「冷血探偵」各話あらすじ
ここでは、連載中にトップページに掲載していた各話の短いあらすじを紹介しています。
~こちらコールドブラッド探偵社~
巨大遺跡『大竪穴』に暮らす蜥蜴人種の探偵・ベク=ベキムは、冒険者ギルドの大物から人探しの依頼を受ける。全滅したはずの冒険者パーティの一人が、発掘した古代の魔法アイテムを着服し潜伏しているというのだ。依頼に不自然な点を感じながらも、調査のため、竪穴の内部に作られた『空中市場』へ向かうベク=ベキムだったが…。
~ブリング・バック~
陰鬱な大竪穴の雨の日。ベキムは一人の少女から、歓楽街周りの悪い仲間に引き込まれた恋人を大金と引き換えに連れ戻してほしいとの依頼を受ける。単身、歓楽街・第5大隧道に乗り込むベキムだったが、謎の集団に叩きのめされ、また依頼人も依頼自体を突然取り下げてしまう。傷を負い目的も失ったベキムだったが、まだ引き下がるつもりはなかった……!
~ファントム・レディに捧ぐ~
顔なじみのバーテンダー・ジギーから依頼を受けたベク=ベキム。冒険者たちの間で伝説となっている幻の酒「ファントム・レディ」が、第6大隧道の遺跡に眠っているという噂の真偽を確かめてほしい――呑み代を報酬に軽い気持ちで引き受けたベキムだったが、調査が進むうち、遥か過去から続く遺跡の謎に引きずり込まれていき……?
~かくて幕は降り……~
王立アカデミーの教授が持ち込んだ依頼は、『うちびと』の歴史書にまつわるものだった。はるばる学問の街・第3大隧道まで赴いたベク=ベキムだったが、調査の結果は矛盾を感じさせるものばかり。さらに、太古の『うちびと』の信仰にまつわる謎と、魔神を信仰する一団の影が、ベキムの前に立ちはだかる……!
~探偵 マフィ・エメネス~
被告人、ベク=ベキム。容疑は殺人。求刑は、死刑……酒場からの帰りに殺人事件に巻き込まれたベキムは、空中市場を支配するギルド複合体・バザールに容疑者として拘束され、バザールの法廷で裁判にかけられることになってしまった。窮余の一策として、無罪を証明する証拠探しを頼まれた腐れ縁の故買屋・マフィは、事件の手がかりを追って空中市場を調べ始めるのだが……。
~子らを悼む歌~
突然ベキムの事務所を訪れた少年は、古代の財宝を差し出し訴えた――父を殺した犯人を見つけてくれ、と。その手には、鳥人との混血を示す羽毛。そしてその懐には、あどけない顔には不似合いの拳銃が忍ばされていた……! 教会建設反対運動のさなかに起きた殺人事件は、何を意味するのか? 少年の依頼を受けて第7大隧道に赴いたベキムは、『うちびと』と人類との宗教対立に隠された、苦い真実を知ることとなる。
~血と冷血~
前回の仕事を終えてから沈みがちのベク=ベキムの元に、一人の女性が現れる。『ブラッド』を訪ねてきた――その名を聞いてベキムの脳裏に、過去の事件が蘇る。コールドブラッド探偵社が産声を上げる以前のこと。一人の男が遺した思い出。失意の探偵は再び顔を上げ、かつての友の跡を継ぎ手がかりを追い始めた……!
~稲妻の歌を聴け~
歓楽街の顔役・ボルゴに呼ばれたベク=ベキム。第5大隧道の裏カジノのサイコロ賭博で猛威を振るっている、「負けないディーラー」の正体を突き止めてほしいという。ギャンブルである以上、無敗には必ず何らかのイカサマが隠されているはず――変装してカジノへ乗り込んだベキムは、美しく不敵な無敗の女ディーラーと対峙する!
~カーテン・コール~
※注意:この作品は、第4シリーズ『かくて幕は降り……』の後日談であり、ネタバレを多分に含んでいます。未読の方はお気を付けください。
深層の「深み」、第8大隧道で発見された死体は、ベキムとも因縁深い元アカデミー教授のものだった。彼からの手紙を受け取ったベキムは、その死に不審なものを感じ、彼の加わっていたパーティが全滅した原因を探るためギルドの調査隊に加わる。そこへ、ベキムと浅からぬ因縁を持つ者たちが次々に現れ……?
