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第三話「野々宮一平」



 第三話「野々宮一平」





「イッペーの体からは一切の魔力が感じられん」

「はぁああああああ!?」


 グダグダになった朝食の後、一平はさっそく家を出ようとした。

 いつまでもこんな犯罪ババアに付きあっていたくない。

 第一、このままここにいたらいつ犯されるかわかったもんじゃなかった。

 腹の膨れた一平が出ていくと宣言した時の、リュリュの慟哭。

 それはもう酷いものだった。

 ごぶえええと、カバが如き泣き声を上げて縋りつく。

 出ていくなら一思いに殺していけと泣き叫ぶ老婆は想像以上に鬱陶しく、そして何より恐かった。

 ヤケを起こされて魔法で監禁、なんて事にでもなったら目も当てられない。

 妥協案として一平は、魔法を教えてくれる事を条件にしばらく滞在する事にしたのだ。

 勿論、決して自身を恋愛対象にしない事を誓わせた上で。

 まあ、なんだかんだで魔法という不思議パワーには大いに興味がある。

 三食のご飯とベッドを差し出させ、なお且つ魔法の教授を約束させた。

 恐ろしい程の外道。

 ゆとり教育の被害者である一平自身は気付いていなかったが、人恋しくて仕方がない老婆に付け込んだという事である。

 だがまあ、リュリュはリュリュで大いに歓喜して了承したのだから問題は無いのだろう。

 お気付きだと思うが、男に食い物にされて喜ぶリュリュ(65)にはチョロインの資格があった。せめてあと40若ければ……。


「どういう事おおおおおおおお!? チーレムじゃねえのおおおおおおお!?」


 チートでハーレム。略してチーレム。

 何の努力も無しにチート(ずるい)能力を手に入れ、息をするように女を虜にしていく。

 そんな人生を舐めきった冒険が待っていた筈なのに、チートの代名詞たる魔力がない。

 魔法講義の初っ端からいきなり絶望を宣告された一平。

 少年の叫びは悲しみの絶叫だった。


「ち、ちーれむ……? なんじゃそれ?」

「あああぁぁぁ……魔法使えねえのかよおぉぉぉぉぉ……」


 あまりのショックに崩れ落ちる一平だったが、次のリュリュの言葉に希望を見る。


「それはまだ分からん。生きておる以上、魔力自体はあるはずじゃからな」

「マジで!? ある!? 俺ちゃんと魔力ある!? そこんとこもっと詳しく!」


 先ほどの絶望は何処へやら、一平の目はキラキラと輝いていた。

 小柄なリュリュの肩を掴み、食い付き方が半端じゃない。


「う、うむ。生物であるのならば必ず魔力はある。き、基本的に、魔力の無いものなぞ無機物だけじゃ」


 まさしく子供の様な笑顔を間近でくらい、リュリュの顔に赤みが差した。

 ハーレムなんぞ作ろうとするクソガキのくせに、中々可愛いではないか。

 一平が知れば間違いなく喉笛を喰いちぎられそうな事を考え、リュリュは順調にチョロインへの道を歩み出していた。


「あ~なるほど、生命力的な物なのね。魔力=命の力って感じ?」


 一平は即座に理解。

 記憶にある無数の設定から、この世界の魔力の本質を推測する。


「寿命に直結するわけではないがな。生物は魔力が枯渇すれば死に至る。逆に、死んでいないのじゃから魔力はあるはずじゃ」

 

