永遠の宝探し
東西すべての海をめぐり、あらゆるならず者を集めて乗せた海賊船は碧い海を行く。
宝の地図を拡げて眺めながら船長は楽観的だった。「フッ、あらゆる宝など自分の運命力をもってすれば余裕で見つかる。これまでだって、ずっとそうだったのだ」と豪語する。
しかし、この宝探しは一筋縄ではいかないことを副船長は知っていた。副船長は、自分たちが無駄なことをさせられていると考えており、嘲るような笑いを返した。今回の旅でもまた何も得られないであろうことに不満を抱いているようだった。
探しているお宝は、タイムマシンである。文字通りタイムトラベルをするための機械なのだが、これがどうも今のこの世界にはないのだという、まだ作られてもおらず、現状ではタイムトラベルをすることでしか手に入らないというのだ。
はるか未来になって地殻変動した後で取りに来ないといけない宝だということを、つい最近知ったのだった。あまりに無理な宝探しであることを知ってしまった副船長は、他の船乗りを納得させるために、「落ち着け、宝を探すということこそが、本当のお宝なんだ。だから冷静になれ」などと思ってもいないことを言い放つことくらいしかできなかった。そんな状況下で、船長だけがチャラチャラしていたので、副船長は心中穏やかでなかった、といった具合である。
もしも「別の宝をさがそう」などと言ったら、一度目をつけたお宝は何をしてでも掴み取るという噂の船長に始末されてしまうかもしれないし、現状のままというわけにもいかず、副船長という立場では、どうにかして目的のタイムマシンを手に入れなくてはならないのだ。とはいえ自分で作るなど天地がひっくり返っても無理だ。
そこで副船長は考えた。「実は、そのお宝は死なないと手に入らないのです」と言ってやれば、船長は勝手に自害するのではないか。そうしたら、この無駄な宝探しの旅から解放されるんじゃないか。もっとやりたい放題好き放題にやりたい。ずっと宝探しばかりでつまらない、略奪とかもやりまくりたい。
副船長は話術で船長を亡き者にすると決めた。ところが、その作戦は見破られており、いつもはちゃらんぽらんな船長は、急に真面目な顔になって、目的を説明してきた。
「永遠の宝探し、終わらない旅のなかで、おまえたちは、ずいぶんマトモになった。それに気付けないでいるのか。争いは、新たな争いしか生まないのだ。他の誰も探していないお宝を探す旅では、争いなど生まれないだろう」
実はこの船長、未来からタイムトラベルして来た、ただの聖人だったのだ。




