表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

#1

おや、お客さんとは珍しいことだね。

いらっしゃい。こんなところに迷い込むだなんざ、なんかしらのお困りごとがあるようだね。

なぁに、取って食やしないさ、お代はそれなりに頂くがね。

店の中をゆっくり見るもよし、そのへんのものは手にとっても構わないが、気をつけなよ。下手に触ると呪われるものもあるからね。

……冗談だよ、そんな危ないものはちゃんとしまってあるさ。こっちのカウンターの中にも多少はあるが、だいたいは秘密の場所にしまってあるのさ。

さてと。

あんたに必要なもんはそこにはないよ。

んん?なんでわかるかって?そんなもんわかりゃしないよ。あんたがどういう気持ちでここにたどり着いたのか、知ったこっちゃあない。

ただね。

あんたの顔を見りゃ、そのへんに積んである魔法書や薬じゃあ解決しない。魔法使いの勘、さね。信じるも良し、信じないのも良し。何でも構わないさ。

……ここを訪れるのは……見つけられるのは……人生に迷った人だ。

例えば。国を追われた貴族、戦争に負けた王様、処刑されそうになった魔女、盲目に仕えた主人に反目した騎士。裏切りに裏切りを重ね自分さえも裏切った聖者。全てを手に入れた男。絶世の傾城。恋に破れた美女。夢に破れた美男子。自殺未遂を繰り返す少女。

そんな人らが訪れては2度と扉を叩かなかった。この店はそんな場所なんだ。

人生は長い。……迷うななんて方が無理なのさ。迷って良い。迷って迷って迷い続ける。最初から最後まで迷う。大概の人は迷う。

そして、ここを訪れるのは、迷って迷ってこんがらかっちまった迷いビトだけさ。

さあさあ、お前さん。お前さんの悩み事は、なんざね?


……ふうむ。なるほどね。

いやいや、そんなことはないさ。お前さんの悩みが軽いって訳じゃあない。1歳児には親が世界の全てかも知れないが、だから良いも悪いもないだろう。世界の大小に貴賤はないのさ。

そうさね。お前さんはこれを持って行きなさい。あぁ、カウンターの中から出しはしたが、呪われてやしないよ。

その腕輪はきっとお前さんの役に立つはずさ。

いやいや、それは誰かにやったり売ったりしちゃダメだよ、お前さんが着けるのさ。役には立つだろうさ。

ひとつ条件があってね。

明日からは顔を上げて胸を張るんだよ。アドバイスはそれだけさ。お前さんには、その腕輪が付いているからね。


んん?

ああ、この指輪が気になるかい?

ほうほう、なかなかどうして。ふむふむ。何となく?まあそうだろうね。お前さんの目に本当のところは映ってはいないだろう。

残念そうな顔をしなさんな。上級の魔法使いしか読み取れないんだ。お前さん、良い感性をしている。

……仕方ないね、少し、昔話をしようかね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