023「Bランクダンジョン『関東B6』」
あけましておめでとうございます。
2023年もよろしくお願いします。
2023年1月1日
mitsuzoエンターテインメンツ
第二章
——D級以上条件ダンジョン『関東B6』
「ここが関東B6⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯て、代々木公園にあるのかよ! 近っ!」
俺は今、唐沢と二人で『関東B6ダンジョン』にきていた。
これまで通っていたダンジョン『関東C24』は、渋谷の『1091ビル』の近くにある探索者ギルド『インフィニティ日本本部』の真下にあったが、今度の『関東B6』はこれまたすぐ近くの代々木公園の敷地内にあった。
ちなみに、ギルド下にダンジョンがあるのは世界的に見ても珍しいものらしい。どうして、そんなダンジョンの上にギルドの建物を建てたのかはよくわからないが、まー特に興味はないのでそれ以上はよく知らない。
あと、このダンジョン名は『関東』や『関西』といった『地域名』、ダンジョンの脅威や難易度を示す『ダンジョンランク』、そして、発見順の『数字』で構成されている。
なので、今回のこの『関東B6』というのは『関東で6番目に発見されたBランクダンジョン』ということになるのだが、Bランクダンジョンでの探索活動は、探索者ランクが『D級以上であること』が条件となっている。ちなみに、一番低いF級探索者が入れるダンジョンは『Cランクダンジョン』で、インフィニティの真下にある『関東C24』もそれにあたる。
そんな関東B6ダンジョンの周囲を見ると、渋谷の本部ほど大きくはないが素材売却を行える小さいギルド施設がある。ただ、そのギルド施設の周囲には多くの食堂やレストラン、宿泊施設などが所狭しと並んでいた。琴音さんの話によると、
「関東B6は実入りの良い探索者が多いからね。周辺の土地は飲食関連や宿泊関連の施設が乱立する『激戦区』になっているんだよ。だから、ここのレストランや食堂はみんな美味しいお店ばっかだから気に入ると思うよ!」
とのこと。
「ここが関東B6のギルドか。たしか、素材回収くらいはできる簡易ギルドって言ってたが意外としっかりとした建物じゃないか」
唐沢がそう言いながら、関東B6のダンジョンを精査する。
「本部よりも簡易的な建物と言われていたから期待してなかったけど、これくらいしっかりした建物や機能ならむしろこっちのほうが気楽に探索しやすいかもな。それに周囲には食事や宿泊施設もこれでもかってほど充実してるし。いいじゃないか、関東B6!」
「ああ、そうだな」
確かに唐沢の言う通り、ギルドの施設にはあまり期待していなかったが、想像以上に使い勝手がよさそうだ。
「あ〜あ、俺も探索者になりて〜よ⋯⋯」
「⋯⋯試験ダメだったのか?」
「まーな」
「⋯⋯そうか」
唐沢は俺とつるむようになってから探索者を目指すべく、魔法・スキル・魔物やダンジョンなどの勉強はもちろん、走り込みや筋トレなど体も鍛えていた。あと同じように胡桃沢も頑張っている。
俺は二人に魔法やスキルに関してアドバイスしたが、しかし二人が資格試験で魔法やスキルを獲得することはできず受からなかった。
「でも、資格講座は毎月2回やっているし、何度でも受験していいんだから、俺も胡桃沢も何度でも受ける覚悟だ! 合格したらソラなんてすぐに追い越してやる。待ってろ!」
「そうよ! 私たちも絶対に高校生の間に探索者になってみせるわ、絶対!」
「⋯⋯ああ」
個人的に二人とも合格してくれれば、すぐにでもパーティーを結成して一緒にダンジョン探索したい。だが、こればっかりは『恩寵』を持っている俺でもどうすることもできない。二人には本当に頑張ってほしい。
「それじゃあ、俺はここのギルドの散策とか周辺情報とか調べてくるよ」
「私は資料室で勉強するわね」
「わかった。じゃあ、俺もダンジョンに向かうよ」
「B級ダンジョン探索の土産話⋯⋯期待してるぜ」
「ああ」
そうして、唐沢がギルドの出口へと向かい、胡桃沢は2階の資料室へ、俺はダンジョンの入口へと向かい、初のD級以上条件ダンジョン『関東B6』へと足を踏み入れた。
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「これが関東B6の中⋯⋯⋯⋯すごいな」
関東B6ダンジョン。
このダンジョンは1階は他と同じただの岩の地面が広がっているだけだったが、2階層に降りると『大森林』が広がっていた。しかも、ダンジョン内だというのに青い空があり太陽もあった。
「地下に空があるってどういう理屈だよ? ダンジョンって本当不思議だ⋯⋯」
そんなダンジョンの光景に圧倒されていると、ガサガサっと何かの反応があった。
「「シャアアアアアアアアアアアアアっ!!!!」」
すると、突然茂みの中から魔物が2匹襲いかかってきたので横に回避する。
「む? これは⋯⋯ポイズンパンサー」
俺は最近、この世界のダンジョンに生息する魔物についてゴリゴリ勉強した。そのおかげで、2週間ほどで今まで発見されているすべての魔物を記憶することができた。『自動最適化』のおかげである。
俺は2匹のポイズンパンサーに対峙すると、いつものように頭の中でその『必勝パターン』が瞬時に導き出され、これまたいつものようにそれをそのまま実行。
前のダンジョンボスを倒したときに得た『ミスリルロングソード』を構え、スキル『縮地』を使って一瞬で2匹の間を通り抜けた。その通り抜ける瞬間、2匹の間に入ったタイミングで剣を抜き、横に薙いだ。
すると、2匹のポイズンパンサーの腹が横一文字に引き裂かれ息絶えると、
ポン!
と、いきなりドロップアイテムが出現した。
「お、中級状態異常ポーション! ラッキー!」
ドロップアイテムは中級レベルの状態異常を治せるポーションだった。
「幸先良いスタートだな」
こうして、俺のB級ダンジョン『関東B6』の探索活動がスタートした。




