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最高の【勇者】になるために  作者: レイ
第1章 ラユグトス編
1/12

第1話 異世界への入り口

どうもこんにちは。レイです!!

まだ1作品目も終了していませんが、こちらは1作品目と違って、ゆる〜く書けていけたらいいな、と思います!!よろしくお願いします!!

俺は昔からアニメや漫画が好きだった。

 

 ジャ●プ、マ●ジン、サン●ー、チャン●オンなどの主要雑誌は読み尽くしていたし、この漫画大国とも言える日本で高校生と言う身分で数々の制約はあったものの、最大限のオタク活動を続けていた。

 そしてそれらの好奇心はもちろん自分自身が体験してみたい、という欲を見出す。

 

 超常現象、時間超越、天変地異、そして異世界へ行くこと。

 

 自分自身がそんな体験をするんじゃないかと、俺はいつまでもいつまでも夢見ていた。

 

 だが、今それは実現した。

 

 登校途中の制服姿にリュックをかるっていると言う、なんとも異世界とはかけ離れた衣装ではあるのだが、俺は今、異世界にやってきたのだ。

 目の前に広がるのは都会離れした大草原、少し横に見えるのはどこまであるかわからない神秘的な森、遠くに見えるのはいかにもな異世界の街。

 そんな場所に、俺は降り立ったのだ。

 そしてなぜ俺がこんなところにいることができているのか、それは一昨日の土曜日に遡る。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「異世界のゲート?」

 

「あぁ。そうだ。最近この街にできるらしいんだぜ?」

 

「またまたぁ。そんなの噂じゃないの?」

 

 土曜日。

 俺、山崎 日陰(やまざき ひかげ)は、自分の所属している漫画部の友達2人と狭い部室で談笑していた。

 ちなみに俺はこの時初めて異世界に行く手段、というものを聞いたのだ。

 この談笑のおかげで、俺の元に幸運が舞い込んできたのかもしれない。

 

「いや?噂とは言い切れないぜ?なんてったって人間の想像したことは実現する、なんて言ってる人もいるんだし。」

 

「事実は小説より奇なり、とも言いますけどね。」

 

「それは小説の話だろう。火のないところに煙は立たないように、何かが起きてないとこんな噂はおきないものだぜ?お前もそう思うだろ?ヒカゲ。」

 

「....そうだな。実際のところネットで検索してると輪廻転生してそうな事例なんかも大量に出てくるわけだし、異世界も本当にあるのかもしれないしな。」

 

 俺は冷静にものを話す。

 実際のところ、痛い人に思われる、いやもう思われているのかもしれないし自分自身でも認めているのだが、俺はタイムリープ、異世界転生、超常現象などの天変地異のようなものが大好きで、そのようなものに対し、常に検索エンジンをかけているのだ。

 

「ほらな。あの冷静沈着なヒカゲがそう言ってるんだ。ここは大人しく俺の話を聞いておいた方がい・い・ぞ。」

 

 「むぅ……。」

 

 ちなみに俺はこの学校で、かなり頭が切れて冷静なやつ、というキャラ付けをもらっている。

 実際にはなんの変哲もないオタクで、家では感情が出まくっているからもう少し抑えた方がいいってこないだ親に言われたばかりなのに、何がどう転んでこの評価に行き着いているんだか。

 まぁ学校なんて天変地異が起こりやすそうなのと軽くアニメや漫画の話ができる(ちなみに俺の親はアニメや漫画を一切みないためミリと言っていいほど会話ができない。)という理由だけで表情ひとつ変えずに淡々と通っていたからそういう評価になったのかもしれない。

 

「ヒカゲ先輩〜。少しは私の方の支援もしてくださいよ〜。」

 

「いやだって俺断然フィクション派だし……」

 

「まさかの方向性の違いだった……。」

 

 と、ここで俺は狭い部室をより狭く見せている、いかにもかの有名な童謡『大きなのっぽの古時計』に出てきそうな時計を見る。

 なんともう午後5時だった。

 少し話しすぎたな。

 

