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合い鍵を君に

 彼はメロンパンに対して、異常とも言える愛を抱いていた。


 そこで、恋人への愛の告白をする時にも、メロンパンを使った粋な演出をしようと計画した。


 メロンパンの中に、自分の部屋(マンション)の合い鍵を入れて手渡し、いざ食べようとなったときに歯がガチッと鍵に当たり、「エッ、なにこれステキ」という反応が得られると妄想していた。


 食事をしようと誘い、公園のベンチに誘導し、五百円以上する高級メロンパンを彼女に手渡す。それはクッキー生地が硬すぎず、どちらかというとしっとりしたタイプで、彼のもっとも好きなメロンパンの一つだった。


 いつも以上に着飾っていた彼女は、雨だからか、ずっと不満そうにしていたものの、メロンパンを差し出せばよい反応が得られると思った。しかし、彼女のしなやかな手は、メロンパンをぬかるんだ泥に叩き落した。


 予想外の行動に、彼は激昂した。「俺の大好きなメロンパンをめちゃくちゃにしやがって、これは裏切りだ!」と叫んだ。女も「裏切ったのはそっちじゃないの!」と応酬する。


 互いにヒートアップする二人だったが、急にバケツをひっくり返したように激しくなった雨音が、二人の争いをかき消した。男が傘をさし、女はそこに入った。その足元では、濡れてぼろぼろに崩れたメロンパンから、銀色の合い鍵が顔をのぞかせていた。


 女は輝きに気付き、一気に赤面した。


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