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諭吉おかわり
『もう二度と会うことはないとそのときは思っていたから、あなたから手紙が来たことを忘れていました。
どうせ言い訳の言葉ばかりを並べ立てて自己保身の権化にでもなっているんだろうと思ったから、押し入れの奥の方に封印して、二度と開けないはずだったのです。
ところがつい先日、その忘れられた手紙の封を切らず、封筒ごとびりびりに破いたのですが、細切れになった紙くずをゴミ箱を投げ入れたとき、何度も見たことのある顔と目が合いました。
そう、福沢諭吉です。
私はなんと封筒に入っていた数枚の諭吉をバラバラにしてしまったのです。あなたが、ここまで反省しているとは知りませんでした。でも、たくさんの諭吉をバラバラにしてしまったので、もう一度あの手紙を送っていただけたらと思います。』
――と、私から彼にそんな手紙を送ったら、数日して数枚の諭吉が届いた。私が、まさにばらばらのパズルを苦労の末に完成させた日の出来事だ。私は優雅な踊りで喜びを表現した。
あまりにすばらしい臨時収入。思わず踊りもするというもの。
完成したパズルを銀行に持って行き、換金することにした。
全部偽札だった。見事に踊らされたのだった。




