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最強使い魔軍団を従えて  作者: K.K
5 クラス対抗屋台バトル
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「さぁ、残りはルースに任せて僕たちは水城の泉に向かおう。」


 この細い腕の何処にそんな力があるのだろう。ソフィアは軽々とお姫さま抱っこされる。王子のようなスイレンの顔が近くにあり、ソフィアの顔が朱に染まる。だが、それも一瞬だ。スイレンの足が大地を蹴ると、大勢の人を飛び越え、ソフィアの停止も聞かずもうスピードでその場を離れた。


「…ソフィア。」


「残念でしたね。」


 咄嗟にソフィアに向かって出した手をリアムは引っ込める。もう少し話していたかった。今日この学園に来たのだってソフィアに会うためだった。時間を作る為に、寝る間も惜しんで勉学や剣術、魔法も必死で覚えた。苦労したわりに、ソフィアと会えた時間は短い。


(だからこそ良いのか。)


 ソフィアが他の女のように、媚びを売ればリアムはソフィアに興味は持たない。殆んど会えない。会ってもすぐに逃げられる。だからこそ惹かれるのだ。

 最上級使い魔を従える彼女だ。リアムが自分の妻に望んでも簡単に断れる権力が彼女にはある。それ以前にソフィアはクリス・ルリアミーナの娘である。多くは知らないが、父である国王さえも彼には頭が上がらないという。でも諦める気は微塵もない。


(次は水城の泉か。また、忙しくなるな。)


 リアムはソフィアが消えた先をずっと見つめ続けていた。




(ソフィアとリアム王子を見ると、胸が痛む。この気持ちはなんだ。)


 レオは初めての恋に戸惑っていた。ソフィアとリアム王子は仲が良いのか。いつ知り合ったのか。考えるほど胸がモヤモヤしていた。レオはソフィアを理想の剣の強さを持つ少女。出会った当初は憧れに近い感情を持っていた。それがいつ恋に変わったのか。リオと違い女の子に接点の少ないレオは気付かない。その感情の答えさえ知らない。


「また、会えるのか。」


 ポツリと漏れた呟きは誰にも届かず、レオの心を支配していった。



 

 時を同じくして、遠くから今までの光景を全て見ていた集団が居た。この学園の先生たちだ。


「こ、こんな筈ではなかった。こんな所に最上級使い魔が現れなければ、私の計画は全て成功していたんだ。」


「先生。」


「マリアンヌ・ヒカフル理事長。」


 名を言わなくても、この場にいる全員がマリアンヌが誰を呼んだか分かる。今回の騒動の原因であるBクラスの担任だ。彼は手足を震えを必死で抑え、マリアンヌを見る。


「私が留守の間、この学園は変化しました。最初は時代の流れかと思いましたが、原因は貴方ですね。」


「私はよりお金を稼げる方法を教えただけだ。実行したのは生徒たちで、私は関係ない。」


「黙りなさい。生徒たちに正しい商人のあり方を指導するのが、この学園の教師の務めです。そして、貴方はそれを放棄した。償いは受けてもらいます。」


 マリアンヌの瞳孔が光る。言い訳は通用しないと理解したBクラスの担任は、近くにいる教師たちを突き飛ばし逃亡を試みる。しかし、マリアンヌが簡単に逃亡を許すはずはなかった。


「召喚します。リーフ。シャドウ。」


「…マリアンヌ理事長の使い魔。」


 直ぐ様マリアンヌは自分が契約した使い魔を呼ぶ。彼等は緑と黒の光の輪から姿を現すと、逃げる教師の前と後ろに移動する。教師は逃げられないと悟りつつも、少しずつ後退るが、背中が壁にぶつかり逃げ場を完全に失なった。


『影に操られろ。自由を奪え。影縛り』


『食新芽。私の植物たちのエサになってね。』


「止めろ。止めてくれ。」


 周囲に絶叫が響き渡る。シャドウにより動きを完全に封じられた教師は、自分の体に巻き付く植物を剥がせない。そしてーー


『ごちそうさま。』


 生気を吸い取り、教師が動かないのを確認したリーフは魔法を解除した。そして、未だに騒がしい声がする方向に体を向けた。


『あれが、ソフィア様の使い魔。』


 ソフィアと違い、言葉が分かるわけではない。だが、長年一緒に居たパートナーの心をマリアンヌは理解していた。


(さて、もうひと仕事しますか。)


 他の教師たちにこの場を任せると、マリアンヌは光の最上級使い魔の登場に沸き立つ人びとの遥か後方にいる自分の孫たちの元へ足を進めた。




閲覧ありがとうございます。

<オマケ>サラの学園祭

生徒1「サラ先生。僕らの屋台を手伝ってください。」

サ「良いわよ。」

生徒2「先生、こっちもお願い。」

サ「ええ。」

マ「サラ先生。至急他の先生方を全員、職員室に集めてください。」

サ「はい。」



 ソフィア達より忙がしいサラだった。

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