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イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜  作者: mitsuzo
第二章

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031「竜ヶ崎真司の現在(4)」



「えっと〜、2ヶ月前に高校生探索者(シーカー)になった新人(ルーキー)で、名前はたしか⋯⋯⋯⋯⋯⋯新屋敷ソラ」

「⋯⋯え?」


 僕は彼女の言葉に一瞬、頭が真っ白になった。


「新屋敷⋯⋯ソラ?」

「え、ええ。⋯⋯あ、そうか! 竜ヶ崎さんと同じ高校の同級生の方ですよね!」

「え? あ⋯⋯はい」


 頭の中がまだ真っ白な状態だったのだが、そんなボーッとする僕に彼女は興奮気味に話を続けた。


「すごいんですよ、彼! だって、そのトロールオークを倒したのも一人で倒したんですから!」

「は? 一人⋯⋯で⋯⋯?」

「はい! つまり、単独攻略です! 2ヶ月前に探索者(シーカー)になったばかりの新人(ルーキー)がですっ!? そんな彼があのトロールオークを単独で倒したんです!」

「そ、そんな⋯⋯バカな⋯⋯」

「すごいですよね! でも、それだけじゃないんです! 何と新屋敷ソラくんはその功績が認められて、E級を飛び越してD級ランカーになったんですぅぅ〜!! つまり『二段階特進』ですよっ!!!!」

「っ!? に、二段階特進⋯⋯っ!?」

「はいぃぃ! いや〜もうビックリです! ちなみに、この『二段階特進』は実に10年ぶりみたいですよ?! いや〜もう私、朝から興奮しっ放しで! あ、私これから本部に行ってちょっとその新屋敷ソラくんを見に行ってきますので! 失礼します!」


 そう言って、彼女はさっさと飛び出していった。


「に、二段階特進? 10年ぶりにトロールオークを単独攻略? な、何だよ⋯⋯何が⋯⋯何がどうなっているんだ?」


 彼女が飛び出していった後も彼女の言葉がどうにも受け入れられず⋯⋯⋯⋯僕はしばらくその場に立ち尽くしていた。




「おい! おい、真司! 真司ぃぃっ!!」

「⋯⋯え?」


 僕は帯同しているいつもの探索者集団(シーカー・クラン)のリーダーに声をかけられ、その声のほうへ顔を向けた。


「ど、どうした! 顔が真っ青だぞっ?!」

「え? 顔?」

「ああ⋯⋯ひどい顔だ。それに受付でボーッと立ったままだし⋯⋯⋯⋯何かあったのか?」

「あ、まあ⋯⋯」


 さっきの受付嬢の話があまりにもショックで、僕はまだまともな思考になっていなかった。


「本当にどうしたんだ、らしくないぞ? 何か悩み事でもあるのか?」

「そうだぞ! 悩みがあるなら言ってみろ!」

「そうだぞ。そんな顔色悪くして、一体何が⋯⋯」

「⋯⋯黙れ」

「「「「え?」」」」


 僕は、メンバーの言葉がすごく耳障り(・・・)に感じて、ついそんなことを口走っていた。でも、そのおかげでシーンと静かになったのでよかった。


「す、すみません。体調がすぐれないので⋯⋯今日は⋯⋯休みます」

「し、真司⋯⋯」


 そう言って、僕は彼らの返事も聞かず、フラフラっとその場から立ち去った。



********************



「⋯⋯ここはどこだ?」


 気がつくと、僕はギルド本部の近くにある公園に来ていた。


 どうやら僕はここまで歩いてきたようだがその記憶はない。


 とりあえず、少し頭も回るようになったので僕は一度大きく深呼吸をして記憶を遡ってみた。


「ふ〜⋯⋯よし、もう大丈夫だ。とりあえず、ゆっくりと思い出していこう。まずは、僕は何でこんなところにいるんだ? えーと⋯⋯⋯⋯そうだ。今日は関東B6でレベリングする予定だったんだ。でも、何でここに? あ、そうだ。確か、関東B6のギルドの受付嬢と話をして⋯⋯それで⋯⋯何か受付嬢が興奮気味に話していて⋯⋯たしか⋯⋯同級生がどうこうとか⋯⋯⋯⋯同じ学校の高校生探索者(シーカー)が何とかって⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯はっ!? そうだ、新屋敷ソラ! あいつの話だった! たしか、話の内容は⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯あ」


 僕はやっとのことで思い出した。思い出したくもない話を思い出した。


「新屋敷ソラが関東C24のダンジョンボスのトロールオークを⋯⋯C級ランカーの探索者集団(シーカー・クラン)でも手こずるトロールオークを単独で⋯⋯倒したんだった⋯⋯」


 僕はすべての記憶が戻ると、心の中でいろんな感情が渦巻いた。



 驚愕、戦慄、嫉妬、憎悪⋯⋯⋯⋯そして、絶望。



「う、嘘だ! あり得ない! トロールオークは今のBランクダンジョンの関東B6でも20階層以上から出現するほどの強さなんだぞ!? それを単独で撃破なんておかしいだろっ!! 嘘だ! 嘘だ! 絶対に嘘だぁぁぁ〜〜〜〜っ!!!!」


 僕はこの情報を『嘘』だと思った。何だったら『単独で倒したと話を盛った』とも思ったし、『他の人の手柄を自分の手柄のようにした』とも思った。


 すると、今度はその『自分で作り出した嘘』に沸々と怒りが込み上げてきた。


「許さない、許さないぞ、新屋敷ソラ⋯⋯っ! そんな嘘をついてまでして二段階特進をするなんて! そんなの⋯⋯そんなの⋯⋯許されることじゃないっ!!!!」


 僕はその怒りのまま、本部へと向かった。


 新屋敷ソラが嘘をついていると報告するために!


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