105「強襲」
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」
ドドドドドドドドドドドド、バキィッ!
「くっ?!」
ドドドドドドドドドドドド、ドゴォォッ!
「ぐはっ?!」
ドドドドドドドドドドドド、ガキィッ!
「うごっ?!」
⋯⋯⋯⋯!
⋯⋯⋯⋯!
最初、ゲオルグの一方的な殴り合いだったが、『恩寵:自動最適化』でゲオルグの『身体強化/特級』を複製したソラは、今では『技のキレ』の部分にも『自動最適化』が働いているため、『最適解な打撃』を展開するソラがゲオルグを徐々に押し始めていた。
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜っ!!!!!」
バキィィィィィィィィィィっ!!!!
「ぐはぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜っ!!!!!」
そして、ついにはさっきゲオルグにソラが飛ばされたように、今度はソラが蹴りでゲオルグを10メートルほど吹き飛ばした。
「どうだい、おっさん?」
と、ソラが地面に転がるゲオルグに話しかける。すると、ゲオルグがすぐにバッと立ち上がり、
「素晴らしいっ!! 新屋敷ソラ、君は本当にファンタスティックだっ!!!!」
「⋯⋯え?」
ソラは、自分の生意気な言葉にゲオルグがキレると思っていたがそんなことはなく、むしろ、ゲオルグはソラを手放しで絶賛した。
「君とはこんな中途半端な場ではなく、ちゃんとした純粋な舞台で対戦しなおしたい! どうだろうか? 毎年夏に開かれる『探索者同士』で争う真の実力決定戦⋯⋯⋯⋯『探索者ワールドカップ』で決着をつけないか!」
「⋯⋯『探索者ワールドカップ』?」
「ああ。ちなみにこの『腕試し大会』ってのは、その『探索者ワールドカップ』の縮小版みたいなもんだ。本来の試合だったら時間制限はないから思いっきりやれるぞ? どうだ、楽しそうだろ?」
「どこがだよ」
「まーまーまー。とりあえず、今年の7月は予定空けとけよ〜。じゃーな〜」
「お、おいっ!? どこ行くん⋯⋯」
「それまでっ!! タイムアップにより両者引き分け⋯⋯試合終了っ!!」
「え?」
どうやら、5分経っていたようで試合終了とのことだった。
「ま、そういうことだ(ニカッ)!」
最後はゲオルグが余裕の笑みを見せ、勝ち誇った顔をする。
さっき、俺が『身体強化/特級』を複製したときは驚いたりしていたが、それでもまだまだ余裕があるようだ。
「ちなみに、7月の『探索者ワールドカップ』は『魔法』も使える。そこで、もう一度対戦しようじゃないか、新屋敷ソラ!」
「わかりました。俺だって、このままじゃ納得いかないんで⋯⋯⋯⋯望むところです」
「ワッハッハ! いいぞぉ! 若者はこうでなくちゃ⋯⋯」
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンンンンンっ!!!!
「「「「「っ!!!!!!!!」」」」」
突然——大きな爆発音が会場内に響き渡った。
「な、何だ! 今の音はっ!?」
「侵入者⋯⋯か?」
「ま、まさかぁ〜! ここのセキュリティーはかなり厳重だぞ? そう簡単に侵入なんて無理だろ〜?!」
「まったくだ! それに仮に侵入したとしても、ここにいるのは最低でもC級ランカー以上の探索者だぞ? 返り討ちに遭うだけだろっ?!」
「違いねぇ!」
最初、大きな爆発音で驚きはしたものの会場にいる観客や関係者は皆探索者であり、しかもC級ランカー以上の実力者ばかりである。そういうこともあって、こんな会場に侵入するような物好きはいないだろうし、いたとしても返り討ちに遭うだけだ⋯⋯と楽観視している者ばかりだった。
しかし、その油断こそが大きな命取りとなる。
「「「「「グルァァァァァァァァァ〜〜〜っ!!!!!」」」」」
突然、獣のような唸り声が会場の至る所で響いた。
「え⋯⋯? い、今の⋯⋯声⋯⋯のようなものは何だ?」
「ま、まるで、ダンジョンの魔物のような⋯⋯」
「ふ、ふざけんじゃねー! ダンジョンの魔物がこんなところにいるわけねーだろっ!!」
「そ、そそ、そうだぜ! さ、さすがに、それはあり得⋯⋯な⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?」
「ダンジョンの魔物がこんなところにいるなどあり得ない」と言おうとした男が言葉を止めた。なぜなら、
「グルァァァァァァァァァァ〜〜〜っ!!!!!」
体長5メートルほどの『恐竜のような魔物』として恐れられているBランクの魔物『アリゲートザウルス』が目の前にいたからだ。⋯⋯⋯⋯しかし、事はそれだけではなかった。
「え?⋯⋯⋯⋯人?」
よく見ると、アリゲートザウルスの前に『黒装束を着た何者か』が立っているのが見えた。
「よークソ探索者ども。俺らは『朧』ってもんだが。とりあえず、俺らはお前たちクソ探索者たちをこの世から抹殺するためにやってきた。というわけで⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯覚悟しろやぁぁ〜〜〜っ!!!!」
その『全身黒装束の男』が声高らかにそう宣言すると、一斉に周囲の探索者たちを襲い始めた。




