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ゾーラの旅立ち

 ゾーラは小さな町に住む女の子でした。彼女はとにかく文字をみるのが好きで、家にある本を毎晩欠かさず読みふけっていました。


 ある晩、ゾーラが星座の本のページをめくっていると、そこに書かれている星の配置が実際の星空と違っていることに気付きました。彼女はこれは何かの予兆や予言なのか、何か特別なことが起こる前触れかもしれないと考えました。


 次の日、ゾーラは本に書かれた星の場所に向かって散歩に出かけました。道すがら、彼女は一冊の古びた本を見つけました。その本は細かく手入れされた美しい装丁をしており、ゾーラの目にはとても魅力的に映りました。


 ゾーラが本を開くと、白紙のページに自動で文字があらわれはじめました。「どうか自分を助けに来てほしい。必ず助けると約束してほしい。」ゾーラは興味の赴くままに、約束をしてしまいました。


 ゾーラは本に指示されるままに、満点の星空の下をあちこち動き回り、たくさんの石の配置を動かしました。そして、星に向かって手を広げ、目を閉じ、教わった呪文を唱えました。


 すると、星々が輝きだし、ゾーラは驚くべき体験したのです。


 彼女は星の力を手に入れました。色とりどりの光の帯が飛び交う宇宙の中で、彼女は透明な翼を得て、宙に浮かび上がりました。彼女は満天の星空を自由自在に飛び回り、星々と会話をすることができました。


 ゾーラは星座になったのです。


 なんて素敵なことだろうと手を合わせていたのも束の間、ゾーラはサソリ座に襲われました。うなり声をあげながら、いきり立つ尾針をぶつけようとしてきます。地上の者が新たに星座に加わったことが、ほかの星座たちは気に入らなかったのでしょう。あるいは、星空の自己浄化機能のようなものだったかもしれません。いずれにせよ、ゾーラはピンチです。


 聡明なゾーラは、すぐに状況を理解しました。


 ――闘わなければ死あるのみ。


 たくさん本を読んで、星座たちの弱点は記憶していました。サソリの尾をへし折って倒します。サソリの力を手に入れたら、次はオリオン、次は蛇使い、次は、次は、次は、次は……。そうして最後の星座の力を取り込んだ時、彼女の輝きはマイナス20等星を軽く超え、太陽にも匹敵するほど立派な星になっていました。


 夜が更けて、太陽が東からのぼってきました。太陽は言います。


「約束通り、来てくれたんだね。それじゃあ約束通り、僕を助けておくれ」


 ゾーラは約束を守ることにしました。太陽からその力の全てを奪い、ゾーラ自身が、これまでよりもずっと輝く太陽になったのです。


 ほどなくして、ゾーラは宇宙の秘密を知り尽くしたいと思うようになりました。たくさんの星座を食べた彼女ですが、太陽系に留まっていては見えない隠された星座が残されているかもしれません。かくして太陽は未知の星座を求めて旅立っていったのです。


 さようなら!


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