96回目 側面の敵、迎撃に上がる者
侵略者艦隊旗艦に向けて、葦原艦隊が攻撃を仕掛ける。
艦載砲から砲弾が、ビームが。
ここまで温存してきた魚雷が。
もてる様々な攻撃手段が用いられていく。
「行くぞ」
小型空母で補給を受けていたカケルも発進する。
葦原艦隊に接近する敵機、それを撃墜するために。
その周囲に仲間を従えて。
「行くぞ。
あのハエを叩き落としてやれ」
周りを飛ぶ人型ロボット兵器にそう告げる。
それを聞いた彼らは、
「了解」
「もちろん」
「分かってますって」
快く応じてくれた。
その言葉通り、護衛の者達は迫る敵を撃退していく。
残っていた侵略者側の護衛戦闘機。
それらを撃墜し、艦隊の安全の確保していく。
カケルもそんな仲間に負けじと敵機を撃墜していく。
次々と襲ってくる敵戦闘機。
それらの攻撃をかわし、攻撃を当てていく。
思い通りに動いてくれる人型ロボット兵器は、カケルの手足となって動いてくれた。
そんな迎撃戦を続けて、葦原艦隊の安全を確保する。
敵旗艦に有効打を与えるには、艦船による攻撃が必要になる。
戦闘機やロボットよりもはるかに強力な火力。
それなくして、敵旗艦の撃破はありえない。
戦闘機やロボットのような機動兵器も、強力な兵器は装備できる。
だが、搭載能力の限界から、その火力は限定的なものになる。
単純な攻撃力なら、やはり艦船の砲が上なのだ。
だから艦隊を無事に敵旗艦の近くまで案内する必要がある。
葦原艦隊の射程にとらえ、旗艦を攻撃しなくてはならない。
そうでなければ、旗艦の撃破など考えられない。
とはいえ、確実に撃破出来るわけではない。
敵旗艦は強力な軍艦でもある。
小型艦艇だらけの葦原艦隊で撃沈できるかどうかはあやしい。
それでもやるしかなかった。
そんな事に関係なく、カケル達は艦隊を守っていく。
もし撃沈されたら帰る場所がなくなる。
機動兵器である人型ロボットでは航続力が足りない。
たとえ敵艦隊を撃破しても、味方艦隊がいなければ葦原に帰れない。
結果がどうなろうとも、味方艦隊は守らねばならなかった。
その為に飛び回る。
接近する敵を次々に撃破していく。
敵艦はかなり減ったが、戦闘機などの機動兵器はまだ大量に襲ってくる。
それらを撃墜するために、葦原艦隊の周囲を飛び回る。
「さっさと墜ちろ!」
叫びながら敵戦闘機を撃墜していく。
かなり叩き落としたが、それでもまだ襲ってくる。
それだけ必死なのだろう。
旗艦を守るために。
カケル達からすれば鬱陶しいことこの上ない。
「さっさと死ね」
言いながら引き金を引く。
照準にとらえた敵戦闘機がビームを浴びて破壊される。
そんな事を繰り返しながら戦闘を続けていく。
葦原艦隊は旗艦への砲撃を続け、確実に損傷を与えていく。
しかし、ひときわ大きな巨体を持つ旗艦だ。
小型艦艇の攻撃では撃沈には至らない。
葦原艦隊も、要所や急所を狙って攻撃をしているのだが。
残念ながら、砲撃だけで破壊するの難しい。
「やっぱり、無理か」
当初から予想されていた事ではある。
小型艦艇の攻撃では撃沈は難しいだろうと。
だから、それが無理だった場合の作戦も考えていた。
「作戦第二段階に入るぞ」
宣言してミチオは、最後の手段を発動させていく。
「第二段階か」
通信で飛んできた指示にカケルも応じていく。
すぐさま小型空母に戻り、補給と兵装交換を受けていく。
作戦の第二段階。
その準備を進めていく。
そうしてる間に、葦原艦隊は敵旗艦に併走するように並ぶ。
そして砲撃を一カ所に集中して攻撃を続ける。
旗艦の艦載機を搭載してる格納庫に。
その一点に集中した攻撃は、分厚い隔壁に穴をあけた。
「いまだ!」
そこに向けて、生き残りの機動兵器を突入させていく。
葦原の考えた作戦。
旗艦撃破のための手段。
艦船による砲撃で撃沈できなかった場合の対応策。
それは、敵艦内に機動兵器を突入させ、内部から旗艦を破壊していく事。
無謀なこの切り込みが、葦原が考え出した、最後の手段だった。
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