表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遊戯戦  作者: 太陽化身
6/11

1話-3

10分後。

「ハァ……ハァ……何とか、落ち着きました」

「お、おい、本当に大丈夫なのかよ……」

「まぁ、無理もないっすよ。ノート1ページ分を息継ぎ無しで言い切ったんすから。俺たち魔人ならなんてことないっすけど人間ですから……最悪死ということも……」

「!! そんな……! おい! 死ぬな! 死ぬな童貞! 俺たちはまだなにもやってねえじゃねえかよ……。何だってセッ●スとオタクの話なんかしちまったんだよ……そりゃ、自分からオタクって言う奴ほどイタい奴はいねぇって思ってるけどよ!」

もしもーし。

生きてますよー。何で、ドラマにありそうな病院のシーンを再現してるのか全くわかりませんけど。というかそんな大事じゃありませんけど。ちゃんと落ち着いたって言いましたけど。

「あのー……」

「! 生き返った! 生き返りました、先生!」

「なんと……まさか、1パーセントの奇跡を掴み取るとは。これは患者さんと毎日寄り添っていた貴方のお二方が起こした奇跡です。フッ……私もこの年になってから初めて奇跡というものを見させていただきました」

「…………」(僕)

いやもうなんの再現してんだよ。

これじゃあ、話が進まないじゃないか。

「あの? 隊長?」

「ん? どうした童貞?」

おいおいおいおい。もうこの人の中で僕の名前が童貞と定着してしまっているんじゃないだろうな。あと、さりげなく再現終わらそうとしないでくださいよ。

「ちょっと、確かに僕は童貞ですけど、それは隊長もヤタガラスさんも一緒のことでしょう?」

「「ぐぼはぁっ!」」

「だったら、童貞と言ったら隊長達も含まれるじゃないですか。そしたら名前の意味なくなっちゃいますよ」

してやったり。

二人の表情が暗いそれへと変わっていく。ってマジで可哀想なぐらいだよ。今にも泣き出しちゃいそうだよ。誰かヤッてあげて。

毎日童貞と呼んだら五日で死にそうだな……。

すげえ罪悪感があるわー。

「そ、うだよな? だったら、名、前の意味、も、ねえよな?」

「も、う、その話をや、めましょう。名前、なんて、二の次いや、三の次っす。とり、あえず、魔界に、戻りま、しょう」

ダメージ残ってんなぁ……。句読点が 変なところにあるし……。 「魔界ってどんなところなんですか?」

「いろいろこことは違うんすけど、まずは行き方についてっすね」

復活してる……。

「行き方っていうと飛行機とか船とか?」

「いいや、違えな。魔界ってのは基本的に魔人しか入れないように、魔人の血をひいてる奴の血を使うんだよ」

この人も……。

「? そしたら僕入れなくないですか?」

「俺たちと一緒にいれば大丈夫だ。あくまで人間みたいな他の種族達だけで入ることを禁止するってことだからな」

おお、さっきまで童貞についてのことを話していたから(僕も結構熱弁してしまった)、忘れていたけど魔人なんですよね。ようやくそれっぽい雰囲気が出てきたぞ……。

「さっき言ってくれた通り血を使うんすけど、別にこれはなぁーんでもいいんすよ。血でも髪の毛でも涙でもケツ毛でもチン毛でも精子でも」

…………そうなのか。

「えっと、じゃ、今回は髪の毛でいいっか。チン●の髪の毛で」

「これ以上異世界の夢壊さないでもらっていいですかね!?」

これおかしいだろ!? チン毛でいける異世界なんて聞いたことねえよ!

「いやぁ〜、壊すなと言われてもこれが毎日やってることっすからねぇ」

本気で困った表情を見せるヤタガラスさん。

あんた、本当にチン毛で行ってたのかよ……。

「いや、そんな怒んなって。チン毛や精子で魔界行けんのはヤタガラスだけなんだよ。本来自分の血ぃ使って魔術式とかその他めんどいことをやんねえとこちらと魔界の扉は開かねえ。早い奴なら15分ってところで終わるけどヤタガラスの場合自分の体の一部と合言葉言うだけで魔界に行けんだよ」

め、めちゃくちゃすげえじゃん。それって学者みたいなことでしょ? 新しい細菌や寄生虫とかを探し出すのは生半可な努力じゃ絶対にできない。いや、努力しても見つからないケースの方が多いはずだ。技術が発展したこのご時世でも。