「じゃあ、俺はここらでお暇するぜ。」

 

「お、今日は早いな。それじゃまた月曜日。」

 

「あぁ。またな。」

 

 だがこの時の俺は知るはずもなかった。

 こいつらと会える月曜日なんて一生来ないことに……。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そして問題の今日、すなわち月曜日。

 俺は()()()()()()()()()学校へと向かっていた。

 別に髪をむしりすぎてハゲたとか、あるいは元から円形脱毛症だとかいったわけではない。

 

 俺は髪を白に近い青色、近しい色でいえば薄水色(うすみずいろ)あたりの色に染めたのだ。

 

 これももちろんアニメの影響である。

 良くいえば思い立ったらすぐ行動できて好奇心旺盛である、悪くいえば無鉄砲である俺は、昨日出ていたアニメキャラがえげつなくかっこよかったので、その色に合わせたというのだ。

 もちろん親にはガミガミ言われたものの、俺も戻したくなかったので、カツラ、という折衷案でやり過ごしたわけだ。(ここで困ったのはカツラのサイズだ。俺はショートともいえないしかと言って首までは言ってないような微妙な髪の長さなので、カツラ探しに時間がかかってしまったのだ。)

 まぁこれはこれで生徒指導のせんせーにバレないかどうか心配なんだけど。

 そんな思惑を抱えながら、俺は登校路をいつも通りに歩いていく。

 

 なんの変化もなく。

 

 ただ一般的に。

 

 だが、噂というものは数々のアニメやゲームの起点となるように、極めて恐ろしく、また極めて好奇心をそそられるものだ。

 だけどまぁ、まさか俺も、俺自身もその噂の餌食になるとはその()()()()()()()()()()()は思ってもみなかった。

 

「ウッソだろ……?」

 

 俺が通学路通りに家から1個目の角を曲がり、そこから2個信号を直進し、いよいよ学校が見えてくるのかどうか、という場所で、俺は出会ってしまった。

 確かにそれがあったのは路地裏で、俺もふとそちらの方を見ていなかったら他の通行人と同様に気づかなかったのだろうが、俺は確かにそれと遭遇した。

 

 明らかに今の現実世界の科学をかき集めたとしても存在しないような謎の()()()と。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ……前置きはここまでにしておくとして、俺はそのまま裂け目へと飛び込んで、今に至る、というわけだ。

 俺は目の前の光景にとても声で言い表せないくらいの興奮をして、(それでも自分とは思えないくらいの発狂をしてしまったけど……)五感を輝かせた。

 

 目、どころではない。

 

 味覚、嗅覚、視覚、聴覚、そして触覚という五感全部を輝かせていたのだ。

 

 だがしかし。

 

「あれ?裂け目が……ない?」

 

 振り返ると自分が通ってきたはずの裂け目が跡形もなく消え去っていたのだ。

 つまり自分は今、異世界でお約束のチート能力をももらえていない条件の中、異世界、それも街でもなんでもないただの草原で1人立ち往生、それに持っているものといえばリュックとスマホ(当然だが圏外だ。)、ワイヤレスイヤフォン(充電をサボっていたせいであと10%しかない)、あとはリュックの中に入っている筆箱と教科書とメモ帳……。という状況である。

 

「おいおい嘘だろ?いきなりハードモードかよ?」

 

 まぁ確かに俺も、異世界転生ものが多くなっているご時世、何もチート能力をもらえず、追放イベントも起きない中、理不尽な状況に抗っていく、という作品はいくつも見たことがある(というかどちらかというとそちらの方が好みである。)が、自業自得とはいえ自分がこうして異世界に飛ばされてみると、あぁ、チート能力が欲しかった……。と思ってしまう。

 

 というか普通は最初街に降り立つんじゃねーのか?

