11話 お姉さん怠けすぎ
「お姉さん、ずっとここにいるの?」
帰りも送ってくれるって言ってるけど、ずっと待たせてるのは気が引ける。
「う~ん、どうしようかな」
お姉さんは何をやっている人なんだろう。
とても暇そうな人に見える。
「そうね、今のゴブリンの国のことよくわからないから、王国観光に行ってこようかな」
観光? 狩りで生活してるにしてはモンスターを運ぶでもないし……。
お金持ちなのかな。
「やっぱお姉さんって暇でいいね……」
「いいじゃない。上級神になって、ここ3年くらいは休まず働いてきたんだから」
ジョウキュウシンっていうのは、きっと、誰かの愛人みたいな仕事なんだろうなあ。
「どのくらい休みをとるの?」
「200年くらいは休もうかな。私みたいに途中から神になると、エネルギー消費少ないから、基本給だけでエネルギー貯まっちゃうみたい」
ここらへんは妄想?
200年っていうのは、誰かが養ってくれていて、ずっと働く必要がないってことなのかな。
「怠け者……」
怠けすぎだよ、お姉さん。
「今までが働きすぎたのよ」
「……そっか。お姉さんも苦労したのよね」
なんだか、めんどくさくなってきた。
「そうよ。私も苦労したの。貴女も同じ思いをするわよ」
「う~ん、苦労はしたくないよう」
「あ、私。いろいろ見ておきたいから、そろそろ行こうかしら」
お姉さんは少し浮き上がる。
「え? お姉さん、浮いてるよ」
「そりゃ、浮くわよ。普通でしょ?」
普通? 普通って飛ぶんだ。
私は飛べないけど。
「どうやって、飛ぶの?」
私も飛びたい。
「う~ん、飛ぼうって思うと飛べるかなあ~」
「……」
「違った。えっと、エネルギーを集中して飛ぶことをイメージする感じ?」
なんだか、よくわからない。
「そうだ。フフ、カッコイイ飛び方見せてあげるね」
お姉さんはそう言うと、背中に小さな箱を出現させた。
「ジェット噴射~」
ボボボボボ~。
なんか赤い炎のようなものが噴出されて、少し高めの頭の上をお姉さんがくるくる飛んだ。
「お姉さーん。それ、目立ちすぎ~」
お姉さんはまた、戻ってきた。
「ね? カッコよくない?」
早くいけよ、って思った。
「う、うん」
「じゃあ、行くね。またね~」
お姉さんは箱と噴射をシュッとしまうと、普通に飛んでいく。
普通でいいんじゃないかなって、思った。
きっと、お姉さんは変わり者の魔法使いなんじゃないかな……。
私はそう思った。
私も空を飛んでみたいな。
お姉さんの言うとおりにすれば、飛べるだろうか。
身体にエネルギーを集中して……。
「ん~~~~」
だめだ。
何か色々なものが、色々なところから出てきてしまいそう。
大人になったら、私も飛べるかなあ……。
そうだ、学校学校。
お姉さんと話していたら、何をしてるのか忘れるところだった。





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