056「Let's ショッピング!!②」
——11階/ドロップアイテムコーナー
「え〜と⋯⋯⋯⋯⋯⋯あ、ここね!『転移水晶』」
胡桃沢にエスコートされるがまま進むとお目当てのモノが見つかった。ちなみに、ここは貴重なドロップアイテムを扱うコーナーであるため、すべて鍵付きのガラスケースで管理されている。
「へ〜、きれいだな」
目の前の『転移水晶』を見る。大きさは直径10センチ程度。水晶内は虹色の粒がフワフワと浮かんでおり、とても神秘的で綺麗だ。で、気になるお値段は⋯⋯、
「350万⋯⋯」
「まーそれくらいはするさ。なんせ、ダンジョンの宝箱か魔物のドロップアイテムでしか手に入らないものだからな」
そう、この『転移水晶』は現代の科学技術では造れないアイテムなので、ダンジョンの宝箱に入っているアイテムという形か魔物のドロップアイテムからしか手に入れることができない。⋯⋯故に高額となるのである。
「B級ランク以上のダンジョンなら宝箱だったり、魔物のドロップアイテムから比較的出現するらしいわ。だから、ダンジョン産のアイテムの中では割と安いほうなのよ?」
とは、胡桃沢の弁。
「へ〜そうなんだ」
「とはいえ、簡単に出るってわけでもないけどね。まーB級ランク以上のダンジョンに挑戦できるのはD級ランカーの探索者からだから、みんな割と1クランにつき1つくらいは持っているわね⋯⋯緊急脱出用として」
「なるほど。⋯⋯やっぱ必要だな」
「お、おいおい、ちょっと待て?! ソラ、お前もしかして買う気なのか?」
「ああ、そのつもりだ」
「ちょ、ちょっと、ソラ君⋯⋯待って! 私たちの今持っている資金じゃ無理よ?!」
「ああ、大丈夫。みんなで出し合ったお金とは別のお金⋯⋯⋯⋯『ポケットマネー』を用意してあるから」
「「ええっ?! ポ、ポケットマネーっ?!」」
俺は「単独探索者の時稼いだときのお金にまだ余裕があるから」と言い、また「今後クランでの活動で何かあった時のためには絶対に必要な物だ」と言って二人を説得した。しかし、
「い、いや、ポケットマネーなら、ソラ個人の買いたい物を買えよ!」
「そうよ! クランで使う物とはべつにしなきゃ!」
と、二人は「ポケットマネーなら自分のためだけに使え!」と予想通りの答えを返してきた。なので、
「気にするな。その分、これからどんどんダンジョン探索を攻めて行くつもりだから。そしたら、自然とお金も稼げるだろうから、その時にこの『転移水晶』の購入資金を二人から回収するよ。これならどうだ?」
「「うっ?!」」
「⋯⋯ふふ、決まりだな」
と、ソラは二人を納得させた。
(それにしても本当に良い奴らだな⋯⋯二人は)
俺は密かに二人を見て一人感心した。
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「あとは、何を買うんだ?」
「そうだな。あとは『テント』かな?」
「「テント?」」
「ああ。⋯⋯⋯⋯ダンジョン内での宿泊用テントだ」
「それって、ダンジョン内で宿泊するってこと?」
「まーそうだ。いつもダンジョンでレベリングしているときにテントがあったらな〜って思ってたんだよ」
「まーたしかに、テントがあれば地上に戻る必要がないから便利だよな〜」
というわけで、三人ともが意見一致ということで宿泊用テントを購入した。
「うっし! これで全部か?」
「そうね。私は買うものは買ったわ」
「あと一つ⋯⋯いいか?」
「「ん?」」
そう言うと、ソラがスタスタと一人歩いていく。
それを見た二人は慌ててソラの後を追いかけた。
——再び、ドロップアイテムコーナーへ
「これを買おうと思ってな⋯⋯」
「ちょっ! おまっ!? こ、これって⋯⋯」
「「ストレージリュックっ!!」」
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『ストレージリュック』
・見た目と違って、かなりの量を収納できるリュックサック
・リュック内は『時間が止まっている状態』のため、生物も入れられる
・いわゆる『現代科学技術で作成不可能アイテム』というもの
・ドロップアイテムの中でもかなり貴重なアイテムのため高額で有名
・『収納できる空間の広さ』によって値段が変わる
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「さっき『転移水晶』のときに位置を確認していた(キラン!)」
「「いや、そんなドヤ顔されてもっ!!」」
そう、俺の今回の買い物の一番の目的は、この『ダンジョン用宿泊テント』の購入だ。
これまではダンジョンでのレベルリングの際に魔物が落とす『魔石』や『ドロップアイテム』を大きめの袋に入れていたが、それでも魔物を狩る量が多い分、一日に地上を何往復もする必要があり、それがかなり俺の中でストレスだったのだ。
「ちょ、これ本気で買うの、ソラ君?」
「ああ。むしろ今回の一番の目的はこれだ!」
「で、でも、これ、値段が『1億円』⋯⋯って書いてあるぞ?」
「ん? 出せるぞ?(ドーン!)」
「「っ!!!!!!!!」」
と、ソラがダンジョン探索で使っている袋を出した。中を見てみるとかなりの数の『札束』が入っていた。
「ここに⋯⋯⋯⋯2億ある」
「に、2億ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜っ!!!!!」
二人は一度金額を叫ぶとその後口を開け唖然としていた。まー無理もない。
俺だって、探索者の身分証で現金引き出したときは同じリアクションだったからな。
「こ、これが、単独探索者のときに貯めていたお金⋯⋯⋯⋯『ポケットマネー』ってこと?」
「ん? いや、まーあと少しは残っているけどな」
「お、俺、こんな札束初めて見たわ⋯⋯」
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そして、俺はついに『ストレージリュック』を手に入れた(※テッテレー)!
ちなみに、購入した『ストレージリュック』の容量は『面積50平方メートルまで』と結構な収納スペースがあるみたいだ。これでダンジョン探索中に「一度地上に戻る」なんてことはなくなるだろう。⋯⋯まー最悪戻る必要があったとしても一回で済むだろうな。
(ふふ⋯⋯これでレベリングが捗るな〜(ニチャァ))。
「な、なんか、ソラ君って、欲しい物にはお金に糸目つけないのね?」
「ていうか、単独探索者のとき、どんだけ魔物狩ってたんだよ⋯⋯」
「レベル62って、お財布事情も化け物だったのね⋯⋯」
「「⋯⋯ふぅ〜(な、なんか、疲れた)」」
なぜか、唐沢と胡桃沢がグッタリしていた。ふふ⋯⋯久しぶりの買い物で二人ともテンション高かったからな〜。ちょっとはしゃぎ過ぎたってところかな?(※違います)。
「それじゃ、今日は解散ってことにする?」
「そうね」
「ああ。でも、今日買った装備を確認したいから明日はダンジョン潜ろうぜ!」
「「賛成!」」
ということで、今日は解散となった。
明日からまた本格的なダンジョン探索が始まる。ただ、これまでと違い、俺たちは学校を退学したのでこれからは『一般人』として初のダンジョン探索となる。
多少、不安な部分もあるが、それ以上に今はやる気やワクワクのほうが大きい。なんせ、学校に行かなくてもいいのでその分集中してダンジョン探索ができるからだ。
「明日からはレベリングだけじゃなく、ダンジョン内の宝箱とかも見て回ろうかな?」
俺は期待に胸を膨らませて家路を辿った。




