エピローグ
「なあ、お前らってほんとに呪われてるんじゃねえ?」
推理大会の解答が終わり、単純な宅飲みの会場に成り下がった藤井家。急に藤井が言い出した。お前ら、というのは猪狩と奈美香の事らしい。
「は? 何言ってんだ? あ、ちょっと待て」ポケットの中の携帯電話が振動し、猪狩は席を立った。
「はい。あ、お疲れ様です。……はい。そうですか。わざわざありがとうございます」
猪狩は電話を切った。
「BB、か……」猪狩は呟いた。
「は? 何? 日ハム?」
「いや、なんでもない。で、俺のどこが呪われてるって?」
「だってさ、この一年で三回も殺人事件に巻き込まれてるんだぜ?」本日何本目かの缶ビールを開けながら藤井が答える。
「そんな事言ったらお前もだろ。むしろほとんどお前の一言で始まったようなもんだろ」
「確かに」怜奈が笑って同意する。
「けど今回は関係ないぞ。お前と矢式だけじゃん。新川は一回目、俺は二回目で終わったけど、お前らは続いてるな」
「確かに」怜奈がまたしても同意する。結局彼女はどちらの味方なのだろう。
「だったら呪われてるのは康平でしょ」と奈美香。
「なんでだよ」
「だって私が呪われてるなんて考えられないわ」理屈になっていないが、酒のせいもあるのだろう。「それに次でわかるわよきっと」
「次なんてあってたまるか」
次があるのかないのか、呪われてるのは誰なのか、それは次があればわかるだろう。




