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001「イフライン・レコード」

初回1〜3話までは本日中に投稿します。

以降は、毎日12時〜13時更新を予定しています。

よろしくお願いします。



 いつものように朝起きてからの『ルーティン』を処理していく俺。


 両親や妹も同じように各自『ルーティン』をこなす。


 そんな、いつも見慣れた変わらない日常。


 しかし、テーブルに朝食が並び、それを食べ始めた頃⋯⋯⋯⋯『異変』は起きた。


『昨夜——『関東A12』のダンジョンが遂に攻略されました。攻略したのは国内トップクランの一つ『S級探索者集団(シーカー・クラン)・乾坤一擲』。探索者(シーカー)ギルド『インフィニティ日本本部』によると、『関東A12』のダンジョン主は⋯⋯』


 は? ダンジョン? ギルド?


 何気に耳に入ってきた言葉に「新作ゲームとか新作アニメのニュース?」と思い、テレビのほうに体を向けた。しかし、それはただの普通のニュース(・・・・・・・・・・)としての報道だった。その証拠に俺以外のみんなは、


「さすが、国内トップクランの一角だな」

「うん! すごいね! あ、ほら、お母さん! お母さんのお気に入りの『乾坤一擲(けんこんいってき)』のリーダー、蓮二様のインタビュー!」

「あら、ほんと! やっぱりかっこいいわね〜、蓮二様」

「キャー! 蓮二様ー!」

「いや〜男の父さんから見ても『乾坤一擲』のリーダーってかっこいいと思うよ」


 そんな会話が目の前で繰り広げられていた。


 家族の口から出た言葉にまったく理解できなかった俺はプチ混乱して一人黙っていた⋯⋯⋯⋯が、元々家でも学校でもほとんどしゃべらない性格だったので、ショックで言葉を失っていたが、家族には特に変に思われることはなかった。



********************



「ねーねー、今日のニュース観たー?」

「観た、観た! 蓮二様かっこいいよね〜!」


 ホームルーム前、教室でも今朝のニュースの話で盛り上がっていた。正直すごく興味のある話ではあったが、俺は学校でも授業以外は机で寝ていて人と関わらないようにしていたので、その輪の中には入れなかった。⋯⋯がしっかりと聞き耳は立てていた。


「僕も昨日その時間ギルドにいたけど、昨日はお祭り騒ぎだったよ!」

「そんな場所にいたなんてすげーよなー、竜ヶ崎! さすが『高校生探索者(シーカー)』」

「俺の友達が『探索者(シーカー)』なんて尊敬するよ!」

「そんなことないよ」

「きゃー! 竜ヶ崎くーん! ギルドの話聞かせてー!」


 どうやら、今朝のニュースと同じように『ダンジョン』やら『ギルド』といったワードが聞こえる。


 俺の中での常識では『ダンジョン』『ギルド』なんて言葉は『ファンタジー用語』だ。なのに、それが当たり前(・・・・)として存在している。


(どゆこと? 昨日までは『いつもと変わらない日常』だったのに、朝起きたらなんでそんな『ファンタジー要素』が加わってんだ?)


 と、一人机に突っ伏しながらプチ混乱していると『ある一つの可能性』が頭をよぎった。



(⋯⋯イフライン・レコード)



 それは、昨夜パソコンでゲームをしているときに突然画面いっぱいに出てきた『ポップアップ広告』だった。


——————————————————

——————————————————


<< イフライン・レコード 〜 現代ファンタジー 〜 >>


 参加(転移)しますか?


 Yes/No


——————————————————

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 そんな、うさんくさいポップアップ広告など普段ならすぐに閉じるはずなのに、その時はなぜか『×』ボタンを押すのではなく『参加(転移)する』ボタンを押してしまったのだ。そしたら、目の前が真っ暗になり、気づいた朝にはこの世界に転移していた。


(思い出した! あの時だ!)


 俺がこの世界に転移するきっかけを思い出した——その瞬間(とき)だった。



『やあやあ、選ばれし転移者くん!』



 突然、俺の脳内に『子供の声』が響いた。


 正直超ビックリしたが、それで変にリアクションすると周りに変な目で見られると瞬時に判断した俺は、何とか冷静さを取り戻し、その子供の声に耳を傾けた。


『僕は君たちの常識でいうところの『神様』だ。名前は『ロキ』。君は今いくつもある『並行世界線(イフライン)』の中の昨日とは異なる『別世界線の地球』に選ばれて(・・・・)転移されたんだよ』

並行世界線(イフライン)? 別世界線の地球? 選ばれて?⋯⋯⋯⋯ていうか、神様だと? 一体、どういう⋯⋯)

『今回の転移で選ばれたのは全員で五人。そして君はその中の一人で、それから⋯⋯⋯⋯』

(っ!?)


 俺は質問のつもりで頭の中で『自称神様のロキ』に言葉をかけたが、どうやらこれは『会話』ではなく『一方通行な説明』のようで、そいつは俺の問いに答えることなく話を続けた。


『この世界の地球は、『ダンジョン』『魔法』『魔物』といったファンタジー要素が加わった世界で、これは君を含めた選ばれた五人が望んだ(・・・・・・)理想的な世界だ!』


 子供の頃から、ずっと『異世界』とか『魔法』とかに憧れていた俺は、人見知りの性格もあって友達と遊ぶよりもアニメやラノベ、ゲームに没頭した。そして、いつしかそんな『ファンタジー世界』に憧れるオタクとなった。


 そんな『人見知り100%厨二病モブ』こと俺は、『異世界に転生するチート主人公』に憧れ続けていたこともあり、自称神様ロキの『ファンタジー要素の加わった世界』という話を聞いて、実は少し興奮していた。


『⋯⋯この『君たち五人が強く望んだ世界』で君は何を成したいかな? あ! あと、君の夢の実現のためにボクから『恩寵(ギフト)』を贈っておいたよ。使い方は自分で学ぶ様に。それじゃ〜ね〜!」


 ブツリ。


 そうして、説明は一方的に突然終了となった。


 ふ〜ん、なるほど⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯わからん!


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