 おー、と。一平は手をパチパチと合わせて喜んだ。

 しかし──


「じゃが、なぜか一平からは魔力を感じん」


 リュリュの言葉は今後のハーレム人生に暗雲をもたらす物だった。


「……それって、感じられないほど魔力が低いって事か?」

「違う。体からまったく流れ出ていないんじゃ。魔法を使えぬ一般人でもそんな事はありえないんじゃが……」

「つまりどういう事?」

「このままなら絶対に魔法は使えん」

「結局使えねえのかよ!! ぬか喜びさせんなババア!!」


 やっぱ無理っぽい。

 チーレムへの最速キップは断たれた。


「しょうがないじゃろ! 魔力を放出しなれけばどんな魔法も発動しないんじゃから!」

「諦めんなよ! なんでそこで諦めるの! だからリュリュはババアなんだよ!」

「ババアが関係あるかああああ!!」


 しばらく罵りあっていたが、埒があかないと話を元に戻す。


「もしかして、俺って死んでるのかな?」


 生きていれば僅かなりとも垂れ流れている筈の魔力。

 それが全くないという事は、つまり生きていないという事になってしまう。

 一平の結論は至極当然の帰結だった。


「……………………」


 実は、その結論はリュリュも考えていた。

 いくつか予想した中の一つである。

 しかし、それでは説明できない事もあるので、わざわざ最悪の予想を言って少年の心を乱す事もないと黙っていたのだ。

 だが、一平は自分でその可能性に気が付いてしまった。

 かなり本格的な教育を受けていると気付いてはいたが、今はその教養が仇となっている。

 己が死者アンデッドであるかもしれないなどと、いくらなんでも平静ではいられまい。

 なんとかフォローしなければ。


「あー、いや、まだそうだと決まったわけでは──」

「もしそうならスゲーな! 異世界物でゾンビ物とか、もうバトル物確定じゃん!」

「喜ぶなああああああああああ!!」


 が、残念。

 一平は更なる設定追加に興奮していたのだ。


「お主の頭どうなっとんの!? なに言ってるかサッパリなんじゃけど!?」


 うれしそうにはしゃぐ一平と、何もかもが理解出来ないリュリュ。

 魔法がどうこうではなく、一平とリュリュはまず最初に自己紹介をやり直すべきであった。


「そもそも異世界からして分からん。イッペーはどこから召喚されたんじゃ?」

「あーまあ言っても分かんないだろうけど……、地球ってとこ」

「チキュウ? たしかに聞いた事のない国じゃの」

「国名じゃなくて星の名前だよ」

「星? 夜空に瞬いている星の事か?」

「そう、それ。地球っていう星の、日本って国から召喚されたんだ」

「馬鹿を言うな。あんな小さい物に人が居るはずないじゃろ」

「は? 何わけ分かんねえ事言ってんだ?」

「…………?」

「…………?」


 互いに互いの言っている事が分からない。

 リュリュの主観では星とは夜空に浮かぶ小さな光点であるし、一平からしてみたら星とはすごく巨大な天体の事だ。

 だが、このままでは話が進まない。

 とりあえずリュリュは、空間魔法の一種なんだろうと納得して話を進める事にする。


「ま、まあ構わん。とにかくイッペーは空の向こう側から召喚されたんじゃな?」


 違う。魔法なんていう物理法則を無視した物がある世界な以上、違う宇宙である可能性の方が遥かに高い。


「そんな感じ」


 しかし、説明が面倒くさい一平はそれでよしとした。


「多分リュリュの感覚だと、天界から俺を召喚したと思えばいいよ」


 しかもさらに話を盛る。


「て、天界じゃと!? 神々が住まう場所の事か!?」


 仰天。リュリュは激しく仰天した。

 ならば、そこで住んでいた一平もまた神の一柱という事になる。

 己は神を召喚したとでもいうのか。


「そうそれ」


 そうそれ、じゃねえ。そんな事あるわけがない。

 妄想過多な少年である一平が、ことさら大げさに吹いただけだ。


「ま、まさか、イッペーは……いやイッペー様は神であらせられるのか?」


