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愛と名づけた

 私は繚乱たれと願った。


 しかし何にでもなれるは何にもなれないのと同じだ。


 疑いを持ったか。あるいは持たなかったか。それを大事にすることは、何も大事にしないのと同じだ。


 考えても無駄と思ったか、そんなのわからないと思ったか。妙に腑に落ちたか。


 無色透明たれ。


 言ってみたが私はそれを拒絶する。



 間違っていると言うものがいた。


 私は動揺しなかった。


 動揺できなかったことに失望できた。


 だから私にはまだ何かがあると思えた。


 だから私は私に間違っていると言ってくれたものが好きになった。


 こんなものが愛であろうはずがない。


 それでも私は愛と名づけた。



 私は徹底的に理解できない存在としてそれを扱った。


 理解できないから愛なのだと定めた。


 それを肯定するものがいた。


 まったく信用ならないと思った。


 私は理解しようとした。


 理解できないのは愛の対象だけでいい。


 理解できるものは取り除けるからだ。



 こんなに歪なものがあるかと誇らしかった。


 ところが私より歪なことをしているやつがいた。


 理解こそ愛だと微笑んだ。


 私はまったく理解できなかった。


 なるほど、理解できないのだから、私はやつを愛せるのだ。


 本物の愛を愛せるなら、私の愛は本物になるのだ。


 ふざけるな。ありえない。



 私は愛を捨てた。無価値で無意味なものにした。


 愛を違うものに避難させようとした。


 あるいはこの引越しこそ愛なのだ。


 私は触れられないよう動かすことを愛にしようと思った。



 いつか君が私の愛に到達した。


 開けてみたら何も無かった。


 それを想像したら、わくわくした。


 実はそっちの方が愛なのか?


 開けることができたら教えてほしい。


 実はそこに何かが生まれていたら、とても居心地が悪そうだ。



 生まれてしまっていた。


 びっしりと言葉が詰まっていた。


 困ったものだ。


 愛とは程遠いものだ。


 私は失望した。


 中身をみた君にだ。


 なぜ喜んだ顔をするのか。


 ゴミをみているのに。



 私は愛を分解することにした。


 層に切り分け、理解した気分になってみた。


 そこで私は愛に操られていたことを知った。


 君に失望した私に絶望しそうだ。


 だから私は私を愛していると宣言することにした。


 これは罰だ。


 それでも、君は喜んでくれた。


 どうやら本気で。


 君が理解ができない。



 君は愛の破壊者なのに、最も愛を肯定してくる。


 愛とは何かもわからないのに。


 私はその言葉を死んでも君には言わないだろう。


 それが最も強い復讐になる。



 愛の対義語は存在しない。


 君は憎しみだと言うが、そんなはずはない。


 何もないのだ。


 言葉があるだけなのだ。


 放っておくことはできないものか。


 それでも何度も拾い上げてしまう。


 やはり私には愛があるのか?


 しかし君は、愛がないねと言ってくる。


 愛とは何かもわからないのに。



 私は君と別れることにした。


 どこまでもついてきた。


 私を愛していると言ってきた。


 私のことなどわからないくせに。


 私は君の誤解を解くべく、言葉を尽くして説得した。


 君はそれでも消えなかった。



 何でもかんでも愛にして、私が愛を返すとでも思っただろうか。


 私が探しているのはそれではないのだ。


 私が探しているのは。


 私は探していたのだろうか。


 あきらめておけばいいものを。



 移す動きを愛だと思ったことがあった。


 その運動にいとおしさを感じなくはなかった。


 しかし、私が動かされていた。


 むしろ、積極的に逃げてきた。


 全てを愛にすればいいと私は私にささやいた。


 そうすれば逃げ恥をさらさずに済むから。


 間違っていない。間違っている。


 本当の愛は生まれるものだと君は言った。


 箱に入っていたそれはもう見つけてあると君は言う。


 言葉なんかなくたって伝わったと君は言う。


 君は信用ならない。


 なぜなら私が信用できない存在だからだ。



 私が私を信じていい。そうなるためにはどうすればいいのか。


 そんなこと、望むことこそ、恥ずかしい




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