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「いらっしゃいませ。」
「クッキー下さい。」
「私はクッキー2つお願いします。」
学園祭が始まった。最初はクッキーは売れるか不安だったが、意外なことに列が出来る程の大盛況になっていた。
「みんなぁ、来てくれてありがとう。イオもお礼を言ってよ。」
「感謝はする。」
「イオ様。」
「リオ様。」
だが、クッキーが人気なのではなく、どうやらイオとリオ目当ての客が多いだ。お蔭で売り手はイオとリオに任せっきりで、ソフィアはお金の勘定等の裏方をしていた。
「お兄さんもクッキー買ってよ。とっても美味しいクッキーなんだ。しかも、あそこで勘定している子の手作りだよ。」
「カ、カワイイ。」
「美少女の手作りお菓子。買えるのは今だけだよ。」
しかも、イオとリオは男の子の人気も凄い。何と声を掛けているか離れていて聞こえないが、話し掛けられた男の子はほぼ100%列に並んでいた。
「ソフィアちゃん、クッキー持って来たよ。」
「これ追加のクッキーです。」
「ありがとう。」
ルースが追加のクッキーを持って、屋台に戻ってきた。正確には戻ってきただけだ。多分どこかでドジを踏んだんだろう。同じクラスの男の子がクッキーの箱を全て持っていた。そして、代わりにルースの手には屋台で売られていたと思われる商品が山のように乗せられていた。
「聞いてよ。色々な屋台の前を通ったけど、ソフィアちゃんの考えが大当たりだよ。屋台の値段は他と変わらないのに、サービスがいいから、何処もAクラスの屋台は繁盛していたよ。あと、これお土産です。」
「こんなに、どうしたの!?」
「美少女なルースに、男子達からの贈り物ですよ。」
クラスの男の子の目が遠くを見ている。ルースが迷惑を掛けたようだ。ルースだけで行かせた事を後悔して、ソフィアは貰ったばかりの箱からクッキーを取り出し、男の子の前に出す。
「これ持ってきてくれたお礼。後で食べてね。」
「女王様ありがとうございます。」
「普通にソフィアで「それでは、自分の屋台の手伝いがあるので失礼します。」」
ソフィアはクラスメイトの大半から、女王様と呼ばれていた。本人はイヤだがソフィアの女王様モードに惚れた生徒にとって、ソフィアを呼び捨てにする等、言語道断であった。
『諦めた方が早いよ。』
モコにまで見放されたソフィアは肩を落として、女王様呼びを受け入れるのだった。
「もう少しで午前中の分が売り切れるよ。」
「まだ開始して2時間も経ってないのに、千個売ったの。」
「予想より大勢が買ってくれたからな。このペースなら予定より早く回れそうだ。」
学園祭では自分達が商品を売るだけではなく、商品を見る目を養う為に屋台で商品を販売する時間が決まっている。他の班の商品を見るのも勉強の一環なのだ。
「それじゃあ、早く売って遊びに行きましょう。」
改めて気合いを入れ直して、ソフィア達はクッキーを売るのだった。
「俺たちの作ったカステラを食べてくれ。」
「イオ様、私たちのから揚げを貰ってください。」
学園祭を回っていたソフィア達は、生徒達からのプレゼントにより、両手いっぱいに食べ物を抱えていた。先程のルース状態だ。クッキーの箱を運んでくれた子の気持ちが分かる。数歩進んだだけで誰かが声を掛けられる。これは大変だ。
「みんな優しいよね。」
「こんなに食べきれないよ。」
「他のAクラスの子に差し入れしようか。」
「うん。それにしてもイオ達と仲良くするだけで、私までこんなに沢山貰えるとは思わなかったよ。」
「「はっ?」」
違うの?イオ達が持てないから私に渡しただけなのか。イオ達の驚く顔からそう判断したソフィアは顔を赤くする。自分が貰えたなんて自惚れてしまった。ソフィアは未だに商品を販売している同じクラスの子に、商品を手渡すと、誤解していた事が恥ずかしくなり身を縮めた。
「また変な誤解しているな。」
「自分にもファンが居るの気付かないんだろう。寧ろ天然がカワイイと人気らしいよ。」
双子はなんか残念だとソフィアを見て、肩を竦めた。
「あれ?この人盛りは何だろう。」
「ここはBクラスの屋台だね。」
「なんか面白そう。近くに行こう。」
「ルース待ってよ。」
ソフィア達のクッキーの販売よりも、沢山の人盛りが出来ている屋台を見付けてルースは走り出す。人が多く危ないと思いながら、ソフィア達は人を縫うようにしてルースを追う。そして、目を疑う光景を目撃した。
「さあご覧下さい。なんと今日の学園祭の為にあの有名なルリアミーナ家のお嬢様が、来てくれました。」
「ミルク・ルリアミーナよ。本日は特別に我が屋敷のドレスを売りに来ました。値段は交渉でお願いします。」
自分をルリアミーナ家の者だと名乗る偽者の存在に、ソフィアの怒りは瞬く間にピークを向けるのだった。
閲覧ありがとうございます。
<オマケ>クリスマスプレゼント
エ「ソフィア様はサンタさんに何を貰うんでしょう。」
ハ「ソフィアは今年は何も貰わないわよ」
エ「何でですか。勿体ない。」
ハ「…エレナ考えてみなさい。モコの作る物以上の物をサンタさんがプレゼント出来ると思う。」
エ「無理です。(きっぱり)」
ソフィアにはモコからプレゼントを渡した方が確実に喜ぶ。そう判断した2人だった。