 ワナワナと身を震わし、リュリュは慄いた。

 実際に神を見た事はないが実在する事は知っている。

 なぜなら、神官達が使う神聖魔法とは魔力を必要としないからだ。

 いや、魔力は使うが、普通の魔法とではコストパフォーマンスが桁違いなのだ。それこそ奇跡以外で説明がつかない程に。

 1のコストで1の結果を導くのが魔法。しかし、神聖魔法は1のコストで100の結果を導く。

 一時期神聖魔法を研究した事のあるリュリュにとって、神を否定するのはナンセンスだった。


「いやいや、そんな大層なモンじゃねえよ。ホントにただの人間なんだから普通に喋れって」

「そ、そうなのか?」

「正真正銘ただの人間だぞ? まあ普通の人間ってよりも、どっちかっていうと堕天側だけどな……」


 そう言って、一平は視線を下に落とした。

 憂いを帯びた瞳で思わせぶりな事を呟く。そういう行為をしたくて堪らなかった一平は、きっと自分が大好きなのだろう。


「むう、あまり深くは聞かんが……」

「そうしてくれると助かる」


 そんな言い方をされてはズケズケと聞く事など出来る筈がない。

 もう少し詳しく聞きたいリュリュだったが、どうやら普通の人間ではない事が分かっただけでも前進だと思う事にする。

 まあそれはただの勘違いで、実際は普通の人間なわけだが。


「そういえば昨日言っておった……黒聖魔光剣? じゃったか? 天界の剣術か何かじゃろうか?」

「まあな、それで合ってるぞ」


 フフンと胸を張る一平だったが、現実で使った事など一度も無い剣術である。


「天界の剣術か……。や、やっぱり凄いんじゃろうの?」


 リュリュはドキドキしていた。

 魔法使い特有の知的好奇心というのもあったが、やはり乙女的には物語に出てくるような強い剣士に憧れを抱いてしまう。

 勇者(一平)とリュリュ、ピッタリなんじゃね? と夢想する老婆の年齢は、繰り返して言うが65才だ。


「自分ではどれだけスゴイのか分かんねえけど……」


 凄くないよ? 俺全然凄くないよ? という雰囲気を醸し出し、一平は親指を立てた。


「昔10万の邪神軍団を一人で殲滅したくらい、かなっ!」

「スゲエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」


 バチンとウインクしてキメた一平に、キャラが崩壊するほど驚愕するリュリュ。


「闇と光の相反する力を扱うから制御は難しいけど、極めりゃ神々とだって闘えるんだぜ」


 という設定である。


「す、凄いのう。イッペー、凄いんじゃのう」

「いやいや、俺なんてまだまださ」


 10万もの敵を、しかも邪神を倒してまだまだとは。一平が理想とする己は果てしなく高い。

 そしてリュリュは、一言で言えばメロメロだった。

 愛を知らず、恋も知らず、後悔ばかりで人の温もりに飢えまくっていた老婆になんという仕打ちをするのか。

 惚れたら殺すと宣言している相手を惚れさせるなど、まさに鬼の所業。

 一平は悪い意味で鈍感主人公なのだ。


「私の魔法もかなり強いと思っておったんじゃが、さすがに10万には勝てん」


 はふぅ、と溜息を吐きつつ胸の高鳴りが止まらないリュリュ。

 いくらなんでもチョロ過ぎるわけではあるのだが、これにはリュリュがちょろい以外にも理由があった。

 実はこの世界、宗教というものがかなりの力を持っていた。

 国政に口を出せるというわけでは無いのだが、どこの国家も決して蔑ろには出来ないわけがある。

 その理由が、神聖魔法。

 前述した通り、とても低コストな神聖魔法は信仰が力の源となっている。

 しかしこの信仰が曲者で、キチンと正しく神の意思を理解していなければ魔法が発動しなかった。

 つまり、アホみたいに神を盲信していればいいという物ではなかったのだ。

 遥か過去、宗派拡大の為に、己が信じる神の名で戦争を起こそうとした神官がいた。しかも何人もの神官達が同調。

