21話 一家団欒の場で
「ただいま」
私は家に帰ってきた。
家族のいる家。
「おかえり、遅かったじゃない。ご飯出来てるから、手を拭いて」
「ちょっと、色々あって遅くなっちゃった」
自分の部屋に行って制服を着替えてこよう。
もうパジャマでいいか。
「お父さん、ただいま」
お父さんにも挨拶をする。
「おかえり~。着替えてくるの?」
お父さんも挨拶を返す。
「うん。ご飯食べたら寝ようかと思って」
私の中の知識は、何か色々することがありそうな事を言ってくるが、意味がわからないので無視をする。
部屋に帰って、パジャマに着替える。
余裕のある上着とズボン。
うん、楽チン。
一家団欒のテーブルに着く。
お父さんもお母さんも食事を食べようとしてたみたい。
「いつまでも帰ってこないから、食べようとしてたのよ」
弟はもう、寝ているようだ。
「お父さんな。今日はたくさんスライムがとれちゃって、お母さんにご馳走にしてもらっちゃったよ」
そうね。
私とカトリーさんが草原でスライムをたくさん倒したからね。
でも、お父さん……嬉しそう。
お父さんの嬉しそうな顔って、最後にいつ見たっけ……。
たまにはカトリーさんに頼んで、スライムダンス一緒に踊ってもらおうかな~、楽しいし~。
「今日はね、アナタとお父さんが好きなコロコロ虫の唐揚げでしょ。あと、スライムの塩焼きよ」
お母さんが料理をアピールしてくる。
「な? ご馳走だろ? あと、なかなか食べられないトドイノシシの肉があるんだよ。嬉しいよな」
トドイノシシ?
何それ?
「お父さん。トドイノシシって何?」
「あれ? 知らないのか……。まだ3歳じゃ、知らないか。森の中で出るモンスターで、スライムより強いんだぞ」
スライムが基準だからよくわからないけど、そこそこ強いらしい。
「普段はゴロゴロしてるけど、近くによると突っ込んで来るらしいぞ」
そうよね。
お父さんはスライム専門だから、人から聞いた話よね。
「じゃあ、食べよう食べよう」
お父さんが食べ始める。
私の中の知識が何か言うことがあるようなことを言ってくるが、よくわからないので食べ始める。
「うん、おいしい」
コロコロ虫の唐揚げはいつも美味しいけれど、トドイノシシっていうのが絶品。
スライムの塩焼きはまあまあ美味しい。
「そういえば、勉強どうなんだ?」
お父さんが私の学校のことを聞いてくる。
「うん……私、ちょっとダメみたい。頭が悪いわけじゃないと思うんだけど、帰ってこれないかも」
正直に言っておく。
だって、再テストとか補習は多そうだから。
「そっか。俺もお母さんも頭悪かったからな。知恵遅れのお前が頭悪くてもしょうがないな」
お父さんは、私のことを頭が悪いと思ってる。
私は頭悪くないもん。
ただ、授業がわからないだけ。
「大丈夫よ。授業の内容なんて、世の中に出てそんなに使わないから」
お母さんが助け舟を出してくれる。
「そんなことないよ~。お母さんはずっと、家の中にいるからわからないんだよ」
お父さん、スライム倒しているだけなのに使ってるの?
「とにかく大丈夫よ。分からなくても、最低限の点数取れれば大丈夫なんだから、再テストでもなんでも、何度でも受ければいいのよ」
「ありがと。お母さん」
お母さんの考え素晴らしい。
「だけど、頭が悪いのは本当なんだし……、そういうのがバレるのは大変なんじゃないか?」
お父さんなんかべーっだ。
「こいつが嫌な思いするのは、俺は嫌だな」
「え? お父さん?」
「ごめんな。俺がこんな無能だから……お前に碌な遺伝子残してやれなくて……」
お父さんが泣いてる。
「お父さん。せっかくご馳走作ったのに、泣かないでよ~。困った人だよ~、本当に」
お母さんが困ってる。
私はどうしたらいいんだろう。
そんなに自分では頭が悪いとは思ってないんだけどなあ。
でも、世の中の人はお父さんが言うように私を馬鹿にするんだろうな。





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