096「質疑応答①ジョー・ウェイン/王明凛」
「さて、早速だが⋯⋯ソラ。君がたった一人で鎮圧した『魔物暴走』はBランクダンジョンだ。当然、ダンジョンボスもいたと思うがそれらさえも一人でやっつけたというのはとても信じられないが、君的にはそれは⋯⋯⋯⋯特に難しいとは思っていなかったというのは本当かね?」
ジョーはのっけからソラに質疑する。
「イエス⋯⋯そうですね。問題ないと思ったので一人で行いました」
すると、ソラの即答とその肯定する内容に会場が軽くざわつく。
「ふむ。あと君は緊急生ライブでの記者会見で『レベリングのボーナスステージかと思ってました』と発言しているが⋯⋯あれはやはり真実ということかい?」
「はい、そうです。あれだけの魔物が向こうからやってくるなんてそんなのモンスターボックスでもなかなかないですからね。チャンスだ〜!⋯⋯って」
「は、はは⋯⋯チャンス⋯⋯」
アメリカでこれまで数々の武勇伝を残す、探索者世界ランキング3位のジョーでさえも、ソラのこの発言には明らかな失笑をした。
「クレイジー。クレイジーだよ、ソラ。そして、悪いが君のその強さの秘密を知りたいと思っている。この質問もおそらくここにいる探索者全員に真意だと思うが⋯⋯⋯⋯君はどうしてそんな強いんだ? 本当に君は何者なんだい?」
「⋯⋯⋯⋯」
「我々だってバカじゃない。各国のギルドの動きは把握しているし、実力ある探索者は常にチェックしている。しかし、そんな中、君は突如⋯⋯彗星の如く現れ、そして、圧倒的な成長スピードで強くなった。⋯⋯⋯⋯新屋敷ソラ、君は一体何者なんだっ?!」
「⋯⋯⋯⋯」
最初、余裕を見せていたジョーだったが、今はかなり気持ちが入った物言いになっている。そして、ソラはその質問に対し、しばらく無言を貫き、そして、
「企業秘密ですね!(ニッコリ)」
「⋯⋯え?」
ここでまさかの満面の笑顔でそんなことを言うとは思わなかったジョーは毒気を抜かれ放心状態となる。
「いや〜、さすがに強さの秘密を明かすのは弱点を曝け出すようなものじゃないですか〜。それはさすがに答えられませんよ〜⋯⋯はっはっは」
壇上に上がった当初は、レヴィアスのときみたく基本クールな表情で対応していたソラの顔が一点、ニコニコして愛想よくジョーの質問に堂々と答えるその様は、ジョー本人や会場の者たちからは逆に異様な光景に映り、誰もがソラの言葉にある種『不気味さ』を感じていた。
「な、なる⋯⋯ほど。これが⋯⋯⋯⋯新屋敷ソラか」
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毒気を完全に抜かれたジョーはそのまま壇上を降りた。
そして、次に上がってきたのは、
「中国本部ギルマスの王明凛です。初めまして、新屋敷ソラ」
「ど、どう⋯⋯も⋯⋯」
中国本部ギルドマスター『王明凛』。S級ランカーはもちろん、世界ランキング5位の実力者であるが、ソラはそんなことよりも、
(めっちゃ、美人さんやないかーい!)
と、関西弁になるほどには王明凛に見惚れていた。
実際、水色のロングヘアーの彼女の髪色は透明感と気品に溢れ、顔もはかなげな美しさを感じさせるほどの美少女。
(めっちゃ、ストライクやん)
だそうだ。
「さて、いくつか質問させていただきます⋯⋯」
そんな彼女は、ソラのそんな自分への印象に気づいているのかどうかはわからないが、舞台に上がるとすぐに話し始めた。
「ソラ。君は元高校生で現在は独立していると聞くがそうなんですか?」
「はい、そうです」
ソラは探索者集団『新進気鋭』のメンバーである唐沢と胡桃沢でマンションを借りて、そこで『探索者所属事務所』という形で起業したことを伝える。
「そうなんですね! では、ちょうどいいですね」
「え? ちょうど⋯⋯いい?」
「ええ。私とビジネスパートナーになりましょう」
「え? えええええええっ?!」
ソラは王明凛の突然の『ビジネスパートナー発言』に度肝を抜かれた。
「今、ソラは事務所立ち上げたばかりなんでしょ?⋯⋯ってことは探索者以外の仕事とかもやっていきたいと思っているんじゃないの?」
「お、仰る通り⋯⋯です」
「でしょー? じゃあ、私たちといろいろビジネス面で組みましょう!」
「え? あ、いや〜、え〜と⋯⋯俺一人では判断が⋯⋯その⋯⋯⋯⋯い、いいのかなぁ〜?」
ソラは舞台袖にいる唐沢と胡桃沢を見る。すると、二人が「大物だぞ、ソラ!」「色良い返事を! ソラっ!!」などとゼスチャーで必死に「約束を取り付けろ!」とアピールしている。それを悟ったソラは、
「あ、えーと、仲間も了承のようなので⋯⋯ぜひ、よろしくお願いしま⋯⋯」
そのまま王明凛とビジネスパートナーとしての約束をしようとした、その瞬間——、
「意義あり! 中国の王明凛のソレは質疑とは関係ないもの! 質疑は中止させろー!!」
「そうだ、そうだ! 関係ない話をこんなところでするなー!」
「王明凛っ! 品がないぞぉー!!」
会場の数人が立ち上がり、「王明凛を退場させろー!」と声を上げる。すると、
「だーーーーらっしゃい!! このヘチマどもがぁぁ〜〜っ!!!!!」