 結果、戦争を起こそうとした神官達全員が神聖魔法を使えなくなってしまった。

 さらに、それに便乗した国の重鎮達までもが、死ぬまで神の加護(治癒魔法等)を得られなくなるというおまけ付き。

 おそらく、誰もそんなの頼んでねえよ、と怒った神の天罰だったのだろう。

 歴史上そういった事例が複数あり、きっと教訓を忘れた頃に阿呆が起こしたと思われる。

 神聖魔法が登場して2000年。狂信や陰謀、無駄な殺生などは一発で破門とされていた。

 多神教の上にかなり緩い戒律なのだが、神官は皆人格者でなければならないが故に、一般庶民からはひどく好意的だった。

 だからこそ、神を関連付けて嘘をつくなど王でもしない。

 神罰が実際にある世界では、生臭坊主などという存在は自然と淘汰されてしまうのだ。

 故に、リュリュは一平の言う事を鵜呑みにしてしまったのである。

 ”神の国から来ますた、昔邪神ブッ殺したお” リュリュの常識では、一平は大胆過ぎた。


「そういやリュリュは何ができるの?」

「む? 何、とは?」

「天才魔法使いって言ってたじゃん」


 こんな聞き方をしているが、一平は目の前の犯罪ババアが天才だとは信じていなかった。

 天才だと言ってるわりに言動も生き方もアホ過ぎる。

 完全に自分の事を棚に上げる一平だったが、他人の粗探しなどゆとり世代にとっては嗜みの一つでしかない。

 質問されたリュリュは、よくぞ聞いてくれたとばかりに胸を張った。


「フフ、まあイッペーほどではないが、これでも美貌の天才と呼ばれた美少女魔法使いと評判で──」

「あ、やっぱもういいや。魔法の種類教えてくれる?」

「最後まで聞けえええええええ!!」


 なんてウザイ婆さんなんだ。しかも美貌と美少女が重複してんだろ、馬鹿ババア。

 一平の忍耐は乾燥した輪ゴムよりも切れやすい。


「次に自分を美しいとか言ったら、その瞬間出ていくから」

「なん……じゃと……?」

「なんで驚いてんだよ! ババアが美しかったとか明らかに言葉がおかしいだろうが!」

「なんじゃその偏見!? 年寄りが昔から醜いとでも言うつもりか!」

「過去に縋るのはやめろ! 現在には何の価値も無い!」

「あるわボケェェェェェェェェェ!!」


 リュリュの目には失望が浮かんでいた。

 美とは時間と共に移ろいゆく物ではあるが、その本質が変わる事などあり得ない。

 美しい物とはどれだけの時が過ぎても美しいのままなのだ。

 あまりに酷い言い草に、百年の恋も冷めてしまう。


「じゃあ昔はカッコ良かったハゲジジイ見つけてくるから、そいつとキスなり寝るなりやってみろ」

「本当にスマンかった。全面的に私に非がある」


 しかし、現実とは綺麗事でたち打ち出来る様な甘いものではない。

 老婆は少年の意見を全面的に認め、素直に謝罪した。

 そして急いで話を戻す。


「魔法使いとは、原則的に一系統しか使えん」

「一系統? 火とか水とか風とか、そういう系統の事?」

「そうじゃ。たまに複数の系統を操る者も出てくるが、それこそ100年に一人というやつじゃな」

「へえ、特化型なんだ……。でもなんか応用力に欠けてそうだな」


 微妙。これが一平の正直な感想だった。


「その通り。何でも出来ると庶民は勘違いしがちなんじゃが、魔法使いもただの専門職の一つに過ぎん」


 魔法が万能だったとしても、魔法使いはそうではない。

 火系統の魔法使いは火魔法しか使えないし、水、風、土等も同様だ。


「人に限らず、基本的に魔力とは何らかの属性を帯びておる。魔法使いとは一般人より遥かに魔力が多い者の事なのじゃよ」

「なるほど。職人と同じで、優遇はされても優劣は無いって事なのか。となると、結局物をいうのは才能と努力なわけね」

「お、おおう……、やはりイッペーは賢いのぅ」


 どの系統にも優劣は無く、優遇される為には個人の技能を磨くしかない。競争社会では当たり前の事。

 おそらくは情報量が桁違いの所為でリュリュは感嘆したのだが、高校受験を経験した一平には分かりやすい社会だった。

  

