表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

osu!を知らない人は読まないでください

作者: Migrdiar

 小学6年生の冬休み。

 俺がosu!というゲームを知ったのはその時だった。

 偶然YouTubeで好きな曲を聞いてるとき、おすすめの動画でosu!のプレイ動画が出てきたのがきっかけだった。

 音ゲーというものは今までまったくやったことがなく、アーケードの太鼓の達人をやってる人を見たことがある程度だった。

 すぐさまosu!と検索してホームページにとんだ。

 そこは英語だらけで、かろうじてABCが言える程度の俺からしたら何が書かれてるのかさっぱりだった。

 がんばって自動翻訳機能やインターネット辞書を使ってアカウントを作成した。

 そしてosu!本体をダウンロードして、インストールし、osu!を起動した。

 ログインをして、チュートリアルの譜面をプレイしたあと、すぐにosu!のホームページにとんだ。

 その時ついでにosu!のホームページをブックマークした。

 そして、譜面を適当にダウンロードしてosu!に入れて、早速プレイしてみた。

 曲のリズムに合わせながら、的を叩いていく。その時鳥肌がっ立った。

 音楽とは、音が楽しいと書く。まさに、このゲームは曲を楽しみながらゲームができる、最高の音楽だと実感したのだった。

 それから俺は好きなアニメの曲や、知っている曲をたくさんダウンロードしてプレイしていった。自分の好きな曲がosu!で流れるのを聞くととても感動した。

 そんなこんなで気が付いたらクリスマスが過ぎ、年が明けて、冬休みも終わりかけていた。

 俺の小学校6年生の冬休みは、osu!一色だった。

 久々に学校に行くと、正月太りした人や、旅行に行った人などでクラス全体が盛り上がっていた。

 さらに、小学校卒業が近いせいで、全体的に浮かれてる。

 公立の小学校なので、ほとんどの人が同じ近所にある公立の中学校に行くため、別れを惜しむ人はほとんどいない。

 数人だけが、私立の中学校に受験して行く程度だった。

 学校が始まっても俺のosu!熱は冷めず、日に日にプレイカウントを増やしていった。

 その後、小学校を卒業して中学校に入学した時、俺は何を思ったのかバスケットボール部に所属した。

 今まで運動は苦手ではなかったが、得意でもなかった。ただ、なんとなく女子にモテたかっただけだった。

 だが、そんな浅はかな考えで入部したことをとても後悔している。

 俺の入った中学校のバスケットボール部は公立では珍しいかなりの強豪校で、顧問の先生がとても厳しい人だった。

 毎日厳しい部活で、死に物狂いで練習していた。休みもほとんどなく、一度入ったからにはなかなか辞められず、日々自分を追い込んでいた。

 毎日そんな厳しい部活じゃosu!もやってられないだろうって?

 俺はその逆だった。

 日々の鬱憤を俺は全てosu!にぶつけた。

 毎日学校、部活、osu!の3本柱で俺は生きていた。

 夏休みや冬休みになると部活、osu!の二大巨頭に励んでいた。

 部活でバスケットボールをドリブルした回数の倍はosu!をプレイしていた。

 この頃になると、今までほとんど気にしていなかったランキングを気にしだした。

 好きな曲や知っている曲を一通りやって、やりたい譜面がなくなっていた。

 そんな時、YouTubeで他の人のプレイを見て驚愕した。

 自分では目で追いつくこともできないような速さの曲を淡々とこなしていたのだ。

 手元を見ても、本当にこれは人間がやっているのかと目を見開くものだった。

 いつしかその驚愕は憧れに変わり、尊敬へと変貌していった。

 そして、今までは好きな曲をやって楽しんでいたのが、ランキングを上げることを楽しんでやるようになった。

 さらに、お年玉をはたいてゲーミングキーボードとペンタブを購入し、増々osu!へのモチベーションが上がった。

 学校では部活で自分を追い込み、家ではosu!で自分を追い込む日々になった。

 osu!で自分を追い込むのは大変だが、それでランキングが上がったときはとても嬉しくて、osu!がとても楽しいと思えるようになった。

 そんな事であっという間に俺の中学校生活の3年間が過ぎてしまった。

 高校は平均よりやや下の普通の公立高校に入学した。受験勉強はほとんどせず、3年生の時に1年だけ通った塾でなんとかなった。

 中学を卒業し、高校に入学するまでの春休みの間で俺はosu!を極めた。

 ランキングにして3桁前半、日本人ランキング1桁にまで上り詰めた。

 そして、高校に入学した。

 高校ではもう部活はやらないと決めていたので、絶賛帰宅部。しかも友人などいっさいいない、コミュ症で一切できなかった。

 だが俺はそれでもよかった。osu!では俺は世界でも数百番目にうまい人なのだと自負していたからだ。

 周りのリア充どもを見ては、俺は日本では数番目にosu!がうまいんだぞ!と心の中で叫んでいた。

 帰宅部なので毎日がosu!三昧。そして高校1年生の夏、とうとうその日が来た。

 なんとランキング2桁になったのだ。しかも日本人ランキング1位になった。

 俺は有頂天になり、学校で独立してる事など気にもせず、ひたすらにosu!をし続けた。

 夏休みが明けてしばらくたったころ、前から気になっていたライブストリーミングを始めた。

 そのライブストリーミングでは、視聴者が放送者に対して応援としてお金を寄付することができるシステムがあった。

 最初は月数千円程度しかもらえなかったお金が、ウェブカメラで手元を映すと月に数万ももらえるようになった。

 そのお金で俺は前から欲しかった144Hzのモニターを買い、さらにosu!へとのめり込んでいったのだった。

 高校2年生の夏、事件が起きた。

 osu!のランキングを決めるppの仕様が変更されたのだ。

 ランキングを上げる事だけを楽しみにしていた俺からしたら重大事件だった。

 なんと俺のランキングが世界1位になっていたのだった。

 夢じゃないかと目を見開いた。

 だが、何回見ても1という数字に変わりはなかった。

 泣き叫びそうなくらい嬉しかったが、同時に現段階では俺がosu!の頂点、最強なんだと思い、上達する方法やこの先の道がわからなくなってしまった。

 1位ということは、何をどうやってもランキングを上げることは不可能で、ただただ、2位にいつ抜かされるかという焦燥感に駆られるだけだった。

 ppの使用が変わってからしばらくはosu!をやっていたが、すぐにモチベーションが下がってきて、ランキングもじょじょに落ちていった。

 そして、遂にはほとんどプレイをしなくなり、前から少しだけやっていた譜面作成Editだけをたまにやるくらいになった。

 俺の青春はosu!だけ、osu!が俺の生きがいで、唯一の親友で本当に好きなゲームだった。

 もう俺はosu!に返り咲くことはないだろう。

 だが、それでも俺は今でもosu!が好きだ。

 小学生の時に見たYouTubeのosu!プレイ動画、それは今ではどんな動画だったかも思い出せない。

 人生の一番大事な時期、青春時代を俺はosu!に始まりosu!に終わったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