3話 クラスメイトAの話(モブside)
この話を初めてご覧になる方は、恐縮ですが前話をお読みください。どういう状況なのか、わからないと思います。
また、この話での視点は主人公のものではなく、クラスメイトAです。今のところモブですね。
俺は今、学校のクラスでちょっとしたゲームをやっている。双六みたいなやつだ。
今日は高校の入学式当日。でも入学式前には友達の一人や二人、朝の教室で作りたいよな? って奴が、自己紹介が出来て、 かつアイスブレイクも同時にこなせるようなそんなマス目を作ってきたんだ、こんな感じで。
1マス目、名前を教えてください
2マス目、趣味は何ですか?
3マス目、得意科目は何ですか?
4マス目、右の人にあだ名をつけてみましょう
こういう風に、自己紹介しつつ時々ちょっとした無茶振りを混ぜてあるような双六で、最後の方になればなるほど無茶振りは増えていく仕組みになっている。よく出来ているとしか言えないよな。会話が弾むし、多少の強制力はあるものの無茶振りをやるかどうかは本人次第だ。実に親睦を深めるにはうってつけのものだった。
ただし今、俺はとある問題に直面している。無茶振りの中で最も意地が悪いものに当たってしまったからだ。どんなマスなのか紹介しよう。
32マス目、次に教室に入ってきた人に彼氏もしくは彼女になってください、と頼んでみましょう。
もちろん、本来の俺だったら絶対にこんなことはしない。最終決定権は俺にあるのだから、「いや、これは流石にやらない」と言って次の人に回すのが普通だ。
ただし、今まで誰も無茶振りを拒否していなかった。そのせいか拒否できない雰囲気がこの場に蔓延して、もちろん俺が拒否できるはずもなく、というより今ならむしろなんでも出来る感覚に陥ってしまい、結局その無茶振りに乗ることにした。
みんなで次に教室に来る人を待つ。そして間も無く、教室の扉が開いた。男だ。なら冗談です、って言ったら通用するよな。
「俺の彼女になってください!」
こういうノリ、ありますよね