第1章
~~第1章 ―出会いは唐突に―~~
「暑い……親父達は仕事で毎日こんなに苦しんでたのか…。」
誰に話すわけでもなく呟いた。
「暑いぃ溶けるぅぅ…。」
初仕事、始めてからまだ1時間半くらいしか経ってない。こんなのに耐えれるのかー?
旅人だって最初に来たおっさん一人だけしよー。
あーぁ、気が遠くなりそうだ。
「あのー…」
ただ立っているだけが案外一番しんどかったりするんだよなー。
「…すみません、聞こえてます?…」
他の仕事ならその作業に熱中したりできるからなー。
「聞いてます!?」
「わっ!あっ・・・よ、ようこそ!ニューネムンへ!」
ぼーっとしてて全然気づかなかった。
目の前にはむすっとした女の子がいた。
14歳くらいだろうか?
長く桃色をした鮮やかな髪はかなり目を惹かれた。
胸は少し控えめだがかなり可愛い娘だ。
「すみません!ちょっとぼーっとしてて…」
「いえ、別に怒ってないですし。」
嘘だ。凄く不機嫌そうな顔してる。
「それで君、どうしたのかな?お母さんとはぐれたのかな?」
「な!…わたしがそんな年に見えるのか!?」
さっきとは非じゃないくらいに怒ってきた。
もしかしたら年齢は結構高かったりするのか?
「んー…見た目的には…?」
「失礼な!!わたしは16才だ!!!」
あれ?そんなに予想と変わらなかったぞ?
でも16才じゃお母さんとはぐれたってことはないよな。
「それはすまなかったな。じゃあ旅人さんかな?」
「いえ。勇者です。」
ん?何かおかしな単語が聞こえたぞ?
「…それはすまなかったな。じゃあ旅人さんかな?」
「いえ、勇者です。」
聞き間違いじゃなかった。
「へぇー勇者かー。最近の流行りなの?あれって王様と契約してやったりするんじゃないの?」
「国王との契約ならしましたよ。流行りって…遊びじゃないんですから。」
「ってことは君、本当に勇者なの?」
「最初からそう言ってます。」
「勇者ってことは…今世界は混沌としていたりするってことか?…」
「何を言ってるのですか!禁忌魔法で世界を滅ぼそうとしてるミュールのこと知らないわけでもないくせに。」
「ん?ミュールって誰だ?知らんな。」
俺がそう答えたら彼女はすごく驚いた。
「え!?ここは彼の魔法の影響を受けてないの?」
「特に何もないかと。」
「えぇ!?」
こんなに話し込んでいて大丈夫か?
まあ旅人もどうせ来ないから良いか!
。。。。。。。
彼女の話は驚きばかりだった。
魔法の腕にあまり恵まれなかったミュールという魔法使いがいたそうだ。
魔法使いは、魔法使いの家系しか使えない。
だから魔法使いの家系に生まれたら絶対に魔法使いになる。
つまり彼はどれだけ才能が無くても魔法使いにならざるを得なかった。
そんな彼は毎日必死に特訓したが、魔法の腕はさっぱり上達しなかったそうだ。
しかしある日突然彼の魔法の腕が異常に上がったらしい。
禁忌魔法は危険ということもあるが、普通は使おうとしてもまず使えない。
ごく稀にとても才能に恵まれた奴が使えるのだが、それも一回使うのが限界。
彼はそんな禁忌魔法をいともたやすく連発するくらいの腕になったらしい。
自分の町を破壊し、自らの城を築いて今も世界に魔法を使って様々な影響を与えているそうだ。
「城って…何というかRPGの魔王みたいな奴だな。でもなかなかに穏やかじゃないな。」
「わたしはそんな魔王を倒すべき勇者なのです!」
そう言って彼女は剣を出し、眺めている。可愛い。
「そういや君の名前は?」
「申し遅れました。わたしはルナと申します。あなたは?」
「俺はリュウトだ。生まれてからずっとこの村にいたから他の所のことは全然知らない。」
―歯車は少しずつ動き出す―
~第1章 完~
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