125「周囲の評価・勘違いの評価」
そんなわけで、一通り挨拶をしたあと俺たちは部屋を出て関東A12に移動することとなった。
ちなみに、関東A12は港区の芝公園内にある。関東B6は代々木公園で、関東A12が芝公園とか、ダンジョンって公園内に多いのか!?⋯⋯たまたまか?
そんなことを考えながら、部屋を出て受付のあるエントランスのほうへ行くと、
「キャーーーーーーーーー蓮二様ぁぁっ!!!!」
「うおっ!? 本当だ! 本物の蓮二さんだっ!!」
「うぉぉ〜〜!!『乾坤一擲』も全員いるぅぅ〜〜!!!!」
そこにいた多くの探索者が、蓮二と『乾坤一擲』を見ると黄色い声援が混じった歓声が上がる。そして、その反応に手を挙げるなど慣れた感じで対応している『乾坤一擲』のみなさん。
「す、すごい⋯⋯さすが、蓮二さん、『乾坤一擲』って感じだな⋯⋯」
「そ、そりゃ、こうなるわよね。こんな朝早くからギルドにいるなんて誰も思わないもの⋯⋯」
「⋯⋯余裕さえ感じるほど自然な対応だな」
と、俺たちが横で感心していると、
「え? ちょっと待て?! あ、あれって⋯⋯⋯⋯新屋敷ソラじゃねーか?」
「何っ?! ああっ! 本物だ! 本物の新屋敷ソラだ!」
「ちょっ⋯⋯! 唐沢利樹と胡桃沢星蘭もいるぞっ?!」
「うおっ!?『新進気鋭』だ! 俺、生で初めて見たよ!」
「キャ〜〜〜!! 星蘭ちゃんキレイっ!!!!」
「唐沢って人⋯⋯何だか可愛い!」
まさかの俺たちにも声援が飛んできた。
「うぉっ?! え? え? 俺たちにも⋯⋯声援⋯⋯?」
「び、びっくりしたー! 蓮二さんたちがいるから気づかれないと思っていたのに⋯⋯」
「で、でも! 嬉しいな!」
「そうね! たまにだけど、声かけられることも増えたし、こうやって気づいてもらえたってことは、私たちも少しは有名になってきているのかもね!」
二人が声援を見てそんなことを話していた。たしかに⋯⋯たしかにその通りなのだが、
「キャー! 唐沢くん〜!!」
「星蘭様〜!!」
と、二人へは個人の声援があるのに、俺だけ⋯⋯俺だけは⋯⋯そういうのがなかった。
「⋯⋯な、なんで、俺だけ名前⋯⋯呼ばれないの?(涙目)」
「あ、ソラ君! ソラ君の名前呼んでるよ!」
「えっ!!」
俺は胡桃沢が指差すほうへ期待に胸を膨らませながら視線を向けた。
「うぉっ!? あ、あれが、新屋敷ソラ⋯⋯! な、なんか、すげえオーラを感じるな⋯⋯」
「え、ええ。とてもじゃないけど⋯⋯声なんて、掛けづらいわ」
「へへ⋯⋯。本物の強者って奴だな。俺は好きだぜ? そんな強者オーラを隠さない⋯⋯客に媚びない新屋敷ソラをよ!」
どうやら、何か大きな勘違いが起きているようでした。
いや、全然そんな『強者オーラ』とか出してないよ?
客に媚びないとか⋯⋯どゆこと?
「な、何か、盛大な勘違いをされている⋯⋯。こちらとしてはむしろチヤホヤ大歓迎なのだが⋯⋯」
「「ダヨネー」」
「かといって、そんなこと自分から言うなんて『かっこ悪いこと』できるわけもなし⋯⋯⋯⋯どうしろとっ!!」
「「デスヨネー」」
二人からすんごい同情視線を送られた。
「ほう? やるじゃないか、ソラ君。若い子はだいたいチヤホヤされたいはずなのに、むしろオーラを出して近づかせないようにするとはs⋯⋯⋯⋯感心したよ!」
「へ〜? いいね〜、新屋敷ソラ⋯⋯いや、ソラ! 気に入ったよ!」
「意外!⋯⋯てっきり、チヤホヤされたがりと思ってた⋯⋯意外」
「なんだ? 見た目以上に『漢』だな、ソラ! いいぜ〜、そういうの!」
あと、ついでに『乾坤一擲』全員からは盛大な勘違い評価をされてしまった。
もはや、これは弁明しても無駄どころか、下手したら、さらに勘違いが加速する展開が予想されると判断した俺は弁明を断念した。
もう好きにして。
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そんなこんなで、関東A12に到着。
ダンジョンは芝公園の少し奥のほう⋯⋯目立たない場所にあった。とはいえ、別に隠しているわけではない。たまたまここに出現したとのことらしい。結果、芝公園を訪れる一般の人の邪魔にはなっていない。
ちなみに、関東A12のギルド支部は関東B6よりも大きく設備もかなり豪華だ。あと、関東B6と似て、周辺には多くの飲食店や魔道具・アイテム販売の店など商業施設が並んでいる。
俺たちはそのまま関東A12に入ると、すぐにダンジョンへ降りた。ちなみに、ダンジョンへ行く前にエントランスには数組の探索者集団や探索者がいたが、ギルド本部とは違って声援を送るような人はいなかった。
さすがにA級ランクダンジョンに通う探索者となれば、A級ランカーかそれ以上のS級ランカーといった有名人や実力者しかいないからさっきみたいに歓声が上がるなんてことはないのだろう。
とはいえ、『品定め』をするような視線はビンビンに感じるんですけどね⋯⋯。
「そういえば、私たちも最近関東A12に通うようになったんですけど、関東A12の建物って外も中もかなり豪華な作りですよね?」
「ああ。そりゃ、A級ランカーが通うAランクダンジョンだからね。⋯⋯ギルドも色々と優遇してくれてるのさ」
「や、やっぱり⋯⋯A級ランカーって特別なんですね⋯⋯」
と、胡桃沢と唐沢が蓮二さんと色々話をしているのを、俺は横で耳を傾けていた。
「まーそうだね。ていうか、唐沢君⋯⋯何だか他人事のように言ってるけど、君たちもそのA級ランカーなんだからね?」
「あ! そ、そうでした?! そうか⋯⋯俺たち、A級ランカーになったんだ⋯⋯」
「か、関東A12に通い始めてはいたけど、改めてそう言われると、まだ慣れないです⋯⋯」
「はっはっはっ! 二人のその初々しい反応を見て少し安心したよ! そっかー。まー1ヶ月もすれば慣れるさ」
「「は、はい!」」
二人が蓮二さんと盛り上がって話をしているのを横で聞いている俺に、
「ねえ、ソラ。ちょっちいい?」
「ちょっち? あ、ああ⋯⋯⋯⋯はい。何でしょう?」
おもむろに『姐さん』こと、千鶴さんに声をかけられた。
「生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜」
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mitsuzo




