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いたずらな雲

 ある日の朝、小さな村の住人であるトムは、自転車で学校に向かっていた。


 道中、トムは空を見上げ、思わず鉛筆を取り出した。紙はないけれど、どうしても人間みたいな形をした、面白い形の雲をなぞりたいと思ったのだ。彼は鉛筆を持ち上げ、雲の形をなぞり始めた。


 すると、なんと鉛筆が雲の中に吸い込まれてしまった!


 トムは驚きながらも、自転車を停めてその場で待つことにした。しばらく待っていると、カツンという音がした。そっちをみると、雲の中から出てきた鉛筆が、自転車の前かごにくっついているのを見つけた。


 鉛筆はそのまま、自転車を逆さまにして持ち上げて、空中に浮かび始めた。仰向けにさせられたトムは困惑しながらも、自転車に乗ったまま鉛筆に引っ張られる形で空を飛んでいく。


 通りすがりの人々は目を疑った。やがてそれが空飛ぶトムだとわかると、驚きと笑いに包まれることになった。その中の一人が指をさして笑いながら、「なんてクレイジーな通学だ!」と声をあげた。


 トムは自転車にしがみつきながら、雲に引っ張られる鉛筆の力を利用して空中を自由に移動する。いくつもの道路や建物を超えて飛び回り、町の景色を一望できる絶好のポジションに到着した。彼は初めこそ恐怖していたものの、その頃にはもう、大喜びで笑いながら、自転車を操っていた。


 有頂天に歌なんぞを口ずさんでいた次の瞬間、不意に、ふたたび鉛筆が雲に吸い込まれていった。通りすがりの村人たちは、ざわつき、悲鳴をあげる者もいた。


 トムは何が起きたのかわからず、ただ遠くなって行く雲ひとつない空を眺めながら、落ちていくのだった――。


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