「んで? リュリュは何系統なの? そういや火の上位魔法使ったって言ってたから、やっぱ火系統?」


 目上の人間に対する敬意など欠片も無い。

 魔法が個人の資質に左右される物であるならば、奇跡的に同じ属性持ちでない限り師匠にはなり得ないと理解したからだ。

 この犯罪ババアは百害あって一利無し。一平は明日にでも出ていく決意を固めていた。


「聞いて驚け、空間じゃ」


 リュリュは、ニヤリと口を歪ませた。

 空間魔法。

 一種のレア系統であり、空間拡張や範囲固定、転移や運搬連絡等に特化した魔法だった。

 直接的な戦闘力とは無縁な系統だったが、利便性という面では他の追随を許さぬ系統である。


「ああ、何でも入る道具袋の魔法か」

「む。間違ってはおらんがそれは初歩じゃぞ?」


 一平は有名なRPGを思い出し、リュリュは自身の魔法の凄さを理解されなくて不機嫌になる。


「分かってるよ。転移とか遠話とか、そういう便利な魔法が使えるんだろ?」

「そ、そうじゃ。ま、まあ、もっともっと凄い事も出来るんじゃけどな!」


 正直、在り来たり過ぎて驚けない一平。

 それに、自身を天才と自称し、曲りなりにも国で第五位にランクインされるのならば隠し玉があるのだろう。

 先ほどの昔語りで火魔法を使ったと言っていた以上、確定である。

 テンプレ過ぎて新鮮味がない。


「あれだろ? 限定された空間内を支配出来るんだろ?」

「なっ!?」


 つまり、少年の頭脳は、既に魔法の本質を看破し終えていたのだ。


「限定空間内では理解した全属性が使える。制約は、限定空間を自分の世界にする為に馬鹿みたいな魔力を使うって所か?」

「ば、馬鹿な! なぜそこまで分かる!?」


 リュリュは驚愕した。

 数多の研鑽の末に辿りついた魔道の深奥。

 それはもはや、リュリュ・シェンデルフェールの人生そのものと言ってもいい。

 それが、僅かな会話で丸裸にされてしまった。

 魔法とは熟練度により強弱はあるが、原則として優劣は無いのだ。

 つまり、自身の能力をより活用した者が勝つ。

 魔法使いにとって、力の底を看破されるなどあってはならない。


「はあ? なに? もしかしてリュリュって俺の事舐めてたの?」


 一平は自然体だ。

 わざわざ両手をポケットにしまい、不自然に右足を一歩前に出して、ワザとらしく斜め30度に構える。

 何故か顎を少し上げ、無理やり目に力を込めてリュリュを見下した。

 たくさんのアニメを参考にし、鏡の前で何度も何度も確認した自然体。

 それは──


「ぁ……ぁ……」


 ──王者の風格。

 リュリュは、一平の体から吹き荒れる風を感じた。

 無論実際には風など吹いていない。

 しかし、リュリュは確かに感じたのだ。英雄のみが身に纏う、天を覇する烈風を。

 漫画だろうとアニメであろうと、物語において演出とは重大な位置にある。

 無数のサブカルチャーに触れた一平に、死角など最初から無かったのだ。


「でもそれなら、やっぱ人生やり直せるんじゃねえ?」

「……ぇ?」


 そう言って、一平はポケットから手を出した。

 一平はテンパッたリュリュの様子に、おっと力を出し過ぎたなと、他者を圧倒するプレッシャーを解除したのだ。

 恐怖で縛る覇王など時代のトレンドから外れまくっている。

 女子に嫌悪されてきた一平は、夢想転生が使えてもおかしくない程に、とっくに哀を知る男だった。


「自分の肉体を若返らせるとか出来ないの?」


 おそらく、超魔道士(レベル65)たるリュリュは限定的に何でも出来る。

 特化型の能力者が汎用性を持つなど、昨今のサブカルチャーでは珍しくも無い設定だ。


「む、無論出来る。じゃが……」


 問題は魔力の消費量なのだろう。


「私の魔力量では三日若返るだけで命懸けじゃ。それに、消費した魔力が回復するまで同じく三日は掛かる……」


 想像した通りだった。

 理論的には可能でも、実質的に若返る事は出来ない。

 三日に一度命を賭け、さらに一生他の魔法を行使出来ないというリスクを背負い、それでようやく若さの維持に手が届く。

 肉体年齢のコントロールなど夢のまた夢だった。

 リュリュの悲しげな表情を見る限り、既に挑むだけ挑んだ命題だったに違いない。

 だが勇者とは、袋小路に出口を作りだす者。


「魔力が足りないなら余所から持ってくればいいじゃん」


 オカルトファンタジー的にはもはや定番のセリフ。確実にパクリである。


「む?」

「魔力の塊とか、魔力を増幅する物とか無いの?」


 疑問形ではあったが、魔法が社会に食い込んでいる以上、そんなことはあり得ないと一平は確信していた。

 エネルギー効率を高める研究は、国家の……というより文明の最優先事業だ。


「無論ある。魔石じゃ」


 案の定あった。

 魔石。

 魔石とはモンスターを倒した時に獲れる魔力塊の事。

 魔力の増幅や、魔力を使う機関の素材としても使われている。

 使用と共に劣化していく素材ではあるが、強力な個体になる程魔力の増幅率、伝導率が跳ねあがるという性質を持っていた。

 まあ、ファンタジー世界のエネルギー資源としてはテンプレ中のテンプレだ。


「キタね、魔石。上級召喚獣の魔石なら何が出来ても不思議じゃありませんよ……」


 有名RPGである最後の幻想を思い出し、ニヤリと口を吊り上げつつ一平は呟いた。

 実験台は犯罪ババア。

 50も年下の子供に欲情した以上、ババアは罪を償わなくてはならない。

 この老婆が若返る事が出来たのなら、自分も若さを保ち続ける事が出来るに違いない。

 一平は不死にはあまり興味が無かったが、目的の為には不老は必要不可欠だと考えていた。

 現実にハーレムを築く以上、十代の強力な精力こそが鍵となる。

 ハーレム物をいくつも網羅してきた少年は、その事を痛いほど考察していたのだ。

 女体を想えば漲りまくる無敵のパゥワー。

 ハーレム主人公に最も必要な能力とは、どれほど吐き出しても尽きない無限の情熱である事は間違いない。

 一平の笑みは、新世界の神もかくやという程に歪んでいた。


「じゃが、問題がでか過ぎる……」


 天才を自称する以上、当然そこらも検討済み。

 故に、リュリュの落胆が晴れる事は無い。


「例えば40年若返る為には、単純計算で私の4800倍の魔力が必要になる」


 とんでもない数値だった。

 ババアがギャルになるのは絶望的だなと思いつつ、現役高校生の一平は素早く計算。

 4800÷40(年)×3(日)= 360(一年の日数)

 この世界の一年はほとんど地球と変わらないんだなと、テンプレの偉大さを実感していた。


「そんな魔石は竜を倒しても手に入らんじゃろ……」

「竜ぅぅぅッ!?」


 諦めの声で語られた講義に、とてもスルー出来ない単語が混じる。

 一平は驚愕の声を上げた。

 ババアが若返るとかもうどうでもいい。

 ファンタジーならばドラゴンもまた物語の代名詞だ。

 サブカルチャーの進化と共に、中ボス裏ボス魔剣化女体化、なんでもござれの便利キャラ。

 というか、ドラゴンが出てこないファンタジーなどファンタジーと言えるのか?