~怪盗バップ・ホッパーの愛情~
念願かなってやっと手に入れた書籍を、巨大な帽子にマントという奇妙な格好をした男に盗まれてしまったベキム。必死の捜査の末、それは空中市場を騒がす謎の愉快犯『怪盗バップ・ホッパー』の仕業であると知る。奪われた本を取り返すため、謎めいた怪盗の正体に迫るベキムだったが……?
~ファニイ・フェイス~
ベキムの元に、外界の王族関係者から仕事が舞い込んできた。周遊旅行中に第1大隧道を訪れた姫君の護衛をしろというのだ。蜥蜴の顔というもの珍しさを見込まれての仕事に腐りつつも、初めての最上層・第1大隧道ということもあり観光気分で出かけたベキムだったが……?
~熱き鋼に~
第6大隧道での仕事中に負傷し、路上で倒れたベキム。彼を救ったのは、地底小人の血を引く鍛冶屋の娘だった。彼女の祖父の鍛冶屋へ厄介になっている内、彼らが鍛冶屋ギルドによる不当な圧力を受けていると知ったベキムは、せめてもの恩返しにと事態の収拾に動き出すのだが……。
~荊の胎~
ベキムの元へ、差出人不明の封筒が届いた。中には第5大隧道の住所と、深層で使われていた古代の貨幣――興味をそそられ、住所の場所まで赴いたベキムが出会ったものは、ジェマイアス教会関係者の連続惨殺事件であった。謎の依頼人は誰だったのか? そして、第5大隧道に暗躍する猟奇殺人者の正体とは? ベキムは宗教界の闇の中へと足を踏み入れてゆく。
~太陽館の人々~
第4大隧道の農園主から依頼を受けたベキム。『太陽館』と呼ばれる大邸宅へ招かれたベキムを待ち構えていたのは、一癖も二癖もある依頼人一族だった。家族間の不穏な対立関係に、嫌な予感を感じるベキム。そしてその予感は、殺人という形で現実のものとなる……!
~一なる根より生ずる~
恩師ジョルダンスン教授が倒れたとの報を聞き、第3大隧道に駆けつけたベキム。廃墟と化した地・第2大隧道への調査旅行から帰ってのち、心神喪失の状態になったという。その原因を探るべく問題の場所を訪れたベキムは、純粋人類でありながら古代『うちびと』語を操る謎めいた女性と出会う。その出会いが、大竪穴の根幹にかかわる深淵を覗く旅へ繋がるとも知らず……
~激震~
大竪穴は変わり始めた。
赤鎖隊の全大隧道配備により、メイユレグ討滅を大義名分とした亜人の弾圧とバザールによる統制強化が進み始める。それに対して『うちびと』の抵抗運動も激化し、今や2者間の緊張は危険な二重螺旋を描いて高まりつつあった。
そんな中、純粋人類居住区からの亜人一掃を企てる赤鎖隊に対し、メイユレグはついに大蜂起を決行する。決戦の場は赤鎖隊の本拠地、空中市場! 深層から上がりくるメイユレグ導師らの古代魔術が、容赦なく街を蹂躙する。2大勢力の決戦に巻き込まれた、ベキムら市井の人間の命運は? そして、さらにその陰で嗤う影の企む計画とは?
~涯なき夢の涯~
メイユレグ蜂起からひと月あまり。空中市場とともにジャムフは奈落に消え、それと入れ替わるようにして大竪穴の底からは「神の狂気」としか言いようのない奇妙な生物群が群れをなして登って来ていた。
そんな中、ベキムは赤鎖隊隊長ロイから、思わぬ依頼を受ける。大災害の後処理をするため開かれる外王国との会合において、外王国の「大竪穴封じ込め」工作を阻止してほしいというのだ。ベキムはロイと共に第1大隧道へと登るのだが……!
イユル=ゲマフを巡る謎と、大竪穴の狂乱に、今終止符が打たれる。