97回目 とりつき、くいつき、絶対に離れない
侵略者艦隊の旗艦。
全長30キロに及ぶ巨体。
大型艦船でなければこれを撃沈するのは難しい。
だから、比較的脆弱な内部から撃破する。
葦原軍が考え出した作戦はこれだった。
作戦とも言えないような行動である。
無謀や無茶というほうがふさわしいだろう。
だが、葦原が敵に勝つにはこれしかない。
各国の軍が侵略者を撃破してくれたなら、ここまでする必要は無い。
だが、それが望めないならば。
葦原が脅威にさらされるなら。
単独で敵を撃破しなければならないなら。
これ以外に方法がなかった。
突入するといっても簡単ではない。
全長13メートルの人型ロボットが動ける空間があるわけではない。
艦載機を搭載する空間はあっても、艦内を移動する通路があるわけではない。
そこから先は、内部を破壊しながら進んでいく事になる。
その為の兵器を小型空母の中で装着していく。
対艦用の大型ビーム砲などを手にして、敵旗艦内に入っていく。
中に入れば、あとは抵抗もそれほどない。
兵士が機関銃やロケットランチャーなどを取り出してくる程度だ。
それらもロボットによる攻撃で一掃できる。
大型ビーム砲は広範囲に影響を及ぼす。
直撃はしなくても、放たれる熱波が周囲を巻き込んでいく。
人間くらいの大きさのものなら、それこそ瞬時に蒸発させていく。
そんなビームによる攻撃を何度も放っていく。
旗艦の中央部に向けて。
そこにあるだろう、機関・推進器を目指して。
装甲に比べればもろい内部構造は、簡単にビームによって蒸発していく。
蒸発して開いた空間に人型ロボットは更に入り込んでいく。
ビームで融かして道を作り、その道を進んでいく。
さすがに一撃で機関部まで融かす事は出来ないので、何度もこれを繰り返していく。
「ビーム砲の交換燃料、入れたぞ」
出力の大きいビーム砲のこと、消費も激しい。
数発撃つと燃料切れになる。
その燃料が後ろから次々に送り込まれる。
一緒に奥まで進んでる仲間が、それを交換していく。
砲身もすぐに加熱するので、交代が必要になる。
砲身が熱をもってきたら、すぐに他の者と交代する。
そして、砲身が冷えるのを待つ。
攻撃という割には地道で地味な作業だ。
だが、敵旗艦を確実に破壊していっている。
内部に突入したカケル達は、機関部に近づいていく。
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