表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫耳ラジオ、0人から。  作者: sakura


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/11

第1話 配信のはじまり。

こんばんは。

猫耳ラジオへようこそ。


この物語は、まだ誰も聞いていない小さな配信から始まります。

夢を叶えたいと願う、ひとりの高校生の声。


届くか分からない声でも、

それでも誰かに届けたい。


そんな気持ちから始まった、夜のラジオの物語です。


もしよければ、

少しだけこのラジオを聞いていってください。


夜。

部屋の中は静かだった。

机の上には、スマートフォンと小さなマイク。

そして、その横に置かれているのは白い猫耳ヘッドホン。

こはるは椅子に座りながら、少しだけ深呼吸をした。

心臓が、いつもより少し速い。

「……大丈夫。」

自分に言い聞かせるように、小さくつぶやく。

部屋の窓の横にはカーテン。

その隙間から、夜空が見えている。

星がいくつか、静かに瞬いていた。

こはるは手を伸ばして、猫耳ヘッドホンを手に取る。

真っ白なヘッドホン。

耳の部分には小さな猫耳。

子どもの頃、家にあったものを借りた。

スイッチを入れると、猫耳がふわっと光る。

レインボーの光。

赤、青、緑、紫。

ゆっくり色が変わっていく。

「……きれい。」

こはるは少しだけ笑った。

ヘッドホンを耳に当てる。

それだけで、少しだけ気持ちが落ち着く。

スマートフォンの画面には、配信アプリ。

タイトル。

猫耳ラジオ

こはるは画面を見つめた。

指が、少し止まる。

本当に、やるの?

そんな声が、心の中で聞こえた。

でも。

そのあとに思い出す。

声優になりたい。

その夢。

こはるは、学校では目立つ方じゃない。

クラスでも、どちらかというと静かな方だ。

でも。

声の世界だけは、ずっと好きだった。

アニメを見たり。

声優のラジオを聞いたり。

いつか、自分も。

そう思っていた。

だから、始めてみようと思った。

ラジオ。

自分の声を届ける場所。

こはるは、もう一度深呼吸をした。

そして、画面のボタンを押す。

配信開始。

少しの沈黙。

こはるはマイクに向かって言った。

「こんばんは。」

自分の声が、イヤホンから返ってくる。

少しだけ緊張している声。

「……猫耳ラジオです。」

コメント欄。

まだ何も流れていない。

視聴者数。

0

こはるは画面を見て、少し笑った。

「まあ……そうだよね。」

誰もいない。

当たり前だ。

今日、初めて配信したんだから。

こはるは、少しだけ肩の力を抜いた。

「今日は、初めての配信です。」

部屋は静かだった。

マイクの前で、こはるはゆっくり話す。

「声優を目指している、こはるです。」

少し照れながら言った。

誰も聞いていないかもしれない。

でも。

それでも、いいと思った。

「もし誰か聞いてくれていたら。」

こはるは窓の方を見る。

カーテンの隙間。

夜空。

星。

そして、小さく言った。

「よろしくお願いします。」

コメント欄は、まだ静かだった。

でも。

こはるは少しだけ笑う。

「まあ……今日は練習ってことで。」

猫耳ヘッドホンが、やさしく光っている。

赤。

青。

紫。

こはるはマイクに向かって、もう一度話した。

「こんばんは。」

「猫耳ラジオです。」

そして、この夜。

視聴者0人のラジオが、静かに始まった。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


猫耳ラジオは、誰も聞いていない小さな配信から始まる物語です。

それでも、続けていればきっとどこかに届く。

そんな思いを込めて書いています。


もしよければ、これからもこはるのラジオを

少しだけ聞いていってもらえたら嬉しいです。


次の配信も、また静かな夜に。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