「それでも他の奴らはできなくて俺一人しかできないってのはあんまり意味の無いことっすけどね」

さっきまでの下ネタ姿勢はどこへやら。今のヤタガラスさんは、どこか悲しげだ。

「それに」

ヤタガラスさんは続ける。

「この移動法は生まれついたときからできましたし」

だったら他の人にもできないのは納得できる。

って、何で隊長はこんな嘘をついたんだ……? も、もしかしてヤタガラスさんの触れては行けない過去だったり……。どうなんですか、隊長。

「なっ……」

隊長は絶句していた。

「「えっ……?」」

僕とヤタガラスさんは馬鹿を見る目(失礼)で隊長を見た。

「お、俺、そんなの初めて聞いたぞ……」

えぇー。説明のシーン結構かっこよかったのになぁ……。

「え、俺前に言いましたよ? もう忘れたんすか……。隊長の頭にはそういえ情報はないんですね……」

また、呆れられちゃってるよ、隊長……。

「待った。それは違うだろ。俺の頭の中にそういう情報がなかったらあんなキメ顔で説明したりしねえよ」

つまり、どういうことだ?

「俺の頭に、さっき説明した通りの奴がいるってことだよ」

「…………なるほどっすね。」

僕はまだ、魔界のことが全くわからないから何でこんな辛辣な表情になっているのかも全くわからない。ただこの人たちの今の表情はとても気分がいいものではなかった。

「あのぉー。魔界にいくんじゃなかったんでしたっけ? もう、チン毛でも精子でも何でもいいんで早く行きましょうよ」

高校の頃は人と喋っていなかったから、空気の読み方ってのがこれでいいのかどうかはわからない。それでも僕はこの話をさせることはいけないと思ったから。

「そういやそうだったな。少し脱線しちまったな」

僕の心を知ってか知らずかーーまあ、話が戻ったから気にしなくていい。どっちにしろ隊長は切り上げる様子だったけど。

「んじゃ頼んだぜ、ヤタガラス」 「了解っす」

そして、ヤタガラスさんが僕の方を向き、

「今日は精子使い果たしんたんで、もう使えませんよ」

などとクッソどうでもいい情報をめっちゃかっこいい表情と声で言いやがった。

かっけえなぁ……。見た目30代の不健康、コスプレ野郎としか思ってなかった自分を恥じるぜ。

あれが……侍……。

って

「知るか、んな情報! わざわざ自分の玉袋事情を言わなくていいから! 精子がなかったら他のでやればいいだけの話でしょ!?」

僕は激怒した。

いや、だってあんなシリアス展開になっていたのにそれをブチ壊しやがったんだよ、あの下ネタ野郎。

もしかしたらこの物語ではシリアス展開は貴重かもしれないのに、伏線になるかもしれなかったのに……!

それにさっきまで似合っていた和服も着てる奴が下ネタをベラベラ言ってると馬鹿にしか見えない。もう脱いじまえよそれ。

「フ●ラフ●ラ?」

べ・ラ・べ・ラ・だ・よこの野郎……!!

チキショー! ぶん殴ってやりてえ!!

「あ、もう魔界行きますよー」

ぬけぬけと話題逸らしやがった……!!

「え? ヌキヌキ? あのさぁ、下ネタやめてくれないかな? 今から魔界行くんだよ? ……………………えっとチン毛取れねえなぁおい」

堂々と股間に手を突っ込んでやがる……。下ネタ使ってんのはどっちだよ。無理やり僕の言葉を変換しないでいただきたい。

「うっひょ〜〜〜。取れた取れた。チン毛取れた〜〜♪♪♪」

チン毛で喜ぶってガキ並みじゃねえか。

生えてきたら嬉しいもんなんだけどさ。

「んじゃ行きますねー」

不意に嫌な予感が。確か合言葉が必要なはず……。

「合言葉はな」

隊長が教えてくれるよりもヤタガラスさんの声が響き渡った。


「レイプ!」


...………………………。

なんだ、ろうなぁ。

魔人とか魔界とか言われて妙に気を構えてたけれど、どうでもよくなった。ヤタガラスさんはこれを狙ってわざと……?

次の瞬間、

「あっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

僕は爆笑していた。

本当は僕も下ネタが大好きだから……。

ってオイ! 今回これで終わりかよ!? 僕の心の描写なかったらレ●プ叫んだ後爆笑している主人公の姿があるんだぞ!? 足下に魔法陣っぽいのが浮かび上がっちゃってるし、本当にレ●プが合言葉だったのも驚きだし、何よりこの途中で次回に投げ出すってどういう神経してんだよ!? どういう出だしになるんだよーーそこで僕の意識は次回に丸投げされた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