 ファンタジー世界に召喚された以上、竜殺しの称号を手に入れるのは当然の事であり、当然過ぎて考える意味すら無い。

 それこそ、隣の席で何となく話すようになった女子をすぐ好きになっちゃう男子中学生、くらい当たり前の事。


「なにそのあからさまな踏み台生物!? 俺と出会う為に生れてきたとしか思えないんですけど!?」


 キャーーーーーーーーーー!! と、頬に両手を当てて叫ぶ一平。

 少年のテンションは天井知らずに急上昇した。


「行くぞババア!! ドラゴン狩りじゃあああああああああああ!!」


 日本の有名ゲーム、魔物狩りにハマった一平は、大型モンスターを狩る事に無常の歓びを感じる少年だった。

 

「誰がババアじゃ! そこらの野良竜程度じゃ駄目じゃと言っとるじゃろ!?」


 しかし、そんなテンションに付き合える人間など地球にしかおるまい。

 いきなり頭がおかしくなった少年を前に、リュリュは悲鳴を上げるしかなかった。

 竜を狩るなど馬鹿げている。

 熟練の戦士や魔法使い達が束になってようやく戦える怪物であるのに、倒した所で意味が無いなどまさに狂気の沙汰。


「バッカ! おまっ、バッカ……馬鹿ぁぁぁぁぁ!!」


 が、呂律が回らなくなる程にやる気になっていた一平は、諦めを知らぬ不屈の魂を持っているのだ。


「ドラゴン馬鹿にすんなよ! 大丈夫だって!」

「馬鹿になんぞしとらんわ! しとらんから大丈夫じゃないんじゃろ!?」

「あいつ等ならやってくれる! ああ、そうさ! あいつ等ならきっとやってくれるよ!」

「なに言っとんのこの子!? 全然分からないんじゃけど!?」

「太刀でも片手剣でもなんでも持ってこい! でもハンマーはカンベンな! あれ強いけど尻尾切れないし!」


 意味が、分からない。

 一体何がこの少年を駆り立てているのか。

 竜に対するこの絶大な信頼は何なのか。

 尻尾切ってどうすんの? 逆に怒り狂いそうなんですけど?

 リュリュには、何もかもが分からなかった。

 

