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ファンタジー系

転生についての世間話

作者:

ふと思いついてメモしてたものに無駄ストーリーを付けたものです。

「てんせい?てんせいって、あの生まれ変わりとかの転生?」


「そう。それの記憶継承型のケースをどう思う?」


「どう思うも何も、普通に考えたらありえないだろうな」


酒が入ったグラスを呷りながら斬って捨てる。


久々にあった幼馴染。


記憶にある学生の頃よりも綺麗になった彼女に愚痴でも言い合いながら酒でもどうかと誘われて来たが、二人きりに動揺でもしてるのか意識して抑えないといつも以上のペースで飲んでしまいそうになる。


「そもそも、そういうのは神秘魔術を専門にしてるそっちの専門じゃないか」


魂や天使などと呼ばれてる存在に干渉すると言われる神秘魔術は、専門外からしたら難易度が高すぎてチンプンカンプンでしかない。


「周りにいる専門の魔術士同士の議論何てもう出涸らしみたいなものだし、新しい発想や視点は意外と専門外の人の意見から出たりするものでしょ」


「そうかもしれないけどな」


「ここは奢ってあげるから考えを聞かせてよ」


コポコポとこっちのグラスに酒を注ぎながら言う彼女。


よっぽど研究か何かに行き詰ってるらしい。


転生なんて権力者の連中が欲しがりそうなものだし、上から色々と無茶振りされてるのかもしれない。


まぁ彼女からしたら誰でもいいんだろうけど、こうして頼られるのも悪くない。


「そうだな。まず思い浮かぶのは転生ってのは所謂誤作動みたいなもんだよな」


「誤作動?」


「魂ってのがホントにあるとするなら、死んだ後のそれが水みたく循環するものなのかそれとも消費型なのかはさて置いて、明らかに通常のルーチンワークとは異なった結果が記憶継承型の転生なわけだ。自然の機構からしたらエラー以外の何物でもない」


「そうね。まだ死霊にならない魂の動きはまだ解明されてないからなんとも言えないけど、通常の動きではないと思う」


「どんな誤作動で記憶を持ったまま転生するかは分からないけど、本来は他人の脳に保存されてる記憶情報が距離も時間も隔絶した状況で他人の脳にインストールされる状況は、移植の例に近いかもしれない」


「移植?」


「心臓とかを移植された人が、ドナーの記憶の一部を引き継いだり、趣味嗜好が変わってドナーが好んでいたものになるって話は結構有名だろ。魂が循環型であるなら、転生=魂の移植って考える事も出来るんじゃないか?」


「それは、考えた事なかった」


「しっかりとした自我があっても、そこまで影響を受けるんだ。それが無垢の赤ん坊で、しかも対象が魂と来たら精神に大きく影響するのは目に見えてる。透明な水にインクを入れるみたいに一気に染まる。そして定着した自我がこう思う訳だ。赤ん坊になってる!?ってな」


「―――うん、面白い考えだと思う。でも、そしたらある程度成長してから転生を自覚するパターンは?」


「あー、きちんと肉体も精神面も出来上がって無い時に大量の情報を受け入れるのを拒否する防衛本能みたいのが働いて一時規定にシャットアウトしてるとか?後は、別の魂の方が後から身体に入って融合とかした結果、自我と記憶が混じってそうなるとか」


「成程、うん」


「…………真剣に受け止めて貰って何だけどな、俺が考えつくような事は過去に誰かが考えて試行してるんじゃないのか?」


「かもね。でも私が読んできた論文とか資料には無い考えだったし、参考にも刺激にもなったよ」


「……そっか。なら良かった」


にこやかなその笑顔に昔の面影が移ったような気がして目を逸らす。


昔からの語りながら飲むとついつい酒のペースが速くなってしまう悪癖と、グラスが空く端から酒を注ぐ彼女のために、既に顔が赤くなっているから気恥ずかしさは悟られないと思うが。


「よし!じゃあ、別のお店で飲み直そうか。お勘定お願い!」


「は?なんで?」


「大丈夫、ここは驕るから。続きは新しいお店でね」


約束を守る姿勢はいいが、だからってリセットする為に店を替えるか。


「せこいぞ」


「金銭感覚がきちんとしてるの」


「でもそろそろ限界近いんだが」


「そっか、なら宅飲みにする?私の住んでるマンション近いし」


「誰か一緒に住んでる人は?」


「居ないけど」


アホなのか。


「一人暮らしの家に、恋人でもない男を連れ込むのはどうかと思うぞ。しかも酒が入ってるときてる」


「私が押し倒せるぐらいに前後不覚になるよりも、そっちが寝落ちる方が早いと思うけど。それに今は恋人とかは居ないフリーだから余計な気を回す必要も無いしね。明日は休日で仕事も無いんでしょ?なら、いいじゃない」


「そういう問題じゃ――、うん?俺の仕事のスケジュール何で知ってる?」


明日は金曜日。


俺はこの前の休日出勤分の休暇請求が通って休みなわけだけど、普通なら仕事と思うはずだが。


「自分で愚痴ってた時に言ってたじゃない。そんなにお酒が回ってるの?」


「そうだったけか?まぁ、ペースが速かったからな」


「解毒魔法は使えないんでしょ?なら、そんな状態で無理に帰るよりも家で休んでいった方がいいわ。それとも私が信用できない?」


「そういう言い方はズルいんじゃないか?」


「女の子の特権ね」


「―――――そうか。なら仕方ないか」


茶々を入れたくなったのをグッと押さえて、軽くふらつきながら立ち上がる。


まぁ、俺が知ってる範囲の彼女なら人を罠にかけたりもしないだろうし、この時期にタクシー代を出すのも懐が痛い。


「決まりね。じゃあ行きましょう!」


嬉しそうにいう彼女を見ながら、俺もその後についていった。





兄妹も幼馴染も天才に分類される人種で、上下横の全方位からコンプレックスを感じて育ったため自己評価は低目。

攻性魔術師になったのも外部と連絡が制限される部署に入って繋がりを絶ちたかった為。

今回は配置換えされて色々とお疲れの所に綺麗になった幼馴染と偶然再会して流れるままお持ち帰りされる。


彼女

小さい頃から大概の事はあっさり出来た天才。

男の事は気の許せる幼馴染としか思ってなかったが、男が大学を卒業した辺りで交流が途絶えた後で自分の想いを認識。

確実にGETする為に仕事場も大学から別の研究所に移ったりしながら、あれこれ数年間の下準備を重ねて勝負に出る。

パッと見、アッサリな性格に見えて根は執着心が強いので、女友達からは『アラクネ』と揶揄される事も

得意魔術:神秘魔術、解毒魔術、強化魔術



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