148「賢者《ワイズマン》の懸念(1)」
「え? 炎呪が⋯⋯?」
「ええ」
いつものようにSランクダンジョンの探索を終え帰る時に明凛の声をかけられた。
「あ、そうそう。私にも炎呪から連絡があったわ。これから探索者ギルドに来てくれって」
とは、メイベル。
「ふ〜ん、何だろ? まさか⋯⋯何か無茶振り案件とかではっ!?」
俺が警戒するようなことを言うと、
「大丈夫よ。もし、そうだったら私が一言物申すから」
と、メイベルが不敵な笑みを浮かべながら淡々と告げる。
「何? 炎呪とメイベルって仲悪いの?」
明凛にそっと聞いてみた。
「別に⋯⋯というわけでもないけど。何だろ⋯⋯まーいろいろとあの二人は因縁があるのよ」
「因縁?」
「あの二人って、探索者デビューも一緒だったし、その後のランク昇格や実績とか含めて何かと競っていたからね」
「へ〜、そうなんだ」
と、明凛と話していると、
「ちょっと! 何、勝手に人のこと話してんのよ!!」
「別に。ただ、あんたと炎呪の因縁について軽く説明してただけよ」
「やめてよ! 炎呪との因縁だなんて⋯⋯」
「何、メイベルって炎呪とはライバル関係とかなのか?」
「そんな良いものじゃないわよ」
そう言って、メイベルが淡々と話し始めた。
「まー明凛が言った通り、探索者がデビューが一緒でね。それからは何かとあいつとはやり合っていたわ」
「へ〜」
「あいつはね〜⋯⋯炎呪はやることなすこと計算高いからむかつくのよ! あ、そう言えば⋯⋯!」
そう言って、メイベルは何かを思い出したようだ。
「あいつ、私よりS級ランカーの昇格が早かったとか言っているらしいのよ!」
「そうなのか?」
「違うわよ! 私のほうが一日早いってのっ!! あいつ⋯⋯ちょうどいいわ。今から殴り込みに行くわよ!」
「「何でそうなんだよ(のよ)!」」
と、メイベルが一人プリプリしながら、俺たちはインフィニティ日本本部へと向かった。
「やあ、久しぶりだね。ソラ君!」
「ども」
ギルドマスターの部屋に入ると、炎呪が笑顔で迎えてくれた。
「あいかわらず、うっさんくさいわねー」
「やあ、メイベル。それに明凛も⋯⋯探索者世界会議以来だね」
そんな感じで、一通り挨拶を済ませるとすぐに炎呪が話し始めた。
「実は、今日ここにあるゲストが来ているんだ」
「「「ゲスト?」」」
「おーい」
と、炎呪が部屋の外に向かって声をかけた。すると、ドアがギィーと開いて入ってきたのは、
「「「ワ、賢者っ!!!!」」」
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「久方ぶりだな、ソラ。王明凛にメイベル・ホワイトはかなり久しぶり⋯⋯といったところか」
ドアを開けて現れたのは、まさかの賢者だった。
「賢者⋯⋯お久しぶりです」
「ま、まさか賢者が来るなんて⋯⋯!」
「?」
明凛とメイベルは、少し固い感じで挨拶をした。ていうか、緊張⋯⋯してる?
「賢者は二人は面識はあまりないのか?」
「まーそうだな。基本、私は日本から出ることは少ないからな」
「へ〜そうなんだ」
などと、いつものように俺が賢者と話していると、
「ちょ、ちょっと?! ソラっ!!」
「ん?」
突然、メイベルが話に入ってきた。ていうか、何か怒っている様子だ。
「あ、あんた、賢者相手に少し馴れ馴れしいんじゃなくてっ!?」
「え?」
メイベルからまさかそんな指摘を受けるとは⋯⋯。
「い、いや、馴れ馴れしいって言われても、これくらい普通⋯⋯」
「普通じゃないですよ、ソラ」
「ええっ?!」
ここで、まさかの明凛にも注意された。
な、何だ? どゆこと?
「あははは⋯⋯。そっか、ソラは知らないからね」
すると、俺たちのやり取りを見て炎呪がカラカラと笑う。
「知らない? 何がだ?」
さすがの俺も炎呪の態度に少しムッとする。
「ごめん、ごめん。えっとね⋯⋯」
そう言って、炎呪が事の次第を説明した。
「賢者は普段からあまり人前に姿を現さない⋯⋯いわゆる『SSR』なんだ」
「おい、炎呪。人をガチャのレアカードのような言い方をするな」
ここで賢者が炎呪にツッコんだ。賢者のそんな姿もまた滅多にない珍しい光景だ。ていうか、この二人、意外と仲が良いのかもな。
「まあまあ。で、だから賢者に会えることって実は特別で滅多にないんだよ」
「え? そうなの?」
「うん。国内の探索者だってそうなんだから、海外の探索者なんて余計に会う機会なんてほとんどないからね。そして、それはこのS級ランカー二人も例外じゃない」
「えっ?!」
俺は炎呪の説明を聞いて思わず二人に顔を向けた。
「炎呪の言う通りよ」
「ま、そう言うことよ」
明凛とメイベルが即答する。
「だから、ソラ君がさも当たり前のように賢者と接しているのは、二人からしたらとんでもないことって感じで映っているんだよ」
「⋯⋯⋯⋯」
マジでかー。
「生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜」
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mitsuzo




