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異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)  作者: にょん
第一章 異世界に栄光あれ
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8 . 紅茶 or ミルク?

「紅茶でよろしいでしょうか?」

「私はミルクでお願いできないでしょうか…...?」

「金髪の方がミルクで、他は紅茶をお出ししなさい」

煌びやかな数時間前にいた城より豪華ではないかというぐらいに様々な調度品が飾られた応接間に通されラインが従者に茶の手配をする。私がロココ調のソファに座り三姉妹が側に立つとラインは机を挟んだ反対側のソファに座った。よくよく見れば桃髪から覗く白い狐のような耳に黄色の瞳。黄色とピンクを基調とした統一感のあるシンプルなドレスがよく似合い、その後ろから白の尻尾が飛び出している。

「ライン…だっけ? ラインって種族とかはなんなの?」

「あぁ、そういえば今日変え月を行われたとか! まだ一般には公表されてませんが上の方では噂になってますよ。じゃなくて、種族の話ですね。わたくしは『ケットッシー』、獣人ですね。そちらの表現でいう『獣耳少女』って事です」

 なんでそんな事知ってんだよ。

「ふふふ、いまなんでそれを知っているかとお思いですね? わたくしの友に変え星を行われた人がいまして、よくお話を聞くんですよ」

 るんるんとラインが話す。エスパーか何かなのだろうか?

「先程も言いましたがケットッシーという種族は幻想、幻を見せる事のほかに、心を読み取るという荒技もできるのです」

 つまりエスパーか。

「はい、そうです」

「あのー、お二人で会話なさるのはいいのですが片方心の中で喋らないでくださいー!」

 そう割り込んできたのは困った顔をした三姉妹の中でも焦ったような顔のマイだった。あはは…...、すっかり忘れてた。マイなら別に放置プレイでもいいかもしれない、と思ったが普通に謝る事にした。アイに怒られる。

「ごめんごめん、今度は気をつけるからさ」

「まぁ貴女の事を放置プレイにしようか迷ってらっしゃいましたがいいでしょう、口に出すまでもない事ですね」

「だしてんじゃん」

 マイが凄い怒りオーラを出してるのでそちらを向くと一瞬目があったがぷいっと何処かに向いてしまった。むむぅ、ののままだと皆の仲がギスギスしてしまう。本音のところマイをこれからいじれなくなってしまう。

「はいはい帰りに焼き菓子でも買ってあげるから」

「ほんとですか!?」

 目を輝かせこちらに凄い勢いで向き直った。こいつチョロい…。この場の誰もがそう思ったであろう。金髪の三つ編みがブンブン揺れていていまにも壁際の台に置かれた無数の調度品が壊れそうだ。

「お飲み物お持ちいたしました」

 扉が開かれ現れた侍従はお盆の上の五つのティーカップを机に置いた。私とライン、アイとメイの香ばしい紅茶の香りが部屋を満たす。マイのカップの中だけ白い液体が入っているが気にする事はないだろう。


「あ、あのぅ...…」


「これ、ミルクティーです...…」

 マイの発した言葉にカップを運んできた侍従はぎょっとしてラインに助けを求めるような視線を送る。

「これはこれは、申し訳ありません。ただちにミルクを持ってこさせますね。魔王様の侍従様のお飲み物をミルクとミルクティーを間違えるなど言語道断でございます。今後一切繰り返さぬよう__」


「いや、いい」


 頭を下げ申し訳なさそうに告げるラインを制すとマイに向き直った。

「マイはミルクティー、飲めるよね?」

「えっでも私ミルクティーは__」

「飲めるよね?」

「え、いや、あの」

「飲めないの?」

「飲めます」

「という訳でそのままで結構。迷惑かけてごめんね」

「いえ、滅相もございません!」

ひきつった笑顔のマイを一瞥すると再度頭をさげるラインを見やった。

「この紅茶、いい香りだね」

「多分これはエリオス地方特産の高級紅茶ですので、品質や味、香りは格別かと」

「アイさんよくわかりましたね、これはエリオス地方の特産紅茶で大当たりですよ!」

「メイはあまり違いがわかりませんね…」

「ぅぇ…」

「マイ、ミルクティーおいしいかしら?」

「…美味しゅう…ございます…」


 マイににっこりと笑いかけた。

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