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最強使い魔軍団を従えて  作者: K.K
2 不思議なモコ
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 クリスが護衛達に連れて行かれた後、使用人達は全員が仕事に戻った。特に料理人達は朝食の準備が出来ていないと、慌てて調理場に向かっていった。いつもの朝食の時間に絶対に間に合わせるぞ。と、料理長が発破をかけていたので料理は直ぐに出来上がるだろう。

 朝食の時間まで暇になったソフィアは、エレナに頼んでブラシを用意して貰い、モコの毛並みを整えていた。


「気持ちいい?」


『うん。もっとして。』


 モコはブラッシングが気に入ったようで、気持ち良さそうに目を細める。


「それにしても珍しい使い魔ね。どんな魔法が使えるのかしら?」


「モコって、そんなに珍しいの。」


「少なくとも私は初めて見る子よ。それに、どの使い魔図鑑にも載っていないわ。」

 

 ハンナは書庫から持ってきた使い魔図鑑でモコについて調べていた。大陸中の使い魔について書かれている筈の図鑑にモコが載っていないので、ハンナは首を傾げる。


「もしかして新種の使い魔かしら。だけど、どうしましょう。モコをどう育て方が分からないわ。」


「モコを育てられないの?」


「育てられない。と言うよりは、育てるのが難しいという言葉の方が適切ね。使い魔は種族や属性により使える魔法や性格、食事等が異なるの。だからモコについて早い内に理解をしないと、今度の成長に支障が出るわ。」

 

 確かにハンナの言う通りだ。ソフィアはモコについて知らない事が多い。モコの母親を名乗った謎の女性の件を抜きにしても、ソフィアはモコがたまごから孵化した事や、体を撫でたりブラシをかけると喜ぶ事しか知らない。

 モコとの今後の生活を考えるのなら、今のままではいけないのだ。モコについてソフィアは勉強しなければならない。


「モコお願い。モコの魔法を私達に見せて。」


『良いよ。何がいいかな。』


 モコはソフィアの膝の上から降りると、辺りを飛び跳ねる。よほどソフィアの初めてのお願いが嬉しいようだ。

 

「失礼します。ソフィア様、お召し物をお持ちしました。」


 だがモコの魔法が発動する前に思わぬ乱入者が部屋に入ってきた。未だにパジャマ姿のソフィアの為に、着替えを持ってきたエレナだ。何とも間の悪い時に来たものだ。


『これに決めた。』


「エレナ危ない。モコは止まって。」


 突然モコがエレナ目掛けて走り出した。まさか、エレナに攻撃魔法を放つつもりなのか。慌ててモコを静止しようとするが、モコは止まらない。だが、ソフィアの考えていたような事は起こらなかった。モコはエレナの持つドレスを奪い、部屋の隅に移動をする。

 エレナを攻撃するつもりではなかったと、ひと安心したソフィアは突然の事態で尻もちを着いたエレナの側に駆け寄った。


「だ、大丈夫。」


「エレナは平気です。それより、ソフィア様のお召物が…。」


「ドレスを破いたらダメでしょう。」


 エレナの視線の先を見ると、ドレスを破るモコの姿が目に入る。これにはソフィアも慌てて注意をする。


『見て、見て。出来たよ。』


「これモコが作ったの。」


「これが、先程のドレスですか。」

 

「ドレスがこんな風に進化するなんて、信じられない。」


『フリルとリボンを着けたの。』


 だが破けたはずのドレスを見て、ソフィア達の目は大きく見開いた。エレナが用意したピンクと白の2着のドレスを組み合わせて、モコは全く違うドレスを作り上げたのだ。

 ピンクのドレスを主体にして、裾の部分を白い布で波上に縁取り、腰の部分に大きな白いリボンが付いていて、とても可愛らしく仕上がっていた。


『これが僕の魔法の1つ。調合だよ。材料が揃えば僕は何でも作れるんだ。』


「初めて見る魔法ね。これでは、図鑑にも載っていないのも納得だわ。」


「そんな事より、ソフィア様早速着替えた見せて下さい。」


「ええ。」


 普段はオシャレは余り気を使う事のないソフィアだが、このドレスには興味を惹かれて急いでドレスの裾に腕を通した。


「とてもよく似合っています。」


「ええ、とても可愛らしいわ。」


 エレナ達に褒められて、ソフィアは照れくさそうにす顔を真っ赤にして俯く。自分が別人になったようで、少し恥ずかしいのだ。


「ソフィアが照れるなんて珍しいわね。」


「そうですね。あっ、折角ですからクリス様も呼び「ソフィアァーー」


 エレナがクリスを呼ぼうと扉を開けると、電光石火のごとく現れたクリスが抱き付いてきた。


「こんなに可愛くなって。ソフィアは本当は天使の生まれ変わりなのか。」


「苦しい。離して。」


「いや、もしかして本当に天使。天使なのか。」


「ク・リ・ス。」


 この直後、クリスの大絶叫が屋敷中に響き渡るのだった。

閲覧ありがとうございます。

<オマケ>ハンナとスイナール

(スイナールの言葉はハンナは理解出来ません。スイナールの言葉は全て紙に書かれた物です。)


ス「そんなに使い魔の本を集めて、何を探しているんですか?」

ハ「内緒よ。」

 (ソフィアに使い魔が出来たことを話したら、スイナールがショックを受けるから秘密にしましょう。)

ス「…ソフィアの使い魔候補を探していないよね。」

ハ「候補は探していないわ。」

 (もう候補ではなく、正式なソフィアの使い魔。嘘は言ってないわ。)

ス「そうよね。ソフィアに使い魔は早いものね。良かった。」

 (ソフィアが使い魔を探していたら、寂しくて家出する所だったわ。)

ハ「なんだかとても嬉しそうね。」

ス「別に、嬉しくないわ。逆にソフィアが使い魔について勉強が出来るよう、一緒にいてあげて時間が盗られて迷惑すると思っているんだからね。」

ハ(…暫くスイナールは召喚しない方がいいわね。モコを見たらショックで倒れるわ。)


 スイナールがソフィアが既に使い魔と契約した事実を知るのは、かなり後の話だった。

 

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