プロローグ
にゃんこ最高(人*´∀`)
閉ざされた世界は安全だが楽しみは少ない。
毎日が同じ事の繰返しだ。
起きて食べて寝るだけの代わり映えのない退屈な毎日…時々父上や母上が帰ってきてくれるけれど、僕はいつも独りぼっちだ。どうせ誰も僕が居なくなった事に気づかないだろう。みんな僕の安全のためだって言うけど、僕はもう小さな子供じゃない!自分の身だってちゃんと守れるようになったのに…どうして試練を受けさせてくれないんだよ。あれだけ頑張ったのに!只でさえ僕はみんなより遅い時期に受けることになったのに!それなのに今になって取り消すなんて!
「っくそ!」
怒りと悔しさで近くにあった燭台を壁に投げつける。力余って壁に穴が空いてしまったが今はどうでもいい…
「おうおうおう…荒れているねぇ。まぁ、気持ちはわからんでもないが…」
全く気配は感じなかったのにいつの間にか客が来ていたようだ。
「兄上…何の用だよ?僕をバカにしに来たのなら帰ってくれ…今は余裕がない」
兄上はいつだって何でもできる。だから僕みたいに制限されることもない。いつも余裕を崩さない。
「くっくっく…見ていればわかるよ。そんなお前に朗報を持ってきたんだよ。聞くだろう?」
「……今の僕にとっての朗報はヒューズライトに行くことだけだよ。それ以外はいらない」
「ははっお前は物好きだよなぁ!ヒューズライトに行くために試練を受けるなんてさ…あんな恐ろしいところに自ら行きたいとかバカじゃねぇの?」
思わずキッと睨み返したら兄上の後ろにあったガラスが割れてしまった。
「兄上がそれを言う?!」
「くっくっく…それもそうだな!まぁ、落ち着け。そんなお前に試練に関係なくヒューズライトに行く方法を教えてやる」
「なっ!?本当か!?」
「おうよ!だがまぁ、普通に行くと違う方法だから何が起きるかはわからねぇがな」
「行く!どんなことでもする!教えてくれ!」
「よし!それでこそ俺様の弟だ!付いて来い」
兄上は僕と違って何度もヒューズライトに行っている。それがお仕事だから。ヒューズライトは危険だがこことは違う豊かな知識が沢山あって、僕たちはそこから色んな物を学ぶようにしている。一番びっくりなのは魔法がないのに、生活水準が僕たちとあまり変わらないらしいということだ。全く想像がつかないけれど、それだけ素晴らしいところだろう!
なのに危険だから僕は行ってはいけないと言う…まぁ、ヒューズライトに行くと帰って来ないものも多いのは知っている。亡骸が届くこともあるから、確かに危険かもしれないけど僕は沢山鍛練もした!魔法も体術も騎士団の中ではトップクラスだ!だから絶対に大丈夫だ!
兄上と衛兵等に見つからないように移動していたら、城の中にある古い井戸に辿り着いた。
「よし、着いたぞ。ちょっとこの蓋退かすの手伝え……んしょっと…ふぅ…この薬を飲んでこの井戸に飛び込め」
「…え?それだけ?というかお城の中にゲートがあったなんて初耳だけど!」
「そうだろうな。俺様が見つけたからな!これがヒューズライトに行く裏道だ」
裏道があったなんて初耳だけど、兄上が言うのなら確かだろう。国一番の騎士だからね。
「兄上、ありがとう!僕、必ず国に役立つ何かを手に入れて見せるから!」
「おう!頑張れよ!」
兄上はニカッと人好きのする笑顔をして快く僕を送り出してくれた。
「行ってきます!」
そして僕は井戸の中に飛び込んでいった……
「…あれ?何か言いそびれていた事があったような…まぁ、アイツなら大丈夫か!ふんふふん♪」
弟を送り出した兄は上機嫌に尻尾を振らしながら、呑気にご飯を食べに行ったのだった。
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