064「各国の動き/インフィニティイギリス総本部②」
「レヴィアス・アークシュルト。⋯⋯⋯⋯あんた、何が言いたいの?」
「ん? ああ⋯⋯⋯⋯新屋敷ソラ君がこの魔物暴走を一人で食い止めるかもって話だよ」
「なっ?!」
「⋯⋯⋯⋯」
レヴィアスの妙に確信的な発言に驚愕するイライザと静観するメイベルだった。⋯⋯が、その束の間すぐにメイベルがユラリと言葉を発する。
「⋯⋯血迷ったか、レヴィアス・アークシュルト? 確かに、あの新屋敷ソラという奴はデビューして2ヶ月でD級ランカーになった成長著しい才能ある奴かもしれんが所詮まだD級ランカーだぞ? そんなD級ランカーがBランクダンジョンの魔物暴走を一人で止めるなど⋯⋯⋯⋯⋯⋯あってたまるかぁぁーーーっ!!!!」
早々にブチ切れるメイベル。
「⋯⋯失礼ながら、ギルドマスター」
「レヴィでいいよ、イライザ?」
「いえ、そんなわけにはまいりません。イングランド公爵家でしかも『アークシュルト家の至宝』と言われるレヴィアス様にそんな略称は失礼極まりないので」
「はぁ〜相変わらず真面目だな〜、イライザは。それで? 何か言いたいことでもあるのかな?」
「はい。正直、今回の件⋯⋯失礼ながらレヴィアス様の先ほどの話は荒唐無稽にも程があるかと⋯⋯」
「つまり、メイベルと同じ意見ってことかな?」
「⋯⋯はい」
「ちなみに、もし彼⋯⋯⋯⋯新屋敷ソラ君が魔物暴走を一人で食い止めたとしたら⋯⋯⋯⋯どう思う?」
「もし、本当にそんな芸当ができたのなら率直に言って⋯⋯⋯⋯我々の力と同等かそれ以上の力を持った『規格外の化け物』ということになるかと」
「ふむ」
「ていうか、イライザ! あんた何真剣に答えてんの! そんなことあるわけないでしょ!! レヴィはそうやっていつも『相手に期待しすぎるクセ』があるんだからそんな話まともに聞いちゃダメよ!!」
そう言って、レヴィの話を一刀両断するメイベル。
「アハハ⋯⋯⋯⋯僕ってそんなに相手に期待しすぎるかな?」
「はい」
「当たり前でしょ!」
「あ、あれぇぇ〜〜??」
二人の即答にショックを受けるレヴィアス。しかし、
「はぁぁ〜〜⋯⋯やっぱ、こいつ手遅れね。しかも無意識ってところがタチ悪いわ」
「ごもっともです」
と、メイベルとイライザはレヴィアスに聞こえないほどの小さい声でお互いの意見の一致を確認する。
********************
「じゃあ、これで話し合いは終わりかな⋯⋯イライザ?」
「あ、一応⋯⋯あと一つありまして」
「ん? 何だい?」
「あれでしょ? 一月初めの日本訪問の話よね?」
「そうです」
「あ〜! そうだったね」
「いや、何でギルマスのあんたが忘れてんのよ!? しっかりしなさいっ!!」
「も、申し訳ない⋯⋯」
と、副ギルドマスターのメイベルにがっつり怒られへこむギルマスのレヴィアス。
一般的には、ギルドマスターのレヴィアス・アークシュルトは『かっこいい』『頼りがいがある』『男らしい』『甲斐性天井知らず』という評価を受けているが、実際の彼はこのように『天然』でだいたいが副ギルドマスターのメイベルと受付総長のイライザがこのイギリス総本部の運営を担っていた。
「とりあえず、予定通り⋯⋯来年一月中旬頃で問題ないでしょうか?」
「ああ、それでいいよ。ところで各国のギルドはどうなっているのかな?」
「はい。基本、先進五カ国⋯⋯英国・米国・仏国・中国・露国のギルドマスターは全員参加を表明しております。他途上国のギルドマスターらも参加の方向で動いているようです」
「へ〜⋯⋯意外だな。『探索者世界会議』でもないのに途上国のギルマスたちが参加するなんて?」
「フフ⋯⋯まーそれだけ、日本の高校生探索者の活躍に興味があるのでしょうね。しかも、そんな活躍のニュースが世間を賑わす最中、魔物暴走も発生した。今回のこの魔物暴走鎮圧の成功如何によっては、ほとんどの国のギルマスたちが日本に訪れるかもしれないよ?」
と、ニコニコと楽しげに微笑むレヴィアス。
「フン! 逆に言えば、その魔物暴走鎮圧の成功如何によって参加を見合わせる国が増えるとも言えるけどね?」
そう言って、ニコニコのレヴィアスを睨むメイベル。
「やめてください、二人とも。ただ、確かに今回の魔物暴走鎮圧を日本本部が速やかに成功させた場合、かなりの数の国が訪日を希望するでしょう。ただ、そうなった場合ですが、せっかく多くのギルマスが日本に訪れるなら⋯⋯急遽ではありますが『探索者世界会議』を開くのはいかがですか?」
と、二人の間に入りつつ提案するイライザ。
「お? いいね、それ! ちょうど、最近出現頻度が高くなっている『魔物暴走』についての情報交換もしたかったからね」
「はい。ちょうど良い機会かと⋯⋯」
「そうね。今回の日本の魔物暴走の情報も実際に生で聞いてみたいわ」
「うむ。それでいこう! 調整のほう頼むよ、イライザ」
「かしこまりました」