 

 近くに街っぽい場所があるから幸いだったけど、何もない地点に降り立ったら地獄以外の何者でもないだろこれ……。

 

 「にしても消えるなら消えるって事前に告知してもらいたいもんだぜ……。現実世界で行方不明のまま異世界に1人、ってのは別に構わねぇんだけど、流石に現実世界を離れるっていう準備をさせてもらいたかった……。」

 

 普段は天変地異天変地異言っている俺だが、いざ急になってみるとこんな文句を言い始める。

 これを客観的にいうと、典型的な厄介者ってところか。

 とはいえ俺もアニヲタの端くれ。こんな状況に遭遇した時自分ならどうするか、っていうシミュレーション自体は存分にできている。

 

「まぁ、とりあえずはあの街に向かうとしますかね。」

 

 俺は重い足をあげ、肉眼で見えているとはいえ微妙に遠そうな街に向けて歩き始めようとした。

 

 その時だった。

 

「フガ、フガ」

 

「ナんダ?にンゲンじゃあないカ。ヤロウどモ‼︎きょうのエサだゾ‼︎」

 

 横にあった森から、オーク集団と、それを束ねるリーダーらしき人物が現れたのだ。

 それも殺意マシマシの武器装備状態で。

 

「ちょっ、今来んじゃねぇよ!!」

 

 俺は街のある方角へと、逃げた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 この世界に来て初めて俺がわかったことは二つ。

 

 少なくともオークの知性ある者に対しては日本語で対応できる、ということ。

 

 それと……

 

「おイ、マぁテぇにんゲン!!」

 

「待てるかよこの野郎!!」

 

 オークは思ったより足が速い、ということだ。

 

 そりゃあ俺だって根っからの運動部ではなかったわけで、そいつらに比べれば足の速さ、持久力は劣っていたものの、運動神経自体ははそこそこあったので総勢300人の学校内でも持久走で4分の1、つまりTOP75位には入れるほどの実力である。

 それなのに、いま俺が相手してるオークの軍勢は、俺と同等、もしくは少し速いんじゃないかというほどの持久力を持っていた。

 少しでもペースを緩めたらすぐに追いつかれてしまう!!

 大体、この制服、動きづらいし、このリュック、重すぎるんだよなぁ!!

 そう、俺は学校に行こうとしている途中だったのだ。

 当然制服は学校指定のものだし、このリュックには今日受けるはずだった授業の教科書、ノートが大量に入っているのだ。

 ちなみに俺は置き勉をしない主義である。

 だがその主義が、いまこの瞬間で裏目に出るとは!!

 一応リュックを捨てる、制服を脱ぐという選択肢も考えてはみたのだが、制服は脱いだら全裸になるので論外として、リュックに関しては、今まで見てきた異世界系だと、金がなくて詰むパターン、というものも少なくはない。

 だったら少しでも使えそうなものを残しておくのは得策、というものだ。

 まぁ、大体そうなるのは何もチートをもらえなかった主人公、つまり俺のようなやつが出くわすんだけどな!!

 そしてその走りにも限界はやってくる。

 

「流石に重い……。」

 

 中に入れている教科書が邪魔で、俺の走るペースは徐々に、しかし目に見える速さで落ちていっている。

 そしてそれに比例して、オーク共のうるさい声がどんどん耳に響いてくる。

 

 ……このままじゃあ、エサ確定だ。

 

 ……仕方ない。背に腹は変えられない、か……。


 そう悟った俺は、リュックを前に背負うと、筆箱とメモ帳を一旦ズボンのスマホとワイヤレスイヤフォンが入っていない側のポケットに詰め込み、(書き物はかなり必須だろうし、異世界では高価そうなので残した。)もう一度リュックを後ろに背負い直した後、残った教科書全部を捨てる体でオークに向かってぶちまけた。

 

 これで多少はマシか……?

