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パンダ引き留め作戦

 パンダ「ムミョンムミョン」が祖国に返還されることになった。


 しかし、その動物園のスタッフは、ムミョンムミョンを愛しすぎていた。そこで、返還の日を迎える前に、ある策を講じることにした。


 それは、ムミョンムミョンにピアノを教えることであった。一種の賭けだった。パンダは頭がいい動物であるとはいえ、本当に演奏ができるのかどうかわからなかった。結果からいえば、彼らはその賭けには勝つことができた。ムミョンムミョンは手足を器用に操り、見事な音色を奏でてみせた。


 これにより、監視し続けていた祖国のパンダ奪還班は深い懸念を抱いた。ムミョンムミョンが本当にムミョンムミョンなのかと不安になった。中に人が入っていて、実際のムミョンムミョンは別の場所に隠されてしまったのではないかと疑ったのだ。


 パンダ奪還班は、ヘリコプターを飛ばし、野外で飼育されていたムミョンムミョンの状態を確かめるべく降下作戦を開始した。場合によっては、そのまま縛ってヘリで運ぶことも画策していた。


 ムミョンムミョンは、すっかり音楽にハマッていた。演奏をすると豪華な餌をもらえるからというのもあるが、本当に演奏を楽しんでいた。ピアノにかじりついて、離れようとしない。少しでもピアノから引き剥がそうというそぶりを見せると、全力の殺意を向けてくる。ピアノごと運ぶなどとうていできない。困ったパンダ奪還班。ほくそ笑む動物園スタッフ。


 一夜明け、パンダ奪還班は策を講じた。スタッフの隙を突き、再び降下作戦を決行。ムミョンムミョンにバイオリンを与えたのである。パンダは見事に新しいバイオリンを演奏してみせたが、ピアノからは離れてしまった。これにより、ムミョンムミョンは縛り付けられ、バイオリンとともに運ばれていってしまった。


 祖国に戻ったムミョンムミョンは、さまざまな楽器を与えられ、天才音楽パンダとして、見事に客寄せスターパンダに成長した。動物園のスタッフたちは突然の別れに深い深い悲しみを抱いていたけれども、日が経つにつれて、ムミョンムミョンの芸術への目覚めは、二国間の美しい共同作業の成果だと考えるようになった。


 これは勝利(シロ)なのか、それとも敗北(クロ)なのか。……どちらでもある、といったところだろう。


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