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きりたがりのかまいたち?
「次の依頼や」
放課後の帰り道。
私はコンビニ袋を揺らしながら歩いていた。
「今回は楽なやつですよね」
「大丈夫、軽い怪我案件や」
私は立ち止まった。
「聞かなかったことにしたい」
⸻
稲荷さんの端末に表示された文字。
河原町周辺 至急
「場所、近すぎません?」
「出動しやすいで」
「消防みたいに言わないでください」
⸻
河原町の夜は明るかった。
ネオン、看板、人の波。
その路地裏で、風が一瞬だけ強く吹いた。
ひゅ、と空気が裂ける音。
「今の音、聞きました?」
「聞いたな」
「嫌な音でした」
「せやね」
⸻
屋根の上。
何かが座っていた。
細い体。長い髪。鋭い目。
そして、手に持った鎌。
「こんばんは」
私が言うと、影が飛び降りた。
軽い着地。
にやりと笑う。
「見えるんや」
「見えます」
「ええなぁ」
鎌が月明かりに光る。
「最近な、人間が全然切れへんねん」
私は静かに後退した。
「え?」
「風で切るのが仕事やのに、最近の服強すぎる」
沈黙。
「ユニクロが悪い」
「ユニクロが悪い」
⸻
かまいたちは大きくため息をついた。
「切りたい」
私は思った。
神様ビジネス、危険度更新中。




