137「スカウト③」
そして、『クエスト掲示板』に『カメラマン募集』というクエスト発注書を貼ってもらうと、すぐに次の日にギルドから連絡があった。
『もしもし、ソラ君?』
「はい、どうしたんですか。琴音さん?」
『ど、ど⋯⋯』
「ど?」
『どうしたもこうしたもないわよ! あのカメラマン募集に希望者が殺到しているわ!!』
「ええっ!! ま、まだ1日しか経ってませんよ?!」
『そ、そんなこと言っても現状殺到しているんだから、どうにかしないと! とりあえず、明凛さんとメイベルさんにも連絡してギルドに来てもらうように言ったからソラ君もすぐにギルドに来て! すぐよっ!!』
「わ、わかりました⋯⋯!」
うわぁ、何かすごいことになってそうだな。
ていうか、クエスト掲示板に張り出して1日しか経ってないんですが?
「これが、『明凛&メイベル』ブランドということか⋯⋯」
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——インフィニティ探索者ギルド日本本部
「遅いわよ、ソラ君!」
「遅いぞ、新屋敷ソラ!」
「す、すみません⋯⋯」
ギルドに入って早々二人に怒られた。いや、遅いって、まだ10分前なんですがっ?!
「で、琴音。どのくらい来ているの?」
明凛が琴音さんに希望者の人数の確認をする。
「そうですね。ざっと100人前後といったところです」
「ひゃ、100人⋯⋯っ!?」
琴音さんの言葉に俺が驚いていると、
「100人⋯⋯少ないわね」
「まぁ⋯⋯普通ね」
明凛とメイベルが横で「さも当然」というように特に驚いている様子はなかった。
(マジか⋯⋯。こいつら本当に有名人なんだな)
俺は今更ながら改めて二人の知名度に恐れ入った。
「これ、どうすんだ?」
俺は明凛とメイベルに応募者の人選について聞いた。
「うーん、どうしましょうか?」
明凛がそう言って頭を悩ませていると、
「え? そんなのインスピレーションでいいじゃない?」
とメイベル。
「え?」
「インスピレーション?」
「うん。5人1組で面接してそこで話しながらピーンと来たものを選抜すればいいんじゃない?」
「そ、そんな、簡単で⋯⋯⋯⋯いいの?」
「うーん、そうねぇ⋯⋯」
メイベルの案を聞いて、俺は不安になり明凛に聞く。明凛も最初俺と同じ意見の雰囲気があったが、
「そうね。それでいいんじゃない?」
「明凛!? いいのか?」
「ええ。だって、特に良い案もないしね。それに、もしそれで選んだ奴がダメならまた募集すれば良いわ」
まーたしかに明凛の言う通り、この二人のネームバリューならまた改めて募集をかけても殺到するだろうしな。
「じゃあ、そうしますか」
ということで、応募者を適当に5人1組で分けて面接を始めた。
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「こ、こんにちは! お、俺、メイベル・ホワイト様のファンで! ああ⋯⋯! 本物のメイベル様が、目の前に⋯⋯!」
「明凛様ぁぁ! お慕い申しておりますぅぅ!」
「メイベル様ぁぁ!! 好きぃぃぃ!!」
「お願いします。私を雇ってください。お二人の命令ならどんな命令でも引き受けます。誰かの命を取ってこいと言えば、迅速にその者の命を⋯⋯!」
面接はさながらファン交流会のような形になっていた。たまに、ファンじゃないのもいるが⋯⋯。ていうか、最後のやつ、怖ぇよ!
もちろん、こんな「ファンです!」というような探索者はお断りである。もちろん、探索者としての実力とカメラマンの実力があれば別だが、二人のファンと言う者たちにそのような者は一人もいなかった。
「結局、100人もいて欲しい人材は一人もいなかったな⋯⋯」
そう言って、俺が机に項垂れながら呟くと、
「そうね。悲しいけど⋯⋯」
と明凛が「わかっていたことよ⋯⋯」と言いながらもショックだったご様子。そして、
「何よー! 使えないわねー! 私のファンならこの程度の条件満たす奴いくらでもいると思っていたのにぃぃ!!」
メイベルもまた自分のファンなら「この程度の条件、造作もない」くらいには息巻いていたが、結局誰一人として条件を満たす者はいなかったことに憤りを隠しきれずにいた。ていうか、普通にキレてた。
「ま、まー、まだ初日だし⋯⋯。明日もまた募集に集まるだろうから明日に期待しよう⋯⋯」
と、なぜか俺が落ち込む二人をフォローするようなポジションを担っていた。
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——1週間後
探索者ギルドの『クエスト掲示板』に『カメラマン募集』を掲げてから1週間が経過。
「はー⋯⋯いよいよ、一人も来なくなったわね」
「そう⋯⋯ね」
と力無い言葉を吐くのはメイベルと明凛。
そう。あれから1週間——結局、誰も採用されるようなことなく月日が流れていた。そして、この状況にメイベルも明凛も意気消沈といったご様子。
「どうすんだよ、これから?」
「うーん、そうねぇ⋯⋯。一応、炎呪に募集条件を満たす探索者を紹介してもらうってこともできないこともないけど⋯⋯」
「え? それありなの? じゃあ、そっちのほうが手っ取り早いじゃ⋯⋯」
「それだけは嫌よ!」
「! メイベルっ!?」
すると、メイベルが明凛の言葉を強く否定する。
「明凛⋯⋯。あの炎呪にそんな『借り』を作ってどうすんのよ! 一度、そんな関係になったら二度と炎呪に頭上がらなくなるわよ。それでもいいのっ!?」
「⋯⋯くっ! わかってるよ! ただソラ君が聞いたから選択肢の一つとして答えただけだ」
「そんな選択肢はないわよ、ソラ! 今のは無しよ!」
「あ、ああ。わかったよ」
炎呪って、すごい嫌われてんな〜。
「こうなったら⋯⋯とりあえず、自分から声をかけに行くしかないな」
「ええっ!? 嫌よぉ!」
「いや嫌って⋯⋯! じゃあメイベル、それ以外にどんな方法があるんだよ!!」
「知らないわよ! でも、私から声をかけるなんて⋯⋯そんな恥ずかしいマネできるわけないでしょ!!」
「はぁ〜。これだから本物の貴族って奴は⋯⋯」
「う、うっさいわねぇ!」
そんな、メイベルと他愛もないことで口論していると、
「あ、あの、すみません⋯⋯。君、ソラ君だよね?」
「え?」
「生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜」
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mitsuzo




