150「賢者《ワイズマン》の懸念(3)」
「え? 探索者を⋯⋯襲っている?」
「⋯⋯うむ」
話によると、ここ最近、関東A12のAランクダンジョンで竜ヶ崎真司らしき人物が探索者を襲っているという話だった。
「それは、確かなんですか?! 本当に竜ヶ崎なんですか!!」
「⋯⋯まあ、ちゃんとはっきりとした証拠はないんだけど、でも、目撃証言を聞くと竜ヶ崎真司君で間違いないみたいなんだ」
と、令呪が答える。
「な、何で、また⋯⋯」
「わからない。ただ、いずれにしても竜ヶ崎君を止めないといけないのは確かだ」
「え? これまで捕縛は⋯⋯行っていないんですか?」
「う、うん⋯⋯実は、そのことなんだけど⋯⋯」
「??」
どうも、令呪が話しづらそうにしている。⋯⋯何だ?
「実は、これまで何度も探索者らに依頼を出したんだけど、誰も彼を捕縛することができていないんだ」
「えっ?! ま、まさか⋯⋯! だって、竜ヶ崎はたしかまだC級ランカーじゃ⋯⋯? それなら捕縛は特に問題ないのでは⋯⋯?」
「ああ、そうだ。ソラ君の言う通りだ。しかし、竜ヶ崎はこれまで捕縛しにきたC級ランカーの探索者はもちろん⋯⋯探索者集団さえもすべて返り討ちにした」
「⋯⋯え? C級ランカーの探索者集団もっ!?」
「それだけじゃない。B級ランカーの探索者、探索者集団も、だ」
「なっ⋯⋯?!」
********************
「い、一体、どういうことですか?! どうして、C級の⋯⋯しかも単独探索者を、B級ランカーの探索者集団が返り討ちに会うんですか!!」
俺は令呪の話を聞いて、つい熱くなって声を荒げる。すると、
「それは俄かに信じがたい話だな⋯⋯」
「⋯⋯明凛」
「本当ね。令呪、あんた、その話⋯⋯盛ってない?」
「⋯⋯メイベル。いやいや、盛っていないよ」
明凛やメイベルでさえも令呪の話は俄かに信じられない内容のようだ。しかし、
「⋯⋯だが、これは現実に起きている話だ」
「「「「賢者⋯⋯!」」」」
賢者が口を開くと、皆が彼に注目をした。
「まず、今回の事件⋯⋯竜ヶ崎真司が犯人であるのは間違いない。これは私が独自の調査をして確認をした」
「⋯⋯賢者。いつの間に」
「悪いな、令呪よ。しかし、今回の件、少しきな臭いものであったからな」
「きな臭い?」
「うむ。実は、今回の竜ヶ崎真司の事件は⋯⋯信じられないことだが⋯⋯」
「「「「??」」」」
皆が、賢者の歯切れの悪い感じに疑問符を浮かべる。しかし、それはその後の賢者の言葉を聞いて理解することとなる。
「実の父親である竜ヶ崎真命の魔力強化薬の実験体となった結果、正気を失い、ただ暴力を振るい続ける狂戦士へと変貌したのだ!」
「「「「っ!!!!」」」」
********************
「じ、実験体?」
「じ、実の息子に?」
「⋯⋯ああ、そうだ」
賢者の言葉に皆が言葉を失っていた。そんな中、賢者が話を続ける。
「竜ヶ崎真司君の父親である竜ヶ崎真命は竜ヶ崎ファーマのCEO。そして、竜ヶ崎ファーマは探索者に向けた魔力強化薬を製造している会社だ。そして、竜ヶ崎真命はこれまで極秘裏に新しい強力な魔力強化薬を研究していた⋯⋯。そして、その研究がつい最近終え、いよいよ臨床試験⋯⋯つまり、実際の探索者に投与して安全性・有効性を確かめる段階に来ていた」
ごくり⋯⋯。
誰ともなく、賢者の言葉に息を飲む。
「そして、その臨床試験の被験体として選んだのが、あろうことか実の息子である竜ヶ崎真司君だった。⋯⋯しかも、問題はこれだけじゃなかった」
「え?」
「どういうこと?」
「こ、これ以上に⋯⋯まだ、問題があるって⋯⋯いうんですか?!」
ソラが唖然とし、明凛が賢者の言葉に驚き、メイベルが話がこれで終わりじゃなかったことにショックを受ける反応を示す。
「ああ。竜ヶ崎真司は実の息子ではなく⋯⋯⋯⋯竜ヶ崎真命の遺伝子情報から作り出したクローンだ」
「「「「⋯⋯え? クローン?」」」」
「しかも⋯⋯竜ヶ崎真命は⋯⋯その竜ヶ崎真司のクローンを今回の臨床試験に必要ということで100体⋯⋯用意したっ!!!!」
「「「「なっ?!」」」」
「生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜」
https://ncode.syosetu.com/n6900id/
『毎週土曜日14時更新』です。
よかったら、こちらもお読みいただければと思います。
mitsuzo




