15話 お姉さんを待ちぼうけ
今日は難しいことをたくさんやったから、頭が痛いなあ。
授業がようやく終わった。
両手を伸ばしてけ伸びをする。
とりあえず、帰り支度をして玄関へ向かう。
今朝の登校時間は、授業の前の説明をするために、新入生だけ1時間早かったんだって。
明日からは、みんなは1時間遅く登校するって言ってた。
私も明日からは1時間遅くしようかな。
それでも、学校には1時間早く到着するんだけど。
何かあっても、遅刻しないようにね。
そして、誰にも会わずに学校に行くために……。
学校が終わると、みんなは一斉に守護隊とともに帰っていく。
隊長さんと隊員のお兄さんは専属なのか、またいる。
他にも何人か隊員さんがいるいるみたい。
他のクラスの子も、上の学年の子も一緒だから中々の大人数。
朝の私はどのくらいの人数なのか見ずに、さっさと来てしまった。
守護隊員二人だけでこれだけの人数を守りきれるわけはないものね。
何人かいても、全然不思議じゃない。
夜はスライムだけじゃなくて、夜行性のモンスターも出るらしい。
流石に上級生でも、夜はちょっと1人では帰るのは難しいみたいだ。
最低でも10人以上で帰ることを推奨していると、先生が言っていた。
登校する人の実力次第なんだろうけれど、朝も生徒だけで登校することもあるということだ。
1時間前登校はやめるわけにはいかない。
お姉さんと登校するなら、お姉さんが変なことするかもしれないから余計にだ。
変なことをしているのが見られたら噂になることは間違いない。
あの人……頭の中おかしいから、何するかわかったもんじゃない。
ゴブリンの中にも守護隊の隊長さんみたいな人が全くいないとは言えない。
私のことを異質なものとして見ている人達は、数多く居ることだし……。
お姉さんが目立って困るのは、私。
登下校に困る。
お姉さんなしだとスライムなんて、剣1本持てない私には到底倒せない。
死んじゃうわ。
お母さんは家にずっといるし、お父さんは狩りにずっと行ってるし、弟はまだ家から出られない。
私が学校行かないと、お母さんとお父さんは捕まっちゃうんでしょ?
あまりに危うい立ち位置にちょっと、悲しくなった。
とりあえず、学校の敷地外に出よう。
みんながいなくなった後を、トボトボと歩いていく。
校門から出て少し端っこの木の影に隠れてお姉さんを待つ。
お姉さんまだかな。
この学校の外はモンスターが出るから怖いな、と思ったら何か薄いモノに学校は覆われてるみたい。
そういえば、先生が結界というものがモンスターが入ってこないように守っているって言ってたな。
私達はモンスターじゃないの? って質問した生徒がそういえばいた。
ゴブリンだけは許可されているのだって。
お姉さんはゴブリンだから不審人物でも大丈夫だったんだね。
不思議なものが世の中にはあるもんだ。





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