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イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜  作者: mitsuzo
第二章

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032「竜ヶ崎真司の現在(5)」



「え? え〜と⋯⋯」

「だから! どうしてあのような⋯⋯新屋敷ソラが関東C24のダンジョンボスを単独で倒したなどというデマ情報を流したんですかっ!!」


 僕は今、ギルド本部にて受付に『新屋敷ソラの不正』を訴えていた。しかし、


「い、いや、それは、こちらでちゃんと確認した情報でございます。竜ヶ崎さんが言うような不正とかデマといったことはございませ⋯⋯」

「ふざけるなっ!!」


 バキィィィィ〜〜〜ッ!!!!


「キャ〜ッ!!」


 僕は、怒りのあまり、つい両拳で机を思いっきり叩くと机を真っ二つにしてしまった。おまけに、受付嬢も僕の行動に恐怖したのか青い顔で震えながら声を上げた。


 でも、仕方なかった! だって、彼女がまともに話を聞いてくれないから! むしろ、こいつの対応が悪いんだ! 僕は悪くない!!


「⋯⋯いいですか? 新屋敷ソラがダンジョンボスを倒したというのがデマなのは明らかなのです。ですから、あなたもギルド本部の職員ならすぐにでも彼のデマを即刻訂正し⋯⋯」

「おい、新人(ルーキー)⋯⋯」

「⋯⋯何ですか? あなた誰ですか?」

「何ですか⋯⋯じゃねーんだよ。少しおいた(・・・)が過ぎるんだよ、ボケが」


 僕に声をかけたのは30代後半くらいのおっさん探索者(シーカー)だった。格好は『侍』のような姿で腰には帯剣もしている。⋯⋯コスプレイヤーかよw


 おそらくベテラン探索者(シーカー)といったところか? 僕の今の行いを注意しにきたのだろう。⋯⋯しかし、今はそんな雑魚に構っている暇はないんだよ⋯⋯こっちは!


「は? なんですか、あなた? 邪魔ですから向こうに行ってください」


 と、僕は軽くあらしった。すると、


「口の利き方もわからねーガキのようだな?⋯⋯ったく、これだから『ニューエイジ』は嫌いなんだ⋯⋯⋯⋯よっ!」

「え?」


 彼が「これだからニューエイジは嫌いなんだよ」と言い終えた瞬間⋯⋯⋯⋯気づくと、なぜか僕の体が宙に浮いていた(・・・・・・・)。そして、


 ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガっ!!!!!!


「ぐはぁぁぁぁぁぁっ?!」


 気づいた時には、体が宙に浮き、ギルドの端っこまで10メートル以上は吹き飛ばされていた。


「な、なん⋯⋯だ、あんた⋯⋯は⋯⋯⋯⋯」


 ガクッ。


 僕はその一撃で呆気なく意識を手放した。



********************



「!⋯⋯ここは?」


 目を覚ますと、僕はギルドの外にあるベンチに横たわっていた。すると、その横にはさっきの受付嬢がいた。


「起きましたか⋯⋯⋯⋯竜ヶ崎真司さん?」

「え? あ、はい⋯⋯」

「頭は冷めましたか?」

「! は、はい⋯⋯」


 どうやら、僕は彼に吹っ飛ばされたことで正気に戻ったようだ。


「自分がしたことは覚えていますか?」

「え⋯⋯? あ、は、はいっ!? す、すみませんでした!」


 冷静になった今、僕はさっき怖がらせたこの受付嬢に謝った。


「ああ⋯⋯よかった。どうやら正気に戻ったみたいですね!」


 そう言って、彼女は笑みを返した。


「す、すみませんでした⋯⋯本当に」

「いえいえ、大丈夫ですよ」


 彼女はそう言って、僕のさっきの行いや言動を許してくれた。いい人だ。


 それにしても、僕はなんであそこまで訳のわからないほどの怒りに包まれたのだろう? 正直、自分でも理解ができなかった。


「あ、あの、ところでさっき⋯⋯⋯⋯僕を投げ飛ばした人は誰なんですか?」

「え? ああ⋯⋯あの人は単独探索者(ソロ・シーカー)でS級探索者(シーカー)不知火(しらぬい)さんです」

「え? し、不知火っ!! 不知火って、ま、まさか⋯⋯」

「はい。竜ヶ崎さんの想像通りです」

「あ、あの、あの孤高の単独探索者(ソロ・シーカー)で、国内最強の一角として有名なS級探索者(シーカー)⋯⋯⋯⋯不知火不師斗(しらぬいふしと)さんですかっ!!!!」

「はい、正解です。よかったですね、殺されない(・・・・・)で済んで⋯⋯」

「⋯⋯ま、まったくです」


 あ、あれが、あれが国内最強探索者(シーカー)の一人⋯⋯⋯⋯不知火不師斗。まったく、攻撃が見えなかった⋯⋯。


「あ、不知火さんから言付けを頼まれてます」

「言付け?」

「小僧⋯⋯修行不足だ、出直してこい! あと、口の利き方に気をつけろ! 今度は命を狩る!⋯⋯とのことです」

「は、はい⋯⋯すみません⋯⋯でした」

「でも、不知火さん褒めてましたよ」

「え? 褒めてた?」

「はい。生意気だがイキのいい小僧は嫌いじゃない⋯⋯って(笑顔)!」

「(ドキッ)!」


 僕は彼女の笑顔を見て、なぜかドクンと胸が高鳴った。


 えっ?! な、何だ⋯⋯今の胸の高鳴りは?


 なぜだろう⋯⋯この受付嬢()ともっと話がしたい。


「す、すみません。あ、あなたの⋯⋯⋯⋯お名前は?」

「え? 私? 私は石川琴音といいます」

「い、石川⋯⋯琴音⋯⋯」

「『さん』ですよ、竜ヶ崎さん! 私のほうが年上なんですからね!」

「す、すす、すみませんっ!?」

「次からはちゃんと⋯⋯⋯⋯口の利き方に気をつけろよ、小僧!」


 そう言うと、石川琴音さんはニコッと眩しい笑顔を見せてくれた。


 な、なんて、可愛い人なんだ⋯⋯ドキドキが止まらないっ?!


「さーて⋯⋯⋯⋯じゃあ、私は仕事があるのでそろそろ戻りますね。気をつけて帰るんだぞ、学生!」


 そう言って、石川琴音さんは駆け足で去っていった。



「石川⋯⋯琴音⋯⋯さん」



 気づくと、さっきまで激昂していた新屋敷ソラ(あいつ)のことなどすっかり忘れ、去っていく琴音さんの後ろ姿をずっと眺めていた。


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