 

 だがその方法は、俺が思った以上に効果のあるものだった。

 知性のあるオークリーダーは流石に無理だったが、それ以外のオークが教科書やノートに足を滑らせて転んだのだ。

 

「ナイス!!」

 

 その間に荷物が軽くなった俺は一気に加速する。

 

「まぁ゙テェェェ!!」

 

 そしてオークリーダーも加速してきたのだ。

 ……ふざけんじゃねえぞ!

 

「どこまでついてくる気だよ!!他の食料探せばいいじゃねーか!!」

 

「ホカのショクりょうなドニンゲンがカリつクしてオルわ!!」

 

 あくまで自業自得ってことかよ!!

 いや俺のせいじゃないけども!!

 

 ……というかこれ、埒が明かなくないか?

 

 リーダーオークは息を上げる感じが全くないし、こちらも街につきそうもない。(歩いてあと半日はかかりそうだ。)

 どうにかしてこのリーダーオークの動きを止められれば、まだ逃げ切れる可能性があるんだが……

 と、ここで先ほどの教科書の例が俺の頭をよぎる。

 ……もしかして、これなら行けるんじゃないのか?

 そう考えると俺は、自分の髪につけてあったカツラをすぐさま取り、後ろを向いた。

 

「ナにヲ!!」

 

 オークリーダーが目を見開く。

 それもそのはず。

 言葉を話せるほどの知性を持っているのなら、相手が意味のわからない行動をした時には固まってしまうのが生物の基本なのだから!!

 

 そして俺はオークリーダーの顔面に向かってカツラをぶん投げる。

 

「!!」

 

 俺が止まったことも相まって、俺とオークリーダーの距離は4mもあるかどうかだった。

 そしてそのカツラは、オークの顔面に見事ヒットする。

 するとどうなるかというと、ご察しの通り、一瞬だがオークは視界が遮られるのだ。

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

 そこを俺はついた。

 

 今回は逃げるのではなくて。

 

 俺はオークリーダーが持っている短刀をすかさず奪い取ろうとするという作戦に出た。

 俺の唐突な行動と、カツラによる目隠しにより、完全な奪取が可能かと思えたのだが……

 

「!!??」

 

 俺の思惑とは裏腹に、その短刀を掴もうとした瞬間、手が短刀を()()()()()のだ。

 

 俺が動揺している間に、オークリーダーは俺のカツラを切り刻み、俺の方に振り返った。

 

「……ヨカったよ。オマエがしょくギョう『ケンシ』ではナくて。」

 

 そしてオークリーダーは俺に向かって剣を突き立てる。

 

「???」

 

 …………職業?

 確かにロールプレイングゲームにはそう言った職業システムが存在する。

 だがしかし、それで他の武器を持てないのは単なる演出であって普通ならば持てるのでは………。

 

「どういう……ことだよ……。」

 

 嘘だろう?こんな最序盤で俺の異世界は終わりなのか?

 小説に換算したって短編集の一部にも満たないぞ?

 

「さラバだニンゲン。ソしてオークのチニクとナルがイイ。」

 

 そしてオークリーダーは俺の心臓向かって短刀の狙いを定め、俺は絶句して涙を流しながら膝をつき、かがむ。

 

「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 だが、次の瞬間、

 バシューッッッッ。っと。

 何故か俺の心臓ではなく、オークリーダーの首から、血が噴き出ていた。

 

「????」

 

 俺は真正面にいたため、倒れるオークリーダーの返り血をまともに受ける。

 

「一体……何が……。」

 

「危なかったな。お前。俺がここにいなきゃあ、とっくに死んでたぞ。」

 

「!!」

 

 俺は声がした背後を振り向く。

 

「まぁ、よかったこった。若いうちは、何事も勉強なんだからよ。生きてりゃあそれで十分、だ。」

 

 そこに立っていたのは、分厚い斧を持った、俺に合わせたかのような濃い藍色の髪(遠目から見ればほぼ黒だろう)で、いかにも冒険者という格好をしている30代くらいの男だった。

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