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異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)  作者: にょん
第二章 三姉妹と精霊少女に栄光あれ
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28 . 海街マリティモ

レトロな列車がある駅に着いたのはあれから30分程後の事だった。

「着きましたねー!」

ストンとマイが列車の出口から駅のホームに降り立った。白い木の使われた綺麗で海がすぐそこにある駅だった。メイに続いて私も降り立つ。

やはり魔王ということもあってか、地元の兵士なのだろう、布や皮で作られた安っぽい鎧に槍を手にしている兵士達が道を作っていた。私達が通ると少し顔がにやけるのは気のせいだろう。

「マリティモはその名の通り海の街なのですよ。漁業も盛んなんです」

「なーるほど」

アイの軽い説明を右から左へ聞き流すと看板を見て駅の外へ向かった。

「ていうか、手紙にはなんて書いてあったの?」

「『父危篤、急いでこい』です」

「あぁー病気かなんかなの?」

「メイが行ったときは都合によって両親には会えませんでしたが、病気なら仕方ないかも、です」

「てか急いで来ちゃったけどどれぐらいいるつもりなのよ」

「二泊三日の予定です」

駅から出るとエリオス地方でも乗ったようなお次は青を基調とした馬車が構えていた。心底すげぇ、と思う。

「おお!急いで連絡をさせましたがもう馬車の手配ができるてるとは!歩いてすぐそこなのに!!」

隣でマイが鼻息荒く最後の言葉を放ったのを耳にし傍にいた執事のような人に告げる。

「この近くの歩いてすぐなら馬車はいらないわ」

「しょ、承知しました…?え、あの」

何か言おうとしてきたが無視して前に向き直ると何も言わなくなった。物わかりの良い人でよかった。でもでもだって〜等を繰り返す面倒な人だったら面倒だ。

「しかしアイナ様。歩いてすぐと言っても5分、10分歩かなければいけないのですが」

こいつのように。

「いいから早く歩く!」

なんとか促すとアイは仕方ないというような顔で私の前に出た。

「…それではメイデス家まで案内させていただきます」

どうやら呆れているようだ、ふむ、何故だろう。アイが一歩踏み出したので同じようにアイについていく形となった。

「ね、ねぇ、メイ。あの執事みたいな人ってうちの人じゃないよね」

「で、ですよ、お姉様。どうします、あの人超困ってますよ、アイナ様に伝えますか」

「いや、何も言わないでおきましょう」

「はい、お姉様」

何やら後ろでごにょごにょ話しているがきっとこの馬車はいらないという私の庶民性を褒め称えているのだろう。そうに違いない。

「ていうかお父様が危篤なんですよ?なんでそんなのんびりしてるんですか」

アイの冷たい視線に殺られた。

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