あんなこんなそんなのストリートビュー
僕と彼女はカフェで外の通りをぼんやり眺めていた。
様々な人々が行き交い、街を彩っている。
面白いですね。
「ねえ。あの人は右手と右足を一緒に出しているよ」
「何か緊張しているのかしら」
「隣の彼女も手足をピンピンと真っ直ぐに伸ばして歩いている」
「二人はまだギクシャクしているのね」
「あっちからくるおじさん、何だかおかしいな」
「左手と右手と左足を一緒に出しているわ」
「リズムが変だね」
「不規則ね」
「前衛芸術とか」
「そうかも」
「あのお姉さんはもっと不思議だよ」
「右足と左足が一緒に出ているわ」
「うん。そして左手と右手は上下に動かしているね」
「すごく忙しい歩き方だわ」
「ダイエットとか」
「顔も焦っているから電車に乗り遅れそうなのかも」
「あっちから来る人は有名人なのかな」
「みんなが振り向いているわ」
「全裸のせいかも」
「全裸の上に、1秒間に20回転しているのが目立つんじゃないの」
「その上、5つ子だしね」
「その上、全身緑だし」
「有名人なのかな」
「みんな振り向くしね」
「あの二人は双子かなあ」
「可愛い姉妹かもね」
「右の娘は両手両足、一緒に出しているね」
「左の娘さんは両手と両足をすべてバラバラに出したり出さなかったりしているわ」
「器用だよね」
「よく一緒に歩けるわね」
「あっ、くっついたね」
「合体して溶け合ったわ」
「地面に吸い込まれた」
「健康には気をつけて欲しいわ」
「あの路地から出てきた人も変わっているよ」
「右の首と左の耳と左右のお腹が同時に動くのね」
「いやいや。よく見ると中央の十二指腸や右斜め上の上腕二頭筋もクルクル回しながら歩いているよ」
「神業ね」
「それだけじゃない。S字結腸や尿管や膀胱も左右に振りながら歩いている」
「ジャンプしているようにもスキップしているようにも、あるいは地面ギリギリに浮いているようにも見えるわ」
「あの7つの眼と千の口が面白いね」
「ファッショナブルよね」
「あの人は脇に何を持っているのかな」
「シールドマシンに見えるわ」
「何をする道具なの」
「トンネルを掘るときに使う重機よ」
「あっちの人のはもっと変わっているね」
「あれは多分アスファルトフィニッシャー・タンデムローラーじゃないかしら」
「なんだい。それは」
「道路のアスファルトを均一に敷きならすのよ。敷きならしたアスファルトは、プレートやタンピングランマーといった舗装機械や、タンデムローラーを使って締め固めるの」
「そうかあ。おしゃれだね」
「おしゃれかしら」
「見てごらんよ。20人の団体だ」
「よく足を動かさないで移動できるわね」
「本当だ。立っているだけに見えるけど、少しずつ前進しているね」
「あっ、一番前の人が後ろに倒れたよ」
「順番に全員倒れたわ」
「でもほら、一番後ろの人が立ち直ったら」
「すごいわ。全員立ち上がったわね」
「よく見ると交感神経でつながっているよ」
「全員電波なのね」
「全員脳波かも」
「一人くらいはカメハメ波だろうね」
「まるで建築物を構成する要素の中で、建物そのものの重さや建物の床に載る荷重などをはじめ、建物の構造躯体や骨組みの各部にかかってくる外からの圧力に抵抗することを主な目的として空間を構成しているかのようだわ」
「こっちから来た人は勇者にも見えるけど」
「魔王にも見えるわ」
「魔王が昼間の商店街を歩くかな」
「勇者だって、コロッケを食べながら歩いたりしないと思うけど」
「魔王がピンクのミッフィーのポシェットを斜めがけにするかな」
「勇者はネイルサロンのチラシを道行く人に配ったりしないと思うわ」
「魔王だったらもっと悪いことをしないとね」
「こっちにくるわ」
「あっ、炎を噴きだしたね」
「ちょっと熱いかも」
「君の髪が燃えているよ」
「あなたも燃えてるわね。情熱的な意味でなく」
様々な人々が街を行き交い、彩っている。
面白いものですね。
読んでいただいてありがとうございました。映像化希望です。




