11 最後に登場人物紹介あり
「つまり嬢ちゃんにとっては、使い魔との会話は普通のことで、その凄さが理解出来ないんだな。」
ソフィアは黙って首を縦に振る。当然だ。ソフィアは毎日のようにスイナール達と会話しているのだ。それが常識ではないと言われても簡単に信じられなかった。
「まさか、スイナール達とも会話が出来るなんて…、スイナール達とお話しする振りをして、友達がいない寂しさを紛らわしている。と言うのも噂はデマだったのか。」
「そんな噂が流れているの!?」
「ああ、使い魔とお話しする振りをするソフィア様は愛らしいと、侍女達が言っていたぞ。」
ソフィアの顔が赤くなる。直接言われた訳ではないが、愛らしいと周囲が言っていた事が堪らなく恥ずかしいのだ。ソフィアはジェームズと視線を外すと、赤くなった頬を撫でる。
「その反応、侍女達が嬢ちゃんを可愛がるのも納得だな。実際本人が自覚は無いだけで、美少女だし将来はハンナ様以上にモテるかもな。」
ジェームズがソフィアに聞こえないように小声で呟く。ソフィアは美少女だ。だがとある理由からソフィアは自分が平凡だと思っていることを使用人全員が知っていた。
(教えた方がいいか。それとも此処は自分で気付くまで黙っているべきなのか)
「…」
ジェームズが唸りながら考え込んでいると、ソフィアと目があった。学習しないとはこの事だ。先程考えていた内容を白状させられる。ジェームズは瞬間的に理解した。
「ジェーム「え~と、そうだ。俺はクリスに嬢ちゃんが使い魔と会話が出来るのを伝えに行くから、モコの食事はもう少し待っててくれ。」ズ。」
逃げるが勝ち。ジェームズは早口で言い訳をするとその場を去った。ジェームズの俊敏な動きにソフィアは止める暇もなかった。
『ご飯まだ。』
「ごめんね。ジェームズが用事でお父様の所に向かって、料理が作れないの。」
モコに早くご飯をあげたいが名案が浮かばない。料理長であるジェームズに無理な事を他の料理人が出来るはずもない。完全にお手上げ状態だ。
『ソフィアが作ってよ。』
「無理だよ。料理なんて作れないよ。」
モコの提案にソフィアは慌てる。ソフィアはこれでも伯爵家のお嬢様だ。料理をした事は1度もない。ソフィアはジェームズのように上手に作れる自信はなかった。
『僕が作り方を教えるから良いでしょう。お願い。』
モコに上目遣いで見詰められる。ソフィアはモコのお願いに弱かった。いつの間にか、ソフィアは頷いていた。
登場人物紹介
〈ソフィア・ルリアミーナ〉
自覚なし!?使い魔と話せるチートな美少女。
溺愛するクリスのせいで、屋敷の外に出る機会が少なく、常識に疎い。
他が驚くモコの行動もすんなり受け入れる。
少し恥ずかしがり屋な所がある。また、スイッチが入ると自分の意見を言う。(特にクリスの溺愛モードの時)
〈モコ〉
謎の多いソフィアの使い魔でオス
ソフィアに撫でられるのが好き
魔法は調合。ドレスを作って侍女の間で神格化されている。
実は調合以外にも凄い魔法がある。
この世界にない知識を持つ。
〈クリス・ルリアミーナ〉
ソフィアの父親で美男子。
ルリアミーナ伯爵家の当主。
娘を溺愛しているが、その様子を見ているソフィアが自分を子供のようだと思っている事を知らない。
ハンナのお仕置きにもすぐ復活するほど体が頑丈。
〈ハンナ・ルリアミーナ〉
ソフィアの母親で美女。
別名、伯爵家の青い薔薇と呼ばれ若い時はかなりモテていた。なぜクリスのような残念なイケメンと結婚したのかは、今の所は不明。
水の上級使い魔2体と契約。クリスのお仕置きの際によく召喚する。
〈スイナール〉
ハンナの使い魔でツンデレ人魚族。
ソフィアが好きだが本人に伝わらない可哀想な子。
〈カメルン〉
ハンナの使い魔でマイペースなカメダ族。
のんびり屋さん。スイナールとソフィアのやり取りを見るのが好き。
〈エレナ〉
ソフィアの侍女。
ソフィアに可愛いドレスを着せるのが好き。
〈ジェームズ〉
ソフィアやクリスにも軽口で話す料理長。
今までのキャラの中では常識人。
〈その他の使用人達〉
名前のない使用人達。
ソフィアは可愛い、クリスは大人になれ、ハンナは女王様、と思っている。
閲覧ありがとうございます。
<オマケ>クリスとジェームズ
ジェ「失礼します。クリス、大変な事が起こったぞ。」
ク「忙しいから後にしろ。」←軽くあしらう。
ジェ「…嬢ちゃんが大変だ。」
ク「ソフィアに何か遭ったのか。何が遭った‼ケガの1つでもしたと言ってみろ。お前の首がとぶぞ。」
ジェ(親バカ面倒くさい)
発狂するクリスを前に、ハンナを連れてくれば良かったと後悔するジェームズだった。




