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最強使い魔軍団を従えて  作者: K.K
5 クラス対抗屋台バトル
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 Aクラスに入ると、既に沢山の生徒達が集まっていた。席は自由なようで、窓ぎわの席や教壇から離れた後ろの席は既に、他の生徒で埋め尽くされていた。前の席は数人が座っていて空いていたが、余り目立ちたくなかったソフィアは廊下側の、教壇から遠すぎず、近すぎない真ん中の辺りの席に座る。


「…ルースはなんで、隣に座らないの?」


「斜め後ろの席はソフィアちゃんの様子がよく観察出来るからね。侍女として、ソフィアちゃんの様子を観察するのも私の仕事だよ。」


「ここでは勉強が仕事だよ。お願いだから、隣に座ってよ。」


『正直に、隣にルースがいないと心細いと話せばいいのにね。』


 モコに心の中をずばりと言い当てられて、ソフィアはルースの顔を直に見れず、そっぽを向く。知らない人と隣では、緊張をしてしまう。恥ずかしがり屋を克服しろと言ったハンナには申し訳ないが、ソフィアはルース以外の子に自分から話し掛けられる自信がなかった。


「席がない。」


「イオが剣の稽古を早めに切り上げないからでしょう。ほら、ここの席に座ろう。斜めでも僕とイオの席が近いから、良いでしょう。」


「…問題ない。」


 ソフィアとルースの隣に、男の子が座る。他の空いている席は殆んどなく、ソフィアとルースが隣で座れる席はない。ソフィアはルースと隣に座るのを諦めて、授業が開始するのを待った。


「皆さんこんにちは。私はこのクラスの担任のサラです。最初はお互いを知るため、自己紹介をしましょう。指名された子から順番に名前と、この学園に入学した目的を話して下さい。では、貴女からお願いします。」


「わ、私ですか。えっとソ、ソフィアです。今度私の領地で新しく商会を作る事になり、商売について勉強する為に学園に入学しました。」



 突然の指名に動揺しながらも、ソフィアは立ち上がり自己紹介をする。自己紹介なんてクラス中が注目をする事は早く終わらせようと早口で話すと、ソフィアは椅子に座った。


「最初の自己紹介でソフィアさんは少し緊張をしたようですね。ですが、印象に残る良い自己紹介でしたよ。では、次は貴女お願いします。」


「私はルースです。今度、ソフィアちゃんのお父様に任命されて、商会の会長をすることに決まりました。商売の事はよく知らないので、色々と教えて下さい。」


「元気のある自己紹介ですね。では次はーー。」


 自己紹介は問題なく進んでいった。殆んどの生徒が商会の跡取りで、学園に勉強に来ている子が多かった。だが、最後の自己紹介で問題が発生した。


「イオ・ヒカフルだ。父の命令で来た。商業に興味はない。話し掛けるな。」


「イオ君。クラスの人達とは仲良くしてね。」


「…。」

 

 ソフィアの隣の席のレオの自己紹介に、クラス中が目を白黒させる。唯一最初にイオと一緒に居た男の子だけは、この状況を楽しそうに眺めていた。


「イオ君は後で先生とお話ししましょう。では、改めて皆さんには今から、班に別れてクラス対抗学園祭に向けての準備をして貰います。」


「クラス対抗学園祭って何ですか?」


 一人の生徒がサラに質問をする。サラはその質問を待っていたとばかりに笑顔になる。


「クラス対抗学園祭とは、来月行われる学園行事のひとつです。ここで皆さんには班ごとに屋台を出して、自分達のオススメの商品を売って貰います。そして、どのクラスが1番の利益を出したかを競って貰います。」


「私たちの商人としての腕を試すということですか。」


「そうです。この学園祭は先生は生徒からの質問には答えますが、その他は最低限の事を除いて口を出しません。自分達の今の実力を知るための最初の難関。そう捉えて下さい。」


 サラの言葉にクラス中が騒ぎだす。授業で分かりやすく商人になる知識を教えて貰えると思っていたのだ。一応は商業学園に通う生徒だ。ある程度の知識はある。だが突然何かを売れと言われても、それを簡単に出来るほど彼等には知識は備わっていなかった。


「班は席の近くの子と組みます。商人には時には運が必要になります。弱い護衛を雇った為に、山賊に襲われて積み荷を奪われることもあります。この学園祭は運も含めて、全てを評価します。未来の商人の皆さん、頑張ってくださいね。」


 近くの子と班を組む。ルースと同じ班なのは、恥ずかしがり屋なソフィアにとって有り難いことだ。しかし、隣の席の子は問題である。


「仕方がない。最低限は話していい。」


「ありがとうございます。」


 笑顔でお礼を言うルースと対照的に、ソフィアの顔色は悪くなっていった。ソフィアの苦労の芽が増えた瞬間だった。

閲覧ありがとうございます。

<オマケ>サラとイオ

サ「イオ君はもう少し友達と仲良くしなさい。イオ君のお父様が、自分を学園に入学させた理由を考えなさい。」

イ「俺が学園の先生を倒したからだ。」

サ「そうです。お父様はイオ君に友達が少ないのを心配して…えっ。」

?「本当だよ。イオが学園の教諭を全員倒して、毎日つまらなそうにしていて、新しい刺激を与えてやろうと、此処に入学させられたんだよな。僕まで巻き込んで、本当にいい迷惑だよ。」

イ「リオは学園に戻って、女の子と遊びたいだけだろう。」

リ「まあね。」


 頭を抑えながら、何も言えないサラだった。


そしてオマケで名前が初登場したリオ。彼もこれからソフィア達と一緒に行動します。

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