「せっかくだから大物狙おうぜ! リュリュ!」


 笑顔が眩しい。

 もはや竜狩りに行く事は決定くさい。


「……い、いや、いやいやいや! イッペーは強いかもしれんが、準備無しとか私間違いなく死ぬんじゃけど!?」

「じゃあすぐ準備して! 俺の武器は……そうだな、とりあえず片手剣で頼む!」

「無いわそんなもん!」

「え? 無いの? じゃあ大剣でもいいよ?」

「剣なんぞ一本も持っとらん!」

「え~~、ならもうブーメランでいいわ」

「ブーメラン持ってどうすんじゃあああああああ!!」


 ブーメランで竜は倒せない。

 リュリュの世界では常識だ。


「じゃあどんな武器ならあるわけ? 最悪ハンマーでもいいんだけど?」

「杖なら予備がいくつかある」

「魔法使えない俺が杖持ってどうすんだよ!」

「魔法使いの私が剣なんぞ持ってるわけないじゃろが!」

「魔法剣士の概念すらないわけ!?」

「大剣ブン回す65才の女魔法使い。言葉がおかしいと気づけえええええええ!!」


 醜い。

 二人の言い争いはとても醜かった。

 老婆にムチャ振りしてキレる一平に、子供と同レベルで言い争うリュリュ。

 互いに引く事のない二人の意見が噛みあう事は無い。


「は~? 魔剣の一本も持ってないとか、アナタ本当に天才魔法使いなんですか~?」

「なっ!?」

「自称天才魔法使いなら、魔法のかかった武器の一つや二つ研究してると思ったんだけどなぁ……」


 そして炸裂する子供の嫌味。

 紙一重で一平の方が最低と言わざるを得ない。

 リュリュの中の何かがブチリと切れた。

 それが頭の血管でなかった事は、老婆にとっては幸運だったと言えるだろう。


「ちょっと待っとれ」


 そう言って部屋を出ていくリュリュ。

 しかしすぐに戻ってきた。

 その手には、他者の命を簡単に奪う事の出来る武器が。


「待たせたな。ほれ、お望みの魔剣じゃ」


 そして一平に手渡す。

 包丁を。


「って、包丁じゃん!」

「3年間刃毀れ一つせんかった一品、その銘は”不変”」

「いやいや騙されねえよ!? これただの包丁だよ!」


 包丁。 

 それは調理という作業に特化した刃物。

 しかしその使い易さから、殺傷という誤った使い方をする馬鹿者がいる事も事実。

 悲しい事ではあるが、現代日本において日本刀とは比べ物にならない程の犯罪使用率を誇る凶器でもあった。

 良い子の皆は決して間違った使い方をしないと約束して欲しい。


「固定化と尖鋭化の魔法が掛かっとる」

「今じゃん! コレ絶対今魔法掛けてきたヤツだよ!」

「今まで斬れん物はあんまり無かった名剣じゃ。お主に使ってもらえればこの名剣も本望じゃろう」

「名剣!? 名剣って言った!? ただの出刃を名剣だと言い張るって頭イカレてんのか!?」


 そこそこ切れる包丁が名剣ならば、現代日本の板前さん達が使う和庖丁は伝説の聖剣になってしまう。


「私がまだ十代だった時に火竜を討伐した場所がある。そこならまた棲みついているかもしれん」

「え? 本気? 本気で包丁持ってドラゴンと戦うの?」


 一平は戦慄した。

 料理など出来ない一平は、包丁を扱った事などほとんどない。

 というか包丁は武器じゃない。

 倫理的にも武器にカテゴライズしてはいけない物だ。子供が真似したらどうするつもりなのか。


「安心せい。その剣に籠められた固定化はかなりの物じゃ。籠めた魔法使いは天才じゃな、竜の鱗と同等以上の強度じゃよ」

「アンタが籠めたんだろ……」


 またも戦慄する。

 このババア遂にボケやがった。

 すでに包丁と剣の区別がつかなくなっているリュリュの姿は、一平の背筋を粟立たせた。


「尖鋭化による切れ味は、竜の首すらたやすく落とすじゃろう。まさしく天才の作品じゃ」

「……………………」


 一平の戦慄は止まる事を知らない。

 この何度も天才を強調する憐れな老婆は、きっと自身は天才であるという逃避で心の均衡を保ってきたのだろう。

 一平はリュリュの逆鱗に触れてしまったらしい。

 でなければ、包丁を渡してドラゴン狩りに行くなどあるわけがない。

 包丁で竜が倒せるのなら、この世界の主婦は皆ドラゴンキラーだ。


「これでイッペーの準備は万全。あとは私の準備じゃな」

「……………………」


 壁に立てかけられた黒い杖。

 自身の身の丈を超える長大な杖を手に取るリュリュを、一平は呆然と見詰めていた。

 老婆の背中は、もう絶対に引かんという怒りに満ちている。


「これで十分じゃ。いくぞ、イッペひぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 しかし、振り向いた老婆はいきなり悲鳴を上げた。

 リュリュの視線の先には、抜き身の包丁を持って佇む一平の姿が。


「恐い! なんか凄く恐いんじゃけど!?」

「…………?」


 無言で刃物を持つ男と二人っきり。

 原始的な恐怖感にリュリュが支配されたとして、それになんの疑問があろうか。

 リュリュは瞬時に我に返った。


「お、置け、イッペー。と、とりあえず、その刃物から手を離すんじゃ」

「は……? あ、ああ、無意識に力が漏れちまってたか……」

「い、いや、そうではなく、夜中に出会ったら間違いなく漏らすというか……」

「悪かったよ、リュリュ。これからは気をつける」


 一平は素直に謝り、包丁をテーブルに置いた。

 自身の力を制御出来ないなど未熟にも程がある。

 本気でそう考えていた少年は、日本人らしく謙虚に頭を下げたのだ。


「こ、こっちこそスマン。少々血が上り過ぎてしまったようじゃ」


 包丁を手放してくれて安堵したリュリュも、殊勝な一平の態度に慌てて謝罪した。

 お互いの認識はかなりズレていたが、兎にも角にも仲直り。仲良き事は美しい。


「包丁は止めとこうぜ」

「そうじゃな。包丁はなんか恐い」

「もう俺、素手でいいよ」

「まだ竜退治に行くつもりなのか!? しかも素手じゃと!?」


 リュリュは驚愕するが、一平はどうしてもドラゴンが見たいのだ。

 しかしそれは仕方がない。地球の男の子ならば、きっと一平の気持ちが痛い程分かるだろう。

 そう、ロマンというやつだ。


「まあ、剣が無いから黒聖魔光剣は使えないけど、天乱八手があるしな」

「てんらんはっしゅ?」


 またも出てきたニューワード。


「黒聖魔光剣を使うには、下地に天乱八手っていう武術を身につけなきゃいけないんだよ」

「ほう」

「まあ技術体系を確立したのは父ちゃんだから、歴史自体はたいした事のない新興流派なんだけど」


 野々宮太平(44才)。

 沖縄通信空手の達人にして、天乱八手の生みの親。

 500円で購入した黒帯を眺めつつ、さいきょーのぶじゅつ、を夢想し続けた人物である。

 とても穏やかな人柄であり、ネトゲとギャルゲー、そして萌えバトルアニメをこよなく愛する人物でもあった。

 

「む? イッペーの父君が創始者なのか?」

「まあな。俺は五才の時から叩き込まれてるんだけど、天乱八手だけだとまだまだ父ちゃんには勝てねえ」

「なるほど。イッペーは武門の家に生まれたんじゃな」


 おそらくは騎士の家系と同じような物だと納得したリュリュ。

 35年以上もの間孤独だった老婆に、対人交渉能力を期待するのは間違っているだろう。

 残念な事に、一平の妄想はリュリュにとって真実となってしまうのだ。

 しかも遅れてきたチョロインは、一平の出自が分かってちょっと嬉しくなっていた。全くの勘違いであるとも知らずに。


「いや一般家庭だぞ? 普通じゃなかったってだけで」

「普通じゃない? どういう事じゃ?」

「まあいいじゃねえか、そんな事。それより天乱八手だ」

「む、むぅ……」


 怪訝な顔をするリュリュを、一平ははぐらかした。

 良い男に秘密はつきもの。何でもべらべら喋る男に魅力など無い。

 ニヒルな笑みを浮かべているつもりでニヒヒと笑う一平は、どこからどう見てもただの不審者だった。

 しかし、怪訝な顔をしながらもリュリュは何も言わなかった。

 言える時が来たら教えてくれるだろうと、リュリュは意外と出来た女だったのだ。


「父ちゃんの元々の流派は通信空手」

「つ、つーしんからて?」

「常に最強を目指してた父ちゃんは、現状の流派に満足出来なかったんだと」

「ほう、父君は武人の鑑じゃな」

「そして編み出したのが、撃・閃・覇・響・舞・掌・観・乱の八つの技で構成された天乱八手」

「な、なんか凄そうじゃな」

「実際スゲエよ。天を乱す八の手段で、天乱八手だ」

「天を乱す!?」

「父ちゃんが編み出してから30年、いまだ不敗の武術さ」

「30年不敗じゃと!?」

「ただ一度の敗走もないぜ?」


 という設定である。

 親子二代にわたり一度も使われた事の無い脳内武術は、文字通りの不敗だった。


「ス、ス、スゲエエエエエエエエエエエ!! イッペースゲエエエエエエエエエエエ!!」


 感動した。

 リュリュは激しく感動した。

 目の前にいるのは間違いなく勇者。

 己が召喚した少年は、武神に鍛え上げられた金剛石だったのだ。


「スゲエのは父ちゃんだって。黒聖魔光剣使わないと勝てないし」


 いやいやいやいやいやいやいやいや、と必要以上に激しく手を振る一平。

 別に強くないから、俺なんてまだまだだから、普通だよ普通。

 なぜか凄まじい謙遜を見せる少年は、頭に多大な欠陥があるとしか思えない。

 多感な年頃である一平にとって、自身の強大な力を自覚できない鈍感主人公とは、何度も何度も自己投影した理想像だった。


「というわけで心配いらねえよ」

「ま、まあ、たしかに……」

「負けるなんて思わねえけど、万が一の場合でも逃げるくらいは余裕だって」


 全然余裕じゃない。

 にも拘らず、なぜ一平は余裕だと言えるのか。

 いくら頭がよくないとはいえ危機感が無さ過ぎる。

 しかし、一平は信じていたのだ。

 心の底から、誰よりも、本気で、信じぬいていたのだ。

 異世界召喚なんていう、夢の様な不思議現象に出会う事が出来た。

 ならば、この身にはチートが内蔵されているのは確定している。絶対に。間違いなく。

 モンスターが徘徊する、剣と魔法のファンタジー世界。

 そして自身は平和な日本で生きてきた、ただの高校一年生。

 もし何の力も与えられていないのならば、この危険な世界ではどれほど気を付けたとしても生きていく事は出来ないだろう。

 と言う事は、どう行動しても結果は同じ。

 死ぬまで怯えて生きるのか、それとも死ぬまで楽しんで生きるのか。

 どうせ死ぬなら後者を選んだ方が断然お得だ。

 死の確率が日本とは比べ物にならないと想像出来たけれど、それでもたくさんのファンタジーに憧れた。

 なら信じる。

 自分は主人公なのだと、野々宮一平はこの世界で生きていく力があるのだと、自分自身が誰よりも信じてあげるのだ。

 

「だから行こうぜ、リュリュ。俺のこの世界での最初の冒険は、ドラゴンをこの目で見る事だ」


 不安などカケラも無い少年の顔は、きっと世界の誰よりも輝いていた。

ね、眠い……。

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