119「ファンタジー要素のある世界の真実②」
「⋯⋯俺は、色々なダンジョンを探索したい」
「「は⋯⋯?」」
意外だったのか、唐沢と胡桃沢は俺の答えに唖然とした。
「あ、悪い、悪い。えーと⋯⋯つまり、この『ファンタジー要素のある地球』をもっといろいろ体験したいんだ。で、それであればこのまま探索者活動だけでよかったんだけど、でも、そうはいかなくなった。だから俺は先にこの『問題』を解決したいと思っている」
「! そ、それって⋯⋯」
「つまり、賢者に⋯⋯『天罰』に⋯⋯深く関わるってこと?」
「⋯⋯ああ。かなり不本意ではあるがな!」
「!」
そう言って、ソラが賢者を睨む。
「結局、この問題が解決しなけりゃ、このまま賢者からこれ以上の話を聞かずにダンジョン活動続けても、こっちが望む・望まないに関わらず、いずれ向こうから俺たちに接触してくるのは間違いないと思う。だって、すでに目立っちゃったし⋯⋯」
「あー⋯⋯まあ、それは、アレだな」
「ええ。アレね⋯⋯」
「「自業自得」」
「うっ! 仰るとおりです」
唐沢と胡桃沢がソラの言葉に「それ、特大ブーメランです」とツッコむ。
「ま、まあ、だから、その⋯⋯つまり、目立ってしまった以上、巻き込まれる側になるくらいなら、先にこの問題の解決に向けて首を突っ込んだほうがいいのかなと⋯⋯」
「はぁ⋯⋯なるほど。つまり、ソラが『チヤホヤされたい』というこれまでの行動の結果、避けては通れないって話か⋯⋯」
「そして、私たちはその大ブーメランに巻き込まれるってことね⋯⋯」
「あ、いや、ま、その⋯⋯⋯⋯はい」
「しゃーねぇなぁ〜⋯⋯わかったよ。つきあってやるよ、ソラ!」
「え?」
「そうね。この際最後まで付き合うわよ、ソラ君」
「二人とも⋯⋯。で、でも、それだと、お前たちを巻き込み⋯⋯」
「「い・ま・さ・ら」」
「うっ!」
「いいんだ、ソラ。俺たちは賢者にでも、『天罰』でもなく、お前を助けたいって言ったろ?」
「唐沢⋯⋯」
「そうよ。だから、私たちは自らの意思で首を突っ込むわ」
「胡桃沢⋯⋯」
「だから、さっさと『問題』を片付けて⋯⋯」
「ダンジョン探索を楽しみましょ!」
「! ありがとう、二人とも⋯⋯」
二人に叱咤を含めた心意気を聞いて、ソラは巻き込んでしまったと思うものの、その二人の心意気を素直に受け取り心からの感謝の言葉を告げた。
「⋯⋯では、3人ともいいんだな?」
「「「はい(ああ)」」」
「わかった。では、話を続けよう」
こうして、3人が賢者に『覚悟』を示すと、賢者が『世界の真実』についてゆっくりと語り始めた。
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「こっから話が少し長くなる。一旦休憩を入れるぞ」
おもむろに、賢者がそう言った。
何となくだが、賢者が俺たちの顔色を見てそう言ったように見えた。
確かに、さっきの賢者とのやり取りはだいぶ神経をすり減らしていたので、だいぶ精神的疲労があったのは確かだ。⋯⋯⋯⋯気遣ってくれたのか?
とはいえ、賢者からのその気遣いは俺たちにとってはありがたかったので了承。すると胡桃沢が「あ、ちょっとお茶とか持ってくるよう頼むわね⋯⋯」と言って、部屋にある内線電話を使って、地上の胡桃沢本邸のメイドさんに指示を出した。
それから、すぐにこの地下施設に出入りできるメイドさんたちがお茶とお菓子を持ってきて、しばしの休憩を取った⋯⋯が、休憩はしたものの皆、終始無言だった。
まー実際、今日の話の『本編』はこっからなので、休憩とはいえ、全員(賢者を除く)、緊張は途切れないままであった。
そうして、ちょっとした休憩を挟んだ後、改めて賢者が話を始めた。
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「話は、この世界で初めてダンジョンが訪れた1999年から始まる——当時、ダンジョンが出現した後、各国の専門機関が調査に入り、結果、ダンジョンは人類にとってとてつもない利益をもたらすことがわかった。そして、それを世間に公表するかどうかの話になったとき、世界の支配者層の中で意見が別れた」
「それは、ネットで出てきたよ。その勢力争いが起きた結果、現在の世界の支配者層が勢力争いに勝って負けた連中はすべて淘汰されたんだろ?」
「まーそうだな。結果だけを言えばそれは合っているが、その勝者である現在の世界の支配者層に肩入れをした人物がいる。それは⋯⋯⋯⋯『ロキ』」
「え? ロキ? それって⋯⋯」
「ああ。私やソラといったこの世界に転移させたとされる『神を名乗る人物』だ」
「まさかっ!? で、でも、それを言ったら自称神様のあのロキは賢者たちをこの世界に転移する前からこの世界にいたってことに⋯⋯」
「ああ、そうだ。なんせ、ロキはこの世界のダンジョン出現を起こした張本人だからな」
「何っ?!」
「あ、ちなみにロキっていうのは、私やソラをこの世界に転移させた人物で自分のことを『神』と名乗る正体不明の人物だ」
賢者が気を利かして唐沢と胡桃沢にロキの説明を入れる。
「え⋯⋯?」
「か、神⋯⋯?」
「まー自称だがな。でも、じゃあ、ロキがこの世界にダンジョンを出現させた理由は何なんだ?」
「ロキが言うには『使命』だと言っていた。目的は教えてくれなかったがな。ただ、ある目的があって、この世界にダンジョンを出現させ、別の地球にいた私たちを送り込んだのは確かだろう」
「ロキとは話せるのか?」
「いや、連絡手段はない。あくまで、ロキのほうからしか接触はない。一応、組織で追ってはいるが手がかりはない」
「⋯⋯そうか」
「ただ、その現在の世界の支配者層⋯⋯⋯⋯『世界統一主義者』と呼んでいるが、そいつらに肩入れをしているところを見ると、この地球を使って何かをしようとしているのは確かだろう」
ロキの目的⋯⋯か。正直考えれば考えるほど、ロキが何がしたいのかなんてまるで見当もつかない。
「とりあえず、ロキや『世界統一主義者』たちの関係や目的はいまだ詳細は不明だ。それよりも問題なのは『朧』と『転移者』だ」
「『朧』⋯⋯か」
「どうした、ソラ君?」




