寝ていると思いこみ、そのまま自分の部屋を後にした。

このまま、ハルと一緒の部屋にいるのは、なんだかいやだったからだ。

(あのときのハルさん…)

あのとき。

ハルは獰猛な目つきをしていた。

何人も信じず、

向かってくる人はなぎ倒し、

女子供だろうが容赦はしない。

そんな…狩人の目つきをしていた。


「おはようございます…」

力なく生徒会のドアを開け、入ってきた。

「うん…」

「おはよー…」

「おう」

全員に、どことなく寂しさがあった。と、同時に、悲しさがあった。

自分たちと同じ、生徒の。

桜田ハルが。

あんな、ケダモノだったとは。

……………………


ブチッ!(あ、切れたな)

だぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜もう!

何なんだよ、この空気!

なにこれ!? お葬式? 誰かのお葬式場?

「仕方ねぇだろ…あんなモンみちまったら、ふつ〜の奴はこうなんだよ」

だからって、このテンションの低さは異常!

コメディーで通してんだからもうちょっと明るく! ホラ! テンションアップ! テンションアップ!

「「「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…………」」」

全員して溜息つくんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇ!!!!

全く…かろうじて溜息付いてないのって竜介だけじゃん…。





ん?






な〜んで、溜息ついてないん? 竜介だけ?

「知ってるからさ」

「「「え!!!???」」」

全員驚いた声を上げる。ま、当然だわな。

「か、会長!? なにしってんですか!?」

「ハルちゃんに関すること!?」

「教えてください! 一体何を知っているんですか!?」

おおお!!! 全員に生気が宿った! たとえるならば今まで白黒だった絵が一気にカラーになったような感じだ!

竜介! さあ、何が起こったんだ!?

「……………………」

なにも、モノを言わん…。

「そ、それほど、すごいことが起こったんですか…?」

萩がそう聞いたとき、そのときの返答は、

…………………………………………………………………………………………………………………ぐ〜

寝たんかい!!!!!


あれは私が幼い頃だった。

当時の私は今よりかおてんばで、ふつ〜に木に登ったりとか、いろんな人と遊んでたりした。

女の子がやるような人形遊びとか、ビーズ遊びは、嫌いだった。

ただ、外で。

外ではしゃぐのが楽しかった。

ある時私は、お祖母ちゃんの家に泊まった。

両親共々、海外旅行が当たったとかで、預けられたから。

そして、そのとき。お祖母ちゃんは私に拳法を教えてくれた。

それが、「鋼流動物拳法」。

三つの動物の型があって、その型には様々な効果がある。

敵をなぎ倒したり、人を助けたり。いろんな力があった。

そんな拳法を、お祖母ちゃんは私に教えてくれた。

「最近の若いモン(オオカミ)は怖いから」

そう言っていつも私に教えてくれた。

そしていつしか、お祖母ちゃんはこんな事を聞いてきた。

「ハル。おまえに怖い物はあるかい?」

そのとき、私は強がって、

「こわいものなんて、ない!」

そう答えた。

そうかい。そう答えた後、こんなことを言ってきた。いや、言い聞かせてきた。

「いいかい? ハル。人間誰しも怖い物ってのはあるんだよ。

怖い物なんてない、って言う人間やつは軽々しく信用しちゃいけない。

そう言う奴はたいてい、無茶か馬鹿な奴さ。

無茶をする奴はまあ、ちょいとは愛嬌があったりするから、まあ、付き合いやすかったりする。

じいちゃんもそうだったんだよ。

でも、馬鹿な奴はだめだね。そういう奴は軽々と信用しちゃいけない。

そいつ共々、死んじまうからね。

それともう一つ。ばあちゃんが教えた拳法は、感情に左右されやすい。

だから決して、怒りに身を任せちゃいけないよ? いいね?」

そして私は、お祖母ちゃんのところから離れた。

中学生の頃。私に友達ができた。



「名前は…『かおり』としておく。

かおりは桜田とはなかなか仲がよかった…いや、親友、と呼べるくらいの仲だったんだ。

とにかく、とんでもなく仲がよかった。

ある時、桜田はかおりから誘われたんだ。

『おもしろい遊びをやらないか』ってな。

もちろん、桜田も馬鹿じゃない。

『どんな遊びなんだ』って聞いたらしいんだ。そしたら、かおりは、

『お医者さんごっこだよ。私たちは患者さんになるの』って言った。

このときに桜田は確信したんだろうな。


かおりは、ドラッグをやってるって。


中学生ガキってのはやめろって言われると、余計やりたくなっちまうもんなんだろうな。

かおりも誰かから誘われて、その遊びをやったらしい。

んで、桜田はかおりって子を薬から救うために、その本拠地に乗り込んだんだよ。

そこで桜田は初めて、『本当に怖い』って思いをしたんだろうな…」


群がってきたのは、たくさんの男の人。

それでも、目が私の知っている「大人」とは違った。

怖かった。

とっても怖かった。

私は友達を助けるため、必死で戦った。

その間に、友達は、あっという間に薬漬けになった。

悲しかった。

とっても悲しかった。

そう思ったことは覚えてる。

何をしたのかは覚えてない。

でも結果、死人は出さなかったけど、重傷者がたくさん出た。

その中に、友達はいた。

嘘だと思いたかった。

後日、友達を訪ねてみると、


『化け物!!!!!!!』


叫び声となって、そんな言葉が飛んできた。

その言葉が、私の心に、深く、深く、突き刺さった。

友達だと思ってたのに。

どうして?

どうしてそんなことを言うの?

そんな人から、そんな言葉が出るなんて思ってなかった。

そして私は、あまり人に深く付き合うのをやめた。



「「「……………………」」」

「ま、桜田が最初、あんなお嬢キャラだったのはそういう理由だったからだ。それをあっさりと溶かしてくれたのは、」

そういって竜介は桧木の方へ体を向けた。

「桧木。おまえだ」

手を壊れんばかりに力強く握り、

「これからも、桜田あいつをよろしく頼む」

「……………………はい…!」

「…うん! いよっし!」

かけ声一言、竜介は立ち、

「桜田を迎えに行くぞ。あいつがいないとどうも調子が狂う」

「「「…はい!!!」」」

全員が立ち上がり、ハルが寝ている部屋へと向かった。


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