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最強使い魔軍団を従えて  作者: K.K
5 クラス対抗屋台バトル
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「ダ、ダ、ダ、ダークウルフ!?」


「何故、こんな場所に‼」


 最上級使い魔の中で、闇を操るダークウルフは人間にとって特に恐怖の対象として恐れられていた。最上級使い魔についての書籍は殆んど残されていない。だが、彼らは人間が通常は使えない魔法を使用できる。そして、闇魔法の得意とするのは呪いだ。どんな呪いを掛けられるのか、恐怖で足が動かない。


「クロード、早く人化しなさい。人間たちが怯えているだろう。」


「そうだね。モフモフな今の姿の方が好きけど、今のままだと人間に話が伝わらないから人化してよ。」


 だが、その中で表情を崩さずダークウルフを友達のように呼ぶ者がいた。スイレンとルースだ。周囲の注目を一身に受けたダークウルフは無表情だった顔にふっと笑みを浮かべると、黒髪の美青年に姿を変えた。

 

「初めまして皆さん。ルリアミーナ家で執事をしているクロードと申します。」


「あれ?従者じゃないの?」


「いえ、ソフィア様の従者もしています。ソフィア様が学園に通う間だけ、執事をしているんです。」


「…ソフィア様の従者?」


 離れた所に居るルースは気が付いていないが、ハッキリとクロードは、ソフィア様、ルリアミーナ家と言った。ソフィアにリオとレオの視線が突き刺さる。


「あっ、忘れていました。ソフィア様はどこにいますか。」


「あそこで顔を青くしているよ。」


 絶対に態とだ。そう思っても、ソフィアは周囲の目が自分に集中していて声が出ない。


「ソフィア様自分の正体がばれても大丈夫ですよ。ハンナ様からの伝言です。『最近ゴミのお掃除が大変になってきました。しかも、私の知らない場所で我が家の名を勝手に語る虫が活動を始めたと耳にしました。もう我慢の限界です。大掃除をしようと思います。私が大掃除をしている間、ソフィアには別件で行動してもらいます。この件は私の落ち度なのですが、私よりソフィアが適任です。スイレンと供に水城の泉に向かいなさい。』だそうです。」

 

「なるほど。ソフィアちゃんがそこに居る偽者と違って、本物のルリアミーナ家の娘だと正体を明かしても、下心満載の野心家とは接点が無くなるから問題がないのか。」



 確かに元々自分の名を隠していたのは、学園で変な人に騙されてはいけないというハンナの配慮だ。学園に通う必要がないなら正体を隠す必要はない。理屈は分かるがソフィアには納得が出来ない部分がある。


「勝手に私の身分を明かさないでよ。クラスの皆には自分で教えたかったよ。」


「「ソフィア。」」


 大勢の前であんなに大きな声を出して。短い付き合いだが、ソフィアの性格を知る2人は感動していた。ソフィアがただの平民ではなく、身分を隠した大賢者の弟子、他国の王族、と色んな憶測が飛び交っていた。それを考えるとルリアミーナ家の娘というのはレオ達にとって、すんなり受け入れられる内容だった。

 だがそんなの今は関係ない。仮面をしないと小動物のようにビクビクするソフィアが大声を出したのだ。レオは感激で涙が出そうなほどだ。


「おい、今はそんなの関係ないだろう。ミルクと言ったか?身分を偽り、すぐに破れるドレスを違法な値段で販売したことにより、貴様を逮捕する。」


 リアムが仲が良さそうにするレオ達にムッとしながらも、平常心を装いミルクに向き合った。


「そんな‼私は先生に言われた通りにしただけです。商売に大切なのは、コストを抑えた商品をを大金で買ってもらうこと。ルリアミーナ家の娘だと名乗ったのも今日が初めてよ。それに偽物を販売して何が悪いのよ。誰も本物なんて知らないじゃない。それに私は学生よ。本物の商人では無いんだから。」


「黙れ。自分勝手な愚かな人間よ。我の裁きがほしいのか?」


 恐ろしく低い声が可愛らしい口から発せられる。その声に最上級使い魔であるスイレンでさえ数歩後退る。


「ヤバい。クロード。何とかしろ。」


「ルースがキレたら、手をつけられません。リアム、逃げますよ。」


 スイレンとリアムを担いだクロードがソフィアの近くに着地する。舞台の先にはミルクだけが取り残された。天使の仮面を被った悪魔が目を覚ました。





 

閲覧ありがとうございます。

<オマケ>モコとスイレン(学園入学前)

ス『2人の面倒をモコ様だけに任せられません。私も学園に行きます。』

モ『大丈夫だよ。』

ス『その自信は何処から来るんですか。』

モ『だって、ソフィアとルースに群がる男の子の姿が予想できるもん。』

ス『…確かに私がルースのドジのフォローをする必要はありませんね。』

モ『そうそう。』


 顔も知らない学園の生徒たちに、ルースのドジの対処という面倒事を押し付ける2人だった。

 


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