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かぼちゃの馬車は真っ黒け



秋の空は高い。


青く澄み渡って、

まるで今の私たちみたい。


駅前に佇むアラフィフおばさんは、

夢見がちにロータリーの端を見つめている。



彼は長期出張から一時帰宅。


やっと会える。やっと会える。


朝から、まるで少女のように落ち着かない私は、

このドキドキに耐えかねて、メールした。


もうちょい早く来れんか?


多分私のために家を片付けていたであろう彼は、


分かった。


1時間早めてくれた。



午前11時、駅前に現れたのは、真っ黒のイカツイ車である。


私は車種とか分からないけど、

後に、淡路島デート中に、警察官に◯系に間違われて車チェックされる。

という、笑えんいわくがつく。


そして降りてきた。


こっち見た。



この人や。



写メ写りが悪かったんや。


見事にハゲたおっさんは、

がっしりとした肩幅に小顔を乗っけた、イカツイ系イケメンハゲであった。


予想の斜め上を行く男前な彼に、私はどう挨拶したのか?

全く覚えてはいない。


そんな私をさっさと助手席に乗せ、彼は車を出した。



あんなに会いたかったのに。

言葉が出ない。


実は二人とも超無口なタイプ。電話で何となく気づいてはいたけど、メールとは対照的で、超静か。


男はちょっと無口がいい。

だからここは私から。

そう、女はちょっとおしゃべりなもんやから...私から。


あかん。出ん。


絞り出すけど、一滴も出ん。



高速に乗り、パーキングエリアでお茶を買い、

北神戸線で一路彼んちへ。


流れる車窓を見つめる。

音楽もちっとも耳に入らない。


ちょっと彼を見る。

前を見つめる彼の横顔。

車窓に目を戻す。



沈黙の中、

彼は私の手をギュッとにぎりしめた。


言葉はない。


大丈夫やでって、手が言ってた。


お昼に食べたオムライスはあんまり美味しくなかったけど、


もうそんなこと、どうでもよかった。



アパートの鍵を開けると、すごい勢いでシッポを振る真っ黒け。


ミニチュアダックスフント、ブラックタンスムース。8か月のオス。

ぶんぶん尻ごと振り切る破壊力MAX!のイケメンワンコ。


クリクリお目々で見つめられると、ドキドキも何もかも秒で吹っ飛んでしまった。


そしてその瞬間、彼と私は「パパ」と「ママ」になった。



犬だけが、勝手に家族計画を進めていた。







*おまけ*


ーパパの車遍歴ー


パパの趣味は、車いじり。ほぼ自分で整備する本格派。

お金のかかる趣味なので、オール小遣いの約束のもと、私は「道楽」として認可している。

よって、すべて中古車。ロマンはあるが、新車はない。


《ビュイック パークアベニュー》

職質を受けた黒馬車がこれ。

理由は聞かないでおく。


《リンカーン タウンカー》

デカい。旅先では変に気を使われ、スーパーでは邪魔者扱い。

結局、早めに手放す。


《 ジャガー Sタイプ》

急に英国紳士。

ちょっと大人しくなって、私は内心ホッとする。


《ミニクーパー R50》

え?急にかわいい系?

どうやら内面の乙女が目覚めたらしい。


《ミニクーパー R52 コンバーチブル サイドウォーク》

オープンカー。諸事情により年に1度開ければ上出来。

屋根は、ほぼ飾りである。


《アルファロメオ ジュリエッタ》

「これが最後の道楽や」その言葉、2度目である。

イタリア車に“最後”という概念はあるのか。

私は静かに見守っている。



出会う以前の黒歴史(調査済分)


シボレー カマロ

フォード サンダーバード

ボルボ 850

アウディ 80

そして記念すべき最初の一台は

多分ーー

日産 サニー エクセレント 1400GX。


ちなみに、ママの最初の車は、

トヨタ セリカ 2000GT。


勝った。


完全に勝った。